関東の鉄道図を変えた! 東急新横浜線、相鉄新横浜線開業
続いて関東を見ていこう。今回の改正で最も大きな開業となったのが、東急新横浜線と相鉄新横浜線だろう。これに合わせて新綱島駅、新横浜駅も開業。ついに、東急、相鉄、東京都交通局、東京メトロ、東武、西武、埼玉高速鉄道の関東7社局による広大な鉄道ネットワークが誕生した。
悲願の開業となった東急・相鉄新横浜線。新横浜駅開業初列車の出発時は、早朝にも関わらず大賑わいだった
相互直通運転を開始した7社局の車両たち(2022年3月31日撮影)
新横浜駅に相互直通運転を行う各路線から乗り換えなく、また乗り換えが必要な列車も同一ホーム上で利用できるため、東海道新幹線への新たな選択肢が登場したと言える今回の開業。
各沿線に住んでいる人なら、東京、品川駅のほうが近くても、荷物が多い場合などはあえて新横浜駅から新幹線に乗った方が楽というシーンも出てくるかもしれない。
途中駅となる新横浜から新幹線を利用しても、指定席を利用すれば確実に座れるので安心だ。
ピカピカの新横浜駅。東海道新幹線と接続することでその利便性に期待がかかる
ずらりと並んだ相互直通運転の方面表示。慣れるまではちょっと大変!?
一方、相鉄としては2019年に先行して開業した相鉄、JR直通線に続いての“都心直通路線”というだけでなく、東京メトロ南北線、都営三田線との相互直通運転開始により、永田町、四ツ谷、日比谷、大手町といった都心のオフィスエリアにダイレクトアクセスが可能になった。
沿線がいまだかつてないほどの利便性を持つ相鉄悲願の開業に、始発列車が新横浜駅を発った瞬間、思わず涙を流した相鉄社員もおり、その思いの強さを感じた。
東海道新幹線の“ダイヤ”も変えた!
加えて、JR東海の東海道新幹線でもちょっとユニークな「のぞみ」が誕生している。
関東圏での東海道新幹線の始発列車はこれまで、東京・品川始発の「のぞみ」と新横浜始発の「ひかり」が午前6時ちょうどに一斉に西を目指して出発していた。
これに加え、2023年3月18日より、主に月・土曜日に運転される、6時03分発、新横浜始発の新大阪行き臨時「のぞみ491号」が新たに誕生している。
この列車を利用すれば新大阪に8時06分着と、ダイヤ改正前から運行されていた新横浜始発の「ひかり533号」に比べて新大阪に6分、品川始発の「のぞみ99号」と比べても10分早く到着することができる。
東海道新幹線新横浜駅もお祝いムード。新設された臨時「のぞみ491号」も運行スタート
この臨時「のぞみ」が誕生した理由はいうまでもなく、今回の東急・相鉄新横浜線の開業なのだが、同路線を活用することで、実はもう一つのメリットがある。
東海道新幹線は現在、始発列車はどれも6時台に設定されている一方で、東急・相鉄新横浜線はもっと早い時間帯に始発列車が設定される。
都心部から新横浜方面に向かう列車の一例を挙げると、東京メトロ南北線溜池山王始発5時03分発の新横浜行きがあり、これに乗れば途中目黒(5時15分発)、武蔵小杉(5時33分発)など東急目黒線を経由して、新横浜に5時44分に着く。
運行初日の「のぞみ491号」には最新鋭N700Sが投入された。初日にも関わらずこの列車を目当てにした乗客の姿も多かった
初列車出発時には横断幕でお見送り。コンコースでは運行開始記念カードが配布された
ここから「のぞみ491号」に乗り換えれば、これまで以上に首都圏から関西圏を早い時間帯に向かうことができるわけだ。
現在は特に需要が見込まれる、月・土・GWなどに運転日が設定されているが、「ご利用状況によって設定日は増える可能性もある」とのことで、今後の展開にも注目したい。
広大な新ネットワーク、どこに住むかが今後のカギ
関東・関西双方で大規模な新規開業が続いた今回の春のダイヤ改正。「早くなる」だけでなく、「座れる」、「直通で行ける」など、これまで以上に各沿線に新たな可能性が生まれている。この先、「どこに住むか」……自身のライフスタイルや家族の日常と共に、様々な角度から、鉄道路線を吟味してみてほしい。
(運行ダイヤ、列車号数などは2023年3月18日時点のものです。実際にご利用になる際は最新のダイヤ、運行状況をご確認ください)
取材・文/村上悠太