中学生や高校生の子を持つ親は、子どもとのコミュニケーションに悩んでいないだろうか。特に思春期になると人間関係や恋愛事情などが気になるものだ。そこで今回は児童心理士に思春期の我が子とのコミュニケーション術を聞いた。
思春期の中高生の親のよくある悩み
中高生の子を持つビジネスパーソンは、こんな悩みはないだろうか。
●子どもが何かに悩んでいる様子があるが聞き出しにくい
●子どもが親のかかわりをつっぱねる
●子どもの恋愛に対して気になる
●父親としてどうかかわるべきかわからない
●子どもと日頃、どんなコミュニケーションをとるべきか迷っている
こんな風に思春期の子どもとの関わりに戸惑いを感じている親は多いのではないだろうか。
そんなときに参考になるWebサイトが今年1月に公開された。中外製薬の「サステナブルードットライフ」だ。
これは、病気と向き合う患者やサポートするケアラーの人々が、ライフステージごとに感じる悩みや課題の解決にヒン トとなるような情報をわかりやすく集約した情報サイト。問題解決のヒントとなる情報を入手できる。
このサイトでは、複数のコラムが公開されているが、専門家の監修がされているものがある。今回は、監修者の一人として携わった児童心理士であり、児童相談所において19年間のキャリアを持つ山脇由貴子氏に、親の悩みやシチュエーション別の対処法を聞いた。
父親向け!思春期の子どもを持つ親の悩み別対処法
中学生から高校生の子どもを持つ父親が、次のシチュエーションのとき、どのような対処法があるか、父親向けにそれぞれ聞いた。
●子どもが何かに悩んでいる様子があるが聞き出しにくいとき
「日常、どのくらいコミュニケーションを取っているかがポイントです。日常的に、あまり子どもと関わる時間がなければ、まずは、子どもと接する時間の長い母親に何か思い当たることはないかを聞いてみましょう。特に女の子は友人関係、恋愛に関して、父親を頼ろうとしないので、母親に任せたほうが良いかもしれません。そして男女問わず、受験や塾、習い事、スポーツ、将来のことなどは、父親の判断が必要だとわかっていますので、子どもがリビングでくつろいでいるときなどに、他愛のない話から会話を始め『受験のことで何か、困ってないか?』など聞いてみましょう。また、悩みの内容によって、母親と役割分担も大切です」
●子どもが親のかかわりをつっぱねるとき
「子どもが関わりをつっぱねるときは、『自分一人で解決したい』『悩みを話すなんて恥ずかしい』などの思いを抱えているときと考えられます。このようなとき、無理に関わろうとすると反発心を強めてしまいます。大事なのは子どもの変化に気づくこと。単に反抗したいだけなのか、一人でいるとき、ふさぎこんでいる様子はないか、よく見極めることが大事です。
母親の意見を聞きながら、話しかけやすいときに『何か最近元気がないけど、どうかした?』『イライラしているみたいだけど、何かあった?』など声をかけるのが良いでしょう。
それでも子どもが拒否的な態度を取ったときには、『何かあったら言ってね』と伝え、子どもの“自分の力で解決したい”という気持ちを尊重するのも大事なことです。それは子どもの成長にもつながります。本当に困って、親の助けが必要だと思ったときに、“頼りたい”と子どもが思えるような親子関係を心がけている事こそ、大事なことなのです」
●子どもの恋愛に対して気になるとき
「子どもが娘の場合は、父親が恋愛について聞くのは難しいといえます。母親にまかせ、母親経由で聞くのが良いでしょう。
息子の場合も思春期は父子間のコミュニケーションは必要なことだけ、となっている場合が多いので、やはりむずかしいですが、男性ならではの悩みを話すとしたら父親です。まずは『彼女はいるのか?』と聞けるくらいの関係を作っておくことです。そして悩みはまず、詳しく聞くこと。いきなり交際を反対したり、『勉強が優先だろ』などのお説教をすると子どもは二度と話をしなくなります。
娘でも息子でも、どんな相手なのか、どんな付き合いをしているのかを詳しく聞くことから始め、どうしても気を付けて欲しいこと、禁じなくてはならないこと、例えば避妊や法律に触れる行為、夜遊び、治療上の注意点などについては理由を具体的に説明した上で注意するようにしましょう」