国民的賞レースの影響でお笑いのニーズが多様化
2019年頃から〝お笑い第7世代〟と呼ばれる芸人が一気に台頭した。これにより、テレビのお笑い番組が増加。今なお芸人にスポットが当たる機会は増えている。だが現在、その中心にいるのは、非お笑い第7世代の芸人たちだ。
インディーズライブを中心に活動する〝地下芸人〟、2010年代後半~2020年代初頭に松竹芸能から移籍した芸人〝脱竹〟など、近年は様々なキーワードが飛び交っている。一方で、お笑い業界の新陳代謝が加速していると感じる読者は少ないはずだ。一番の理由は『M-1グランプリ』『キングオブコント』といった、全国放送される賞レースが風物詩化したことだろう。ニホンモニターがテレビ番組出演者データをもとに集計した近年の「ブレイクタレント」を見ると、ランキング上位に名を連ねるのは、モグライダー、錦鯉、お見送り芸人しんいちといった、賞レースで爪痕を残した芸人たちだ。
全国放送される賞レースが国民的番組になったことで、お笑いは語れる文化へと昇華。市民権を得たことで、個性的な笑いを求める土壌も生まれつつある。
テレビ番組発のシン・勢力
『有吉の壁』芸人
若手&中堅芸人が、様々な〝お笑いの壁〟を乗り越えるために、あの手この手のネタを披露する人気番組。即興ネタなど、お笑いの独自性や力量を問われる企画が多く、MCの有吉弘行さんを笑わせようと、芸人たちは真剣に笑いを追求していく。修業の場であり、ブレーク芸人発信番組としても業界で注目される。
インポッシブル
トム・ブラウン
きつね
壁を越える真剣勝負で実力がアップ
「インポッシブルはハイテンションでバカバカしいネタを得意とし体を張る男臭い芸風。きつねはサンプラーを駆使したパリピ漫才で世に出たコンビで、2.5次元ミュージカルなどの流行りネタを取り入れたネタが斬新です。『M-1』の決勝に進んだトム・ブラウンは、ちょっと不思議でギャグ漫画のような世界観のネタが強みです」
取材・文/編集部