『甘蕉』は漢字から意味や読み方を推測しにくい言葉ですが、年間を通してどこのスーパーでも売られている、あるフルーツを指しています。読み方や意味を知り、知識を深めましょう。果物や野菜に関係する難読漢字も、あわせて紹介します。
甘蕉の読み方は?意味・由来もチェック
『甘蕉』は日本人にとって身近な、あるフルーツを指す漢字です。読み方・意味・由来をチェックしましょう。
「かんしょう」と読み「バナナ」を意味する
『甘蕉(かんしょう)』は、バナナの中国での呼び名です。中国語では『甘蕉(ガンジャオ)』もしくは『香蕉(シャンジャオ)』と発音されます。甘蕉をバナナと読むのは当て字なので、漢字本来の意味とは関係ありません。
漢字はもともと中国語を書き表すために作られたものであり、中国でバナナを意味する漢字がそのまま日本でも使われたと考えられます。甘蕉のほか、『実芭蕉(みばしょう)』もバナナを意味する漢字なので、あわせて覚えておくとよいでしょう。
由来は似た植物「芭蕉」からといわれる
『芭蕉』は中国原産といわれる、バショウ科バショウ属に分類される大型の多年草です。芭蕉の実は、種ばかりで苦味が強く食用には向いていません。
一方、芭蕉にそっくりなバナナはおいしく食べられます。諸説ありますが、バナナが甘蕉と呼ばれるようになったのは、芭蕉と似ているのに食用に適した甘い実を付けるからではないかという説もあるのです。
ちなみに、バナナという名前は外来語です。バナナをアルファベット表記にすると『Banana』です。『指』を意味するアラビア語の『banan』やアフリカの『banema』がもとになっているといわれています。
あわせて覚えたい果物・野菜の難読漢字
甘蕉以外にも身近な野菜や果物の中には、普通に読むのが難しい当て字がされているものがあります。この機会にあわせて覚えておきましょう。
キャベツの別名「甘藍」
甘藍の読み方は『かんらん』で、キャベツの別名や葉牡丹の古名として知られています。食用のキャベツの名が定着するまでは、甘藍と呼ばれていました。また『玉菜』もキャベツを表す漢字です。
キャベツの原産地はヨーロッパとされ、数千年前には存在していたとされますが、最初は現在のような丸い形ではありませんでした。丸い形のキャベツが日本に渡来したのは江戸時代末期で、生食されるようになったのは明治中期ごろだといいます。
キャベツは採れる時期によって春キャベツと冬キャベツに分けられ、春キャベツは柔らかく生食に適していることが特徴です。冬キャベツは葉の1枚1枚がしっかりとしていて固めなので、煮込み料理に向いています。
参考:キャベツの歴史(れきし)と輸入量(ゆにゅうりょう)についておしえてください。:農林水産省
スイートオレンジを指す「甘橙」
甘橙の読み方は『あまだいだい』で、スイートオレンジの和名です。一口にオレンジといってもさまざまな種類がありますが、一般的なオレンジはこのスイートオレンジを指します。
日本でよく食べられているスイートオレンジの一種である、バレンシアオレンジやネーブルオレンジは、アメリカやオーストラリアから輸入されているものが大部分です。生で食べるほか、スイーツやジュースなどにもよく使用されています。
アメリカとオーストラリアでは旬の時期が逆になるので、日本ではほぼ1年中、旬のスイートオレンジが食べられます。アメリカから輸入されるバレンシアオレンジの旬は主に6〜8月、オーストラリアから輸入されるバレンシアオレンジの旬は主に11〜3月です。
参考:薬草園歳時記(23)柑橘類 2022年11月 | 大学案内 | 静岡県公立大学法人 静岡県立大学
パイナップルを意味する「鳳梨」
鳳梨の読み方は『ほうり』で、パイナップルのことです。パイナップルは、生食以外にもさまざまなスイーツに使われています。台湾三大果物とされ、台湾の代表的なフルーツの一つとして人気です。
鳳梨は中国語ですが、中国では『菠蘿(ボーロー)』という名称もあります。また、パイナップルは台湾語では『王梨(オンライ)』とも呼ばれ、王梨と商売繁盛を意味する『旺來』の発音が似ているので、台湾では縁起物として有名です。
気候が温暖な台湾では、ほぼ1年中パイナップルが栽培され、特に3月中旬から7月ごろにかけてが旬とされます。
参考:パイナップルは縁起物|日本台湾交流協会 台北事務所スタッフブログ
豆知識編 甘蕉(バナナ)の食べごろやおすすめの保存方法
甘蕉を購入してすぐに食べると、思ったよりもおいしくないと感じることがあります。おいしく食べるために知っておきたい豆知識を見ていきましょう。
シュガースポットが出るまで追熟する
バナナは緑・黄色・茶色の順番で熟していきます。スーパーでは緑がかった黄色い状態で販売されていることが多いので、購入後は食べごろになるまで追熟させてから食べましょう。
果実全体が黄色くなりバナナの皮に点状の模様が出てきたら、完熟している合図になります。この黒い点状のものは『シュガースポット』と呼ばれ、バナナの食べごろを見分けるポイントです。
完熟した実は甘さが増し、おいしく食べられます。皮全体が茶色くなるほど追熟が進むと、食感が悪くなるので注意しましょう。
参考:バナナの皮にシュガースポットが表れる理由|日本植物生理学会 植物Q&A
風通しのよい場所でつり下げる
バナナを保存する際は包装袋から取り出し、風通しのよい場所でつり下げた状態にしましょう。バナナスタンドや、S字フックを利用すると便利です。
つるす場所がないときは山型になるように置くか、1本ずつ切り離して保存します。追熟させておいしくするには、直射日光が当たらない『14~20℃程度の場所』で保存しましょう。
適温から外れると、傷みが早くなったり熟しにくくなったりします。冬場は人の出入りがある場所、夏場は冷蔵庫の野菜室での保存がおすすめです。
紙やラップで包んで野菜室に
バナナは南国のフルーツなので、寒さには弱く低温下では追熟しません。常温で好みの状態になるまで追熟してから、1本ずつ切り離した状態のバナナを、紙やラップで包んで冷蔵庫の野菜室に入れましょう。
むき出しのままでは低温障害で黒ずんでしまい、見た目がよくありません。紙やラップに包んだ状態で入れると冷気に直接当たるのを防ぎ、上手に保存できます。
冷蔵庫から取り出した後は、しばらく室内に置いてから食べると甘味が感じられます。
構成/編集部