率直で、正直に気持ちを表す会話や人柄を指して使われる言葉「ざっくばらん」。人が集まって意見交換を行う場面や、社内のミーティングなどで見聞きしたことがある方も多いだろう。ビジネスシーンで使われることも多い「ざっくばらん」だが、使うタイミングや状況を誤ってしまうと、相手に対して不愉快な思いをさせてしまう可能性もあるため、使い方には注意が必要だ。
そこで本記事では、「ざっくばらん」の詳しい意味と語源、使う時の注意点を紹介する。この機会に、正しい使い方を確認しておこう。
ざっくばらんとは?
まずは、ざっくばらんの意味と語源を解説する。誤った使い方をしないよう、しっかりと正しい意味をチェックしておこう。
率直な様や正直に心情を表す様を表す
「ざっくばらん」とは、気取らず、隠し事をしないで、心をさらけ出す様子を表す形容詞。目上の人だけではなく、対等な立場の人、もしくは目下の人に対して、相手の率直な気持ちを聞きたい時や相手の人柄の印象を伝える時にも使われる。
言葉の印象から「大雑把に話す」という意味と混同する方も少なくないが、ざっくばらんには、「細かいことは気にしない」という意味は含まれないため、注意しよう。
ざっくばらんの語源
ざっくばらんの語源は、擬態語の「ざっくり」「ざっく」と「ばらり」「ぱらり」。この2つの擬態語を組み合わせることで、心の殻をざっくりと破って、ばらりと捨てる様子を表すようになった。
「ざっくばらん」という言葉が使われるようになったのは江戸時代とされている。江戸時代中期から明治にかけては、現在の「ざっくばらん」だけでなく、「ざっくばらり」や「ざっくばら」、「ざっくばれん」という言葉も使われていた。
明和2年〜天保11年に刊行された川柳句集「排風柳多留(はいふうやなぎだる)」では、「ざっくばらりが気のかたをつれて出る」という一節に「ざっくばらり」が登場する。
ざっくばらんの使い方
ここからは、ざっくばらんの使い方を紹介する。使用シーンと使う時の注意点も併せて確認していこう。
使用シーン
ざっくばらんは、ビジネスシーンだけでなく、親しい友人同士でのプライベートの会話でも使われることが多く、「ざっくばらんな人柄」「ざっくばらんに話す」「ざっくばらんな意見」という形で使われるのが一般的だ。例文をそれぞれ見ていこう。
【例文】
「ざっくばらんな意見をいただきたい」
「彼は、ざっくばらんな人柄なので、親しみやすい」
「せっかくの機会なので、今日はざっくばらんに話しましょう」
ざっくばらんを使う時の注意点
相手の印象を伝えたい時、「ざっくばらん」は素直で表裏がなく、親しみやすいイメージを伝えられる便利な言葉だ。しかし、時と場合によっては「図々しく、遠慮がない人」「ものをストレートに言う空気が読めない人」といったマイナスな意味合いに捉えられることもあるため注意したい。また、相手との信頼関係が十分でない時やフォーマルなシーンでは、別の言葉を使う方が良いこともある。
ざっくばらんの類義語・対義語は?
次に、ざっくばらんの類義語と対義語を見ていこう。
類義語
ざっくばらんの類義語には以下のようなものがある。それぞれの意味と例文を見ていこう。
・明け透け(あけすけ)
包み隠しのない、露骨なこと。ざっくばらんと違う点は、ネガティブなニュアンスを込めて使われる点だ。
例)「明け透けにものを言う」
・開けっ広げ(あけっぴろげ)
包み隠さないで明らかにすること。
例)「開けっ広げに話す」
・赤裸々(せきらら)
元々は、丸裸という意味の赤裸から来ている。心の内や内容を丸裸に、全てさらけ出す様を表す。
例)「彼は、これまでの経緯を赤裸々に語ってくれた」
・単刀直入
遠回しな表現や前置きなしに主題に入る時に使われる。
例)「単刀直入に言わせていただくと、あなたは間違っていると思います」
対義語
ざっくばらんとは反対に、欲望や感情を隠している様を表す対義語としては「婉曲(えんきょく)」が代表的。婉曲は、明け透けの反対語で、露骨でない様を表す言葉だ。「〜のようだ」「みたいだ」と断定を避ける遠回しな表現を意味する。露骨でない包み隠した発言に対して「婉曲的な表現だ」というように使われる。
ざっくばらんの英語表現は?
最後に、ざっくばらんを英語で表したい時に使える表現を2つ紹介する。英語を使う機会が多い方は覚えておいて損はないはずだ。
・Openly(隠し立てをしない、明け透けに)
「be openly〜」で「ざっくばらんに〜」と表現できる。
例文:They should discuss openly.(彼らは、もっとざっくばらんに議論するべきだ)
・Frankly(ざっくばらんな、率直に)
「Frankly speaking」で「率直に言って」と表現できる。
例文:He speaks frankly.(彼は、ざっくばらんに話す)
文/編集部