日本語の副詞には、「まあまあ」「ますます」のように同じ言葉を2つ重ねたものが存在する。「ほぼほぼ」は、その系統を受け継ぐ新しい重ね言葉の一つ。何気なく使ったことがあっても、意味や由来は知らないという方も少なくないだろう。そこで本記事では、「ほぼほぼ」の意味や由来、使い方、類語などを紹介する。ぜひこの機会にチェックしてほしい。
「ほぼほぼ」とは?
「ほぼほぼ」は、「ほぼ」を2つ重ねて強調する言葉だ。まずは、この言葉の意味や由来について解説する。
ほぼほぼの意味
「ほぼほぼ」は、おおよそ完全に近い状態を指す「ほぼ」と基本的に同様の意味を持つ。ただし、使用者や使用シーンによって若干ニュアンスが異なることが多い。「ほぼ」を繰り返すことでさらに完全に近い状態を意味する場合や、「ほぼ」という言葉の調子を強める意味で使われる場合もある。「ほぼ」という言葉は聞き取りにくい響きを持つため、聞き逃しを防ぐ意味合いで繰り返し言う場合もあるだろう。
「ほぼほぼは」どのように広まった?
「ほぼほぼ」は1949年の「国会会議録」に残っているなど、戦後から存在していたことがわかっている。その後、1990年ごろから一般的に使用する例が増え始め、2010年代にはさらに浸透が進んだとされる。2014年刊行の「三省堂国語辞典」第7版において、「ほぼ」の項目に「俗に、重ねて使う」と記述されていることからも、「ほぼほぼ」の認知度の高さがうかがえるだろう。2016年には、『三省堂 辞書を編む人が選ぶ「今年の新語2016」』で大賞を受賞。テレビ番組のタイトルや書籍名として用いられるなど、「長い時間をかけて、日常会話のことばとして定着した」と評されている。
ほぼほぼの使い方をチェック
次に、「ほぼほぼ」の使い方を見ていこう。実際の使い方を知っておくことで、表現のバリエーションが増やせるはずだ。
一般的な使い方・例文
「ほぼほぼ」は、一般的に「ほぼ」と同じ使い方をする。例文をいくつか見ていこう。
【例文】
「明日締め切りのものは、ほぼほぼできています」
「5年前とほぼほぼ変わらない生活をしている」
「これとほぼほぼ同じ形のバッグを持っていたことがあります」
「こちらでほぼほぼ問題ありませんが、念のためもう一度見直しておいてください」
「ほぼほぼ準備ができたので、安心してゆっくり休める」
「掃除はほぼほぼ完了しました」
ビジネスシーンでのほぼほぼ
「ほぼほぼ」には、一般に浸透してから日が浅かったり、若者を中心とした言葉遣いだったりという側面がある。そのため、受け取る側が不快感を抱く場合もあるかもしれない。特に、目上の人や年配の人と話す機会が多いビジネスシーンにおいては控えるべきだと言える。ただし、気心の知れた同僚などとの会話に「ほぼほぼ」を使うのは構わないだろう。
ほぼほぼの類語・言い換え
次に、「ほぼほぼ」の類語や言い換えができる言葉を紹介する。使用を控えるべきシーンで代用できるため、覚えておくと役に立つだろう。
ほとんど
全部とまではいかないが、それに近い程度を指す副詞。大多数や大部分を意味する名詞として用いる場合も多い。「ほとほと」の音変化で生まれた言葉で、漢字では「殆ど」と表記される。
だいたい
ほとんど全ての数量を占めている状態や、細かい部分を省いた大部分を表現する時に使われる。また、全体を大まかに捉えたところを指す名詞としてもよく用いられる。漢字表記は「大体」だが、「おおてい」と読むことで大規模な様子を表す場合もある。
おおよそ
大雑把な内容を意味する言葉。似た言葉として「およそ」があるが、これは「おおよそ」の「お」を一つ発音しないことから生まれたとされる。どちらも、具体的な数値が明確になっていない時に、名詞や副詞として使われる。漢字では「大凡」と表記される。
ほぼほぼの英語表現
「ほぼほぼ」を英語で表現する場合は、“almost”や“nearly”などを使うことができる。どちらも「ほぼ」や「ほとんど」を意味する副詞で、“at almost the same time”(ほぼ同時に)や“The work is nearly completed.”(工事はほとんど完成した)のように使われる。また、“pretty well”(ほとんど)という口語を利用して“The work is pretty well finished.”(その仕事はほぼ終わっている)のように用いることも可能だ。いずれの場合でも「ほぼほぼ」の細かなニュアンスは伝わりにくいが、「ほぼ」として表すことはできる。
文/編集部