日々SNSを賑わす炎上騒動。軽いボヤ騒ぎから、テレビの報道番組などで盛んに報じられるレベルの大炎上まで、大小様々な炎上が発生しているが、昨年2022年の炎上には、どのような傾向が見受けられるのだろうか?
企業のSNSマーケティングを支援するコムニコはこのほど、批判的な言及や引用リツイート数が多い「SNS炎上事件」を、2022年1月1日~2022年12月31日の期間に調査し、その傾向分析をまとめた「2022年炎上レポート」を発表した。
2022年のSNS炎上総数は「247件」、炎上元の媒体1位は「Twitter」
2022年に観測されたSNS炎上事件の総数は247件で、前年と比較すると119件増えた。そのうち、炎上期間中に言及された関連キーワードの総数は10,025,819、平均炎上日数は21日となっている。
なお、現在においても引き続き炎上(言及数が増加している)状態の事件もあるが、平均炎上日数については12月までの数値で区切り、計測している。
SNS炎上で最も多い媒体はTwitterで約7割。Twitter上でSNS炎上の火種となる言及がされ、リツイート(引用リツイート含む)やリプライで批判が集まり「炎上」状態となることがわかった。炎上元が他媒体(オフライン、Webサイトなど)であっても、Twitter上で投稿され批判が集まるケースも散見されている。
他媒体であっても炎上が発生した際は、テキストのみで容易に発信・拡散できるTwitterに投稿され、炎上につながっていると推測できる。
「炎上キーワード言及数平均」業界別1位は「飲食サービス業」
業界別に言及数平均を見ると「飲食サービス業」で最も多く、某ファストフード店に関する内容で言及数が増えていた。次いで「スポーツ」が多く、大晦日などの特別なイベントに関連する内容が注目された。
SNS炎上は個人のユーザーが企業を告発することがあるが、ここでは「より炎上している炎上元業界」について区分して各投稿の言及数を収集し、言及数の平均を割り出してランキング化している。
また、ここで分類している業界は業種分類表(経済産業省)を元にしており、その他必要に応じて、SNS炎上に多い「芸能」「インフルエンサー」「アニメ・漫画」「雑誌メディア」などを追加し、SNS炎上業界を分類している。
なお、言及数平均ではなく、炎上件数を業界別でみると、最も多いのは「芸能」で、次いで「公務」だった。「芸能」関連は、テレビタレント・モデルの不適切な発言・行動で炎上しているケースが散見されており、さらに「芸能」「公務」はネットニュース化されやすく、報道を見たユーザーが言及することで炎上が広がるケースも多く見られている。
●「飲食サービス業」に関する投稿で炎上した例
・とある飲食チェーン店が、客からの問い合わせに対して回答するメールを送ったところ、その内容が客には失礼であると捉えられ、その客がメールのスクリーンショットをSNS上に投稿し炎上。(飲食店のメールの内容が配慮に欠けているということで炎上)
・とある飲食店が提供していた商品に対して、食品衛生上の危険を訴える投稿を一般ユーザーがSNS上で行い、炎上。その投稿が直接的に関与しているかは定かではないが、後日該当する飲食店が閉店したことが明らかになり、さらに炎上することになった。
「炎上キーワード言及数平均」カテゴリ別1位「巻き込まれ炎上」
カテゴリ別では、他の事件から巻き込まれる形で波及した「巻き込まれ炎上」に関する言及数が最も多く、次いで「政治」「モラル」となった。なお「巻き込まれ炎上」とは、実は無関係なのにデマやフェイクニュース、第三者の勘違いなどでマイナスイメージの言及が増加して炎上状態になってしまう事件として集計している。
言及数平均ではなく、炎上件数をカテゴリ別でみると、最も多いのは、知識や配慮が足りないことで炎上が発生する「リテラシー不足」で、次いで、不祥事やスキャンダル、公序良俗に反する内容全般(不倫など)が中心となっている「モラル」だった。
本記事で設けているカテゴリは、SNS上で起こるリスク対応を含めたSNS運用ノウハウを体系的に学べる一般社団法人SNSエキスパート協会が提唱する「炎上さしすせそ」を元にアレンジして選出している。
<炎上さしすせそ>
出典:一般社団法人SNSエキスパート協会
●「巻き込まれ炎上」カテゴリで炎上した例
・とある居酒屋チェーンのスタッフの接客が悪いと訴える投稿を、店名名指しで一般ユーザーがSNS上で行い、指摘された居酒屋チェーンに関する言及が増え炎上。(一人の客による個人的な主観に巻き込まれるかたちに。)
・某イベントのプロモーション動画をイベント公式アカウントでSNS投稿した際、動画の内容に対して批判的な感想がリプライで寄せられ、また批判的なコメント付きでの拡散も多くされて炎上。(イベント側が想定しなかった悪い反応が多く発生し、批判的な感情を抱いた人たちによって巻き込まれるかたちに。)
<調査概要>
調査期間:2022年1月1日(土)~2022年12月31日(土)
SNS投稿収集ツール:NetBase
炎上投稿のピックアップ方法:批判的な言及や引用ツイートが多い投稿を、コムニコ従業員が目視
炎上投稿のピックアップ基準:「Twitterトレンド入りした投稿」「ネットニュース化された投稿」「引用リツイートで批判が多い投稿」「批判的なリプライが多い投稿」「メンションはつけないが批判的な言及でリプライされている投稿」
出典元:株式会社コムニコ
構成/こじへい