電通デジタルは、リモートワーク中の従業員(リモートワーカー)の表情をAIにより分析する「INNER FACE(インナーフェイス)」を開発し、福島県立医科大学・早稲田大学に在籍する研究者を始めとする心理学・人間科学の4名の研究者と産学共同で、世界初となる、「リモートワーカーの表情とメンタルヘルスの相関性を観測する」研究を開始したと発表した。
新型コロナウイルス感染症の拡大以降、全世界でうつ病・うつ状態の患者数は倍増傾向にあり、同時に浸透したリモートワーク環境においてもメンタルヘルスケアは喫緊の課題となっている。
そんな状況のなか、電通デジタルでは、リモートワーカーの表情をAIにより分析する「INNER FACE」を開発。「INNER FACE」では、リモートワークで使用するPC搭載カメラやWebカメラによる表情分析を通じて、リモートワーカーの日々の感情推移を客観的に把握することに加え、メンタルヘルスケアテストを定期的に実施することで、自身のコンディションを的確に把握できるようになる。
表情データは、Microsoft Azureが提供している顔認識ソフトウェア「face.api」を用いて1秒に1度計測し、「エクマン理論」に基づく基本6感情を取得する。主観気分の自己評価を定期的に実施するとともに、抑うつテストは「PHQ-9」を用いて、表情と主観気分、抑うつの相関関係を明らかにしていく。
また、感情の推移を、時間帯や曜日で比較することができ、計測を重ねるほど、自身の感情の変化の傾向を精度高く把握することができるとのこと。さらに、映像データは一切取得・保存せず、デスクトップ上で数値化された表情データを利用して分析するため、映像データの漏洩リスクもないという。
電通デジタルでは、今後4名の研究者と共同で「INNER FACE」を活用した実証実験を実施し研究データを蓄積することで、表情分析から異常の予測などメンタルヘルスケア領域での活用を推進していくとしている。
関連情報
https://www.innerface.jp/
構成/立原尚子