生活するうえで支払う税金の中には、地域に居住する人たちで市区町村(都道府県)の行政サービスのための費用を負担する地方税、「住民税」があります。
【参考】住民税について教えてください。所得税とはどう違うのですか?そもそも国税と地方税の違いはなんですか?|財務省
ほとんどの人が支払うこととなる税金ですが、状況に応じて非課税となる場合があるのをご存じでしょうか?
目次
住民税が免除・非課税になる条件は市区町村によって異なる
住民税が免除となる人、非課税になる人の条件は、支払い先となる市区町村によって異なる場合があります。そこで、神奈川県横浜市を例にご紹介しますが、細かい条件などを知りたい場合は、お住いの市区町村の公式サイトを確認してみましょう。
個人住民税の減免・免除が受けられるのはどういう場合?
神奈川県横浜市では、個人住民税を納付することが困難であると認められる場合、必要に応じて減免を受けられる場合があります。具体的な条件は下記の通りです。
・災害によって住宅、家財が減失などをした場合
・生活保護を受けている場合、または生活保護に準ずる場合
・前年の所得が一定額以下で、1か月以上失職などで所得がない場合
・前年の所得が一定額以下で、前年の所得に比べて一定の割合以上所得が減少した場合
※失職などとは、会社の倒産や人員整理による解雇、疾病による失職を指します。自己都合や期間満了などでの退職は除きます。
減免の割合は、災害が発生した日からどれくらい時間が経っているか、前年の所得などで前後します。
なお、横浜市の場合、公式サイトでは「減免を受けられる」と表記がありますが、「免除される」とは紹介されていません。しかし、「市民税減免規定及び減免額一覧(横浜市)」を確認すると、条件によっては「その期間に到来する納期の全額」という項目も用意されているため、実質免除される場合もあります。
退職後も住民税の支払いは発生するので注意
こちらも横浜市を例にご紹介します。
会社勤めをしている場合、住民税は前年の所得を基準として支払い額が決まり、所得のあった翌年の6月から支払いが開始となります。仮に3月に退職をした場合でも、その年の6月からは前年の取得から計算された住民税を支払うことになります。
【参考】横浜市 退職後の住民税は…
個人住民税の減免・免除を申請する際に必要なもの
個人住民税の減免・免除には、納期限までの申請が必須となります。申請には「納税通知書」に加えて、減免したい理由を証明できる書類が必要なので、忘れないようにしましょう。以下は横浜市の例です。
災害を受けた場合
り災証明など
生活保護を受けている場合(生活保護に準ずる場合)
保護証明など(収入、生活状態がわかるもの)
会社の倒産、人員整理による解雇、疾病による失職など
雇用保険受給者証、給与明細書(疾病による失職の場合は診断書、入院証明書)など
収入の大幅な減少
収入の減少状況がわかるもの(直近6か月分程度の給与明細書、売上帳簿類、預金通帳類)など
新型コロナの影響で住民税の納税が難しい場合の救済措置もある?
新型コロナウイルスを患った場合や、新型コロナウイルスの影響で財産に相当な損失が生じた場合、事業を廃止または休止した場合など、住民税を一時的に納付することが困難な際には、申請による猶予制度が用意されている場合もあります。
状況によっては、住民税だけでなく国民健康保険料なども減免となる場合もあるので、お住いの地域の公式サイトを確認したり、窓口に問い合わせてみましょう。なお、申請には期限が設けられている場合もあるので、気になる人は早めに確認してみるのがおすすめです。
【参考】横浜市 新型コロナウイルス感染症の影響により納税が困難な方へ(市税の猶予制度)
【参考】横浜市 横浜市国民健康保険料 新型コロナウイルス感染症による収入減少等減免のご案内(令和4年度分)
※データは2023年3月上旬時点での編集部調べ。
※情報は万全を期していますが、その内容の完全性・正確性を保証するものではありません。
※詳しくはお近くの市区町村、税事務所、税理士などの税のプロに相談して下さい。
文/佐藤文彦