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分人主義、イノベーションの未来、デジタルアイデンティティ、DIME Digital Trend Summitで語られた2023年の注目キーワード

2023.03.28

「ビジネススキルを学びたい」「情報や知識を増やしたい」──そんなビジネスパーソンに向けて、DIMEがお届けするビジネスセミナー「DIMEカレッジ」。3月16日には、「DIME Digital Trend Summit 2023」と題し、これからのビジネスで避けては通れない、デジタル分野のキーワードやトピックを取り上げる、スペシャルイベントを開催しました。

ゲストとして登壇いただいたのは、ベストセラー『アフターデジタル』シリーズ(日経BP)の著者として知られるビービットの藤井保文さんと、アメリカを中心とした最新のテックニュースやスタートアップ、ビジネス情報、カルチャートレンドをゆるーく深堀りしながら解説するポッドキャスト番組「Off Topic」の宮武徹郎さん。@DIME編集長の石崎寛明を加えた3名にJ-WAVE「STEP ONE」などで活躍するサッシャさんをMCに迎え、パネルディスカッション形式で、それぞれが注目するデジタル分野のトピックを語り合いました。

本記事ではこれからのビジネスのヒントにつながる話題をレポート! まずは前半3つのテーマをレポートします。

テーマ1「分人主義」

藤井さんが取り上げたこのキーワードは、小説家の平野啓一郎さんが提唱されているもので、人間は「本当の自分」を一つだけ持っているのではなく、いろいろなモードや状況によって 複数の人格に分かれているという考え方を表しています。

「自分を例に考えても、ビジネスパーソン、家族、スポーツ、音楽など、シーンや状況によっていろいろな顔やキャラクターを持っている」と藤井さん。宮武さんも「Z世代などはすでに、デジタルのプラットフォームごとに、自分を使い分けている」と同調します。

これまで企業は顧客を属性でしか捉える手段がありませんでしたが、今はスマートフォンやウェアラブルデバイスなどを通じて、常時オンラインにつながっているため、その人の行動や状況がわかるようになってきています。 「だから『分人主義』という視点を持っておく方が、ビジネスがしやすくなるのではないか」と藤井さん。「同じ人でもその時々の状況で変わる。そうやって顧客を理解する解像度が高まっていくにつれて 、より最適なタイミングで最適な支え方ができるようになってきている」と説明しました。

「例えば、タクシーで絶対に話しかけてほしくないときもあれば、初めての場所なら地元のおすすめの店を教えてほしいときもある。本当に状況次第で変わる」という藤井さんに、「Uberにはすでに、ドライバーが話しかけていいかどうか選べるメニューが用意されている」と宮武さん。さらに一歩進んで「ウェアラブルデバイスで心拍などがわかるのだから、緊張していたら笑わせてくれるとか の機能があればもっとおもしろい」と石崎編集長。藤井さん、宮武さんはさらに、SNSなどの通知や広告の表示も、状況にあわせたタイミングが大事だと話していました。

ココがポイント!

ウェアラブルやスマホなどからの様々なデータでその人の置かれている状況の“解像度”が上がった今、その時、その人に必要な情報やサービスを提供していく視点が今後企業に必要になっていくだろう。

テーマ2「イノベーションの流れとバンドル・アンバンドル化のサイクル」

あるイノベーションが社会に受け入れられるまでには、無視される→論理的に批判される→バカにされる、という3つの流れがあると宮武さん。「イノベーションによって(既得権益などが)ひっくり返えることが多いので、批判が増えがち」といいます。

一方でマネタイズのために、「バンドル化とアンバンドル化が繰り返されている」とも。その例としてあげられたのがテレビ。昔アメリカにはたくさんのローカルチャンネルがありましたが、ケーブルテレビがそれをバンドル化。今は動画配信によって、さらに細かく番組単位で見られるようになっていますが、配信サービスが増えた結果、それらをまとめて見られるストリーミングデバイスが登場しています。

「ビジネスツールでも、Slackを使いたい、Zoomを使いたいと自由を求めるけど、だんだん面倒になってバンドル化されたMicrosoftに流れる。面倒くささと自由さのバランスがルールを作るのでは」と藤井さん。宮武さんは「集権化すると判断が簡単だが、権力が集まりすぎるとディスラプションが起きやすくなる」と説明します。

「確かに、競争の時はアンバンドル化されて、覇権争いが落ち着いてくるとバンドル化して一緒にやった方がいいとなる」という藤井さんに、「特に景気が悪いとバンドル化が強くなる」と宮武さん。バンドル・アンバンドル化については、石崎編集長も「メディアも同じ。雑誌のようにクリエイターをバンドル化して作っていたものが、個人の発信力が強くなってアンバンドル化しているのが今。じゃあ今後はどうバンドル化するとおもしろいのか。そういう視点で物事を考えると、新しいアイデアにつながるかも」と話していました。

「イノベーションの流れ」については、MCのサッシャさんから「話題のChatGPTはどのフェーズ?」という質問も。「今は批判されることが多いが、SNSも当初は役に立たないと思われていた」と話した宮武さんは、「シリコンバレーには『頭のいい人たちが週末に遊んでいることが、10年後には平日にみんながやることになる』という名言がある」と紹介。古くはコンピューター、最近ではAIもそうだといい、「ChatGPTも今はまだ、おもちゃのようなフェーズと言えるかも」と話していました。

ココがポイント!

サービスや製品の置かれているフェーズを意識しつつ、次のトレンドを読むうえで重要な示唆に富んだトピック。バンドルとアンバンドルの視点は自社のサービスに置き換えて考えてみると、意外な気づきがあるはず。

詳しくはOff Topicのこちらのエピソードを聞いていただくと理解が深まります
→ https://open.spotify.com/episode/0qrDbWf85SkDHgr5h1Ltim

テーマ3「デジタルアイデンティティ」

「分人主義」のテーマでもあったように、今や複数のアカウントやアバターを使い分けるのが当たり前に。一方で自動車や家電などが普通にインターネットにつながるこれからは、IDの乗っ取りやなりすましが、直接的な危険につながる可能性もあります。「今、デジタルアイデンティティを握っているのはGAFAのような企業。(Web3の時代には)それを自分で分散管理することになると言われている。デジタルアイデンティティの問題は、これからすべてのビジネスパーソンが考えるべき問題」と、石崎編集長は話します。

宮武さんは、米国ではiPhoneに運転免許証を取り込むことができ、すでに身分証として機能していることを紹介。また、なりすまし問題で今後課題になりそうな、自動生成AIにも触れ、「ChatGPTを提供するOpenAIの創業者が、実はID認証のサービスも作っている」と紹介しました。一方、「オフラインとオンラインの融合進む中、中央集権的な管理だと、今後はオンラインでまったく別人格を生きるということがやりにくくなるのでは?」と藤井さん。「オンラインでは女子高生キャラなのに、そこへ中年男性向けの広告が表示されると冷める」と話し、笑いを誘っていました。

「国をまたいで働いたり、デジタル上で経済活動をする人も増えていく中、国としても、デジタルアイデンティティについてもっと考えなきゃいけない。一方で国に管理されるのは嫌という人もいる」と石崎編集長。「国や特定の会社に支配されないような、デジタルアイデンティティの運用性を作るのが、Web3でみんなが目指しているところ」という宮武さんに、「でももしすごくフラットで、ビジネス色の薄い存在に持っていてもらえるなら、単純に一つで管理できてかつ、多重人格性も維持できるかも」と藤井さん。「ちゃんと議論しつつ、中立性の高いところがそういう存在になるといいなと思う」と話していました。

ココがポイント!

メタバースやWeb3などバズワードの根本にあるのがデジタルアイデンティティの問題。見落とされがちな視点だが、自分がこれからどのように自分のデータを管理し、活用していくのか、自分のプライバシーをどう守るかなどすべての人が意識すべきキーワード。

後編ではDXの今やSNSのこれから、スマホの未来などのトピックを解説していきます!

「DIME Digital Trend Summit 2023」の模様は以下のアーカイブ動画でチェック!

取材・文/太田百合子 撮影/黒石あみ

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