乳酸菌と同じく腸に働きかける善玉菌でありながら、別物とされるビフィズス菌。整腸作用は乳酸菌より強いが、酸に弱いので生きたまま腸に届きにくい点も。だが耐酸性がある菌も次々と発見され、あらゆる食材に活用されている。
ビフィズス菌, BB-12
Bifidobacterium animalis subsp. lactis, BB-12
[発見年]1986年 [発見者]クリスチャンハンセン社 [保有社]クリスチャンハンセン社
世界で一番研究されているビフィズス菌
酸に強く、生きたまま腸に届きやすい特性を持つビフィズス菌。世界で最も研究されており、300報以上の論文に記載されていることでも知られている。便通改善効果が期待でき、世界中のヨーグルトに使用されているほか、海外では粉ミルクにも配合されるほど、安全性が高く評価されている。
【PRODUCT】長時間発酵でなめらかな味わい
小岩井乳業『小岩井 生乳(なまにゅう)100%ヨーグルト』
〈特定保健用食品〉
原料は生乳のみ。長時間じっくりタンクで発酵させる「長時間前発酵技術」により、酸味の少ないなめらかな味わい。
耐酸性を持つ「BB-12」の酸性環境での菌数の変化を表わしたグラフ。20分経過してもほとんど減っていない。
出典:Vernazza et al. J. Appl. Microbio., 2006; 100: 846-853
※BB-12はクリスチャンハンセン社の商標です
ビフィズス菌BB536
Bifidobacterium longum BB536
[発見年]1969年 [発見者]森永乳業 [保有社]森永乳業
赤ちゃんの腸から発見されたビフィズス菌
森永乳業独自の研究により発見された、ヒトの腸管に棲息しているビフィズス菌。もとは赤ちゃんの腸内から発見されたもので、生きたままの菌を腸に届けることが可能。長年の研究から便通改善などの生理作用が確認され、腸内環境を改善してくれる生きた善玉菌の代表的な菌として世界中で認められている。
【PRODUCT】便通改善を明記した機能性ヨーグルト
森永乳業『森永ビヒダスヨーグルト 便通改善』
〈機能性表示食品〉
便秘気味の人の便通を改善する機能性表示食品。乳由来のミルクオリゴ糖を配合したやさしい甘さが◎。
便秘傾向の男女を対象に、「BB536」を含む食品と含まない食品をそれぞれ2週間毎日摂取。その結果、排便回数が平均1.2回増加した。
出典:清水(肖)ら日本乳酸学会誌18(1):31-36(2007)から作図。研究レビューの対象となった研究論文のうち、代表的な1報を事例として提示。
ビフィズス菌BE80
Bifidobacterium lactis CNCM I 2494
[発見年]1985年 [発見者]ダノンリサーチ研究所(フランス) [保有社]Danone S.A.
善玉菌を増やし、おなかの健康をサポートする
フランス本国のダノン社が約20年もの歳月をかけて研究を重ねた末に開発されたビフィズス菌。酸に強く、胃腸と十二指腸を通っても死滅せずに生きたまま届く。摂取することで老廃物や毒素と一緒に体外に出ていってしまうことが多い腸内の善玉菌を補給することができ、おなかの健康維持をサポートする。
【PRODUCT】砂糖不使用でもほんのり甘い!
ダノン『ダノンビオ プレーン砂糖不使用』
口当たりはクリーミーで、酸味を感じないヨーグルト。甘さがなくても酸味を感じにくく、おいしく食べられることにこだわっている。
「BE80」入りのヨーグルトと自社の他ヨーグルトにおける胃の中での菌生存率を評価。他ヨーグルトでは100分の1に減少。
出典:ダノンジャパン
ビフィズス菌BifiX
Bifidobacterium animalis subsp. lactis GCL2505
[発見年]2007年 [発見者]江崎グリコ [保有社]江崎グリコ
腸まで届き、食べた数の約10倍に増殖する
健康なヒト由来のビフィズス菌で、酸に強く、腸まで届いたうえで増殖する。人体に有用な「短鎖脂肪酸」を作り出し、腸内環境を整えることで便通改善や内臓脂肪の抑制が期待できる。
「ビフィズス菌BifiX」と一般的なビフィズス菌、乳酸菌それぞれが入った飲料を飲み、菌数を比較。ビフィズス菌BifiXが増加している。
出典:富塚ら、第67回日本栄養・食糧学会. 2013年5月26日より改変
【PRODUCT】おいしくて続けやすい!
江崎グリコ『BifiX ヨーグルトほんのり甘い』
ビフィズス菌BifiXと食物繊維イヌリンを配合。ほんのりとした甘味とつるんとした食感が特徴で、そのままおいしく食べられる。
取材・文/高山 惠
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