世界で唯一?LGBTQ+政党
次に紹介する団体は、フィリピン独特とも言えるかもしれない。性的マイノリティの人権確立を目指す政党「ラドラド」(2003年設立)。
CNNによれば性的マイノリティの問題に特化した政党としては世界最初にして唯一なのだという。
とはいえまだ議席はなく、スタッフのデクスターさんによると、「お金がものを言うフィリピンの選挙運動では、小規模政党の私たちはなかなか票が伸ばせず議席はまだありません。でも、私たちのもとにはLGBTQ+の人たちから経済的・法的支援や差別への対処の要請がたくさん寄せられています」とのこと。
人権問題に取り組む他党の議員らとも連携して活動しているという(ラドラド提供)。
人口の約85%がカトリック教徒で、カトリック教会が大きな力をもっているというお国柄ゆえの難しさもある。
「カトリック教会は、LGBTQ+を受け入れると言っていますが、一方で同性婚には反対しており、それがSOGIE法案の成立を阻む容認にもなっています。こうした態度を偽善的だとして教会に通わなくなったLGBTQ+の人たちも少なくありません」
性的マイノリティの人権問題は、貧困対策から法的平等への取り組み、ハラスメント対策など多岐にわたる。
このラドラドが、バレンタインデーにイベントを実施するというので同行した。シニアのLGBTQ+の人たちにギフトを渡すのだという。
スタッフの方々と向かったのは市場や商店、民家が密集する首都圏パラニャケ市の下町エリアの美容院だった。
迎えてくださったのは同市で活動するシニア中心のLGBTQ+グループ「ホーム・フォー・ゴールデン・べキス」の皆さん。
小さな美容院の店内に20人程度がぎゅうぎゅうに座っておしゃべりや写真撮影で盛り上がり、その後ギフトが贈呈された。中身は食料だ。
「ゴールデン・べキス」の参加者とラドラドメンバーのタンタンさん(下列右)。タンタンさんは南部ミンダナオ島出身のイスラム教徒だ。