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贈与税に時効はある?注意したい起算日と申告しなかった場合のペナルティー

2023.04.14

贈与税の時効は、原則6年・場合によっては7年となっています。とはいえ、実際に時効が成立するケースは極めてまれです。贈与を受けた場合は時効を待たず、適切に納税を行いましょう。贈与税の時効や起算日の考え方、贈与税納付の必要性について紹介します。

贈与税に時効はある?起算日もチェック

贈与税とは、個人間で財産の移動があった場合に、贈与を受けた側に課せられる国税です。1月1日から12月31日までの贈与額が、基礎控除額の110万円を超えた分に対し納税義務が生じます。

贈与税には、時効はあるのでしょうか?贈与税の時効や、時効の起算日の考え方を紹介します。

参考:No.4402 贈与税がかかる場合|国税庁

相続してから6年後に時効になる

贈与税の時効は、原則として6年です。ただし『贈与の事実を故意に隠そうとした』『意図的に隠ぺいした』などの悪質なケースでは、1年延長されて7年となります。時効成立前に贈与税の納付が必要と認められた場合は、延滞金などを含めた税額が請求される決まりです。

そもそも国税の時効という考え方は、贈与税だけに限定されるわけではありません。国税通則法第70条・第72条によると、国が税金を課したり徴収したりできる期間は、国税の法定納期限から原則5年と定められています。

贈与税は、例外的に時効までが長く設定されているケースです。

参考:国税通則法 第70条・第72条 | e-Gov法令検索
参考:納税環境整備に関する基本的な資料 : 財務省

起算日は翌年3月16日

贈与税の時効の起算日は、『贈与の事実があった翌年の3月16日』です。同じ年内なら、月の早い・遅いは関係ありません。

例えば2023年内なら、贈与を受けたのが1月でも12月でも、時効の起算日は2024年3月16日となります。何ごともなく期間が過ぎれば、2030年3月15日に時効が成立するでしょう。

なぜ3月16日なのかというと、国税における『除斥期間(権利を使用しないまま放置すると、権利が自然消滅する期間)』は、法定納期限の翌日を起算日とするためです。

贈与税は原則、贈与を受けた翌年2月1日〜3月15日までに申告・納税すると定められています。すなわち16日が贈与税の『法定納期限の翌日』に該当するため、この日が時効の起算日となるのです。

参考:国税通則法|国税庁
参考:No.4429 贈与税の申告と納税|国税庁

贈与税の時効は本当に成立するの?

贈与税関係資料

(出典) pixta.jp

贈与税は、『時効を過ぎれば税金を納めずに済む』という単純なものではありません。税務署に贈与の事実・実態を知られれば、多額の税金を納めることとなります。

贈与税の時効が成立しにくい理由や、時効にならないケースを見ていきましょう。

難しいと考えた方が無難

税務署には、事業者から提出される法定調書や、全国民の税金関連情報を一括管理する国税総合管理システムがあります。

万が一、税務署に目を付けられて税務調査対象となれば、贈与の事実を隠すのはほぼ不可能です。より大きなペナルティを課せられる前に、適切に贈与税の申告・納税を行いましょう。

贈与税の税務調査が入る主なパターンとしては、『不動産取得後の登記で、資金源を怪しまれた』『相続税の申告で不審な点があった』などがあります。

特に相続税の調査では、被相続人はもちろん、相続人の財産状況まで徹底的に調べられます。現金をタンスに隠していたなどの場合でも、調査が入れば隠し通すのは難しいと考えましょう。

参考:法定調書関係|国税庁
参考:国税総合管理(KSK)システムの概要|財務省

時効にならない例

お金のやりとりが『贈与』に該当しない場合、贈与税の時効は成立しません。例えば『名義預金』はよくあるケースです。

名義預金とは、お金の持ち主が他人名義の口座で管理している預金を指します。『祖父母が孫名義の銀行口座にこっそりお金を振り込んだ』『親が子ども名義の口座を作ってお金を管理した』などは、名義預金と見なされるのが一般的です。

贈与が成立するためには『双方がお金をあげた・もらったという認識がある』『お金を受け取った側がお金を管理している』などの事実が必要となります。

すなわち名義預金は『贈与ではない』と判断され、贈与税の対象にならないのです。名義預金のお金は振り込んだ人の財産にカウントされ、相続税の対象となります。

参考:相続税の仕組みの分かりやすい解説「相続税のあらまし」|国税庁

贈与税を申告しなかった場合のペナルティ

電卓

(出典) pixta.jp

贈与税に限らず、納付が必要な税金を申告しなかった場合は、『加算税』『延滞税』が課せられます。税率は状況によって異なり、悪質なほど重いペナルティが課せられる決まりです。贈与税のペナルティについて詳しく紹介します。

参考:納税環境整備に関する基本的な資料 : 財務省

うっかり忘れの場合

法定納期限までに贈与税を申告しなかった場合、『無申告加算税』が課せられます。納税額は『本来納付すべき贈与税額×無申告加算税の税率』で計算しましょう。

ただし税率は、『税務調査後に申告するケース』『税務調査の事前通知の段階で申告するケース』で異なります。

税務調査後に納税する場合、適用される税率は以下のとおりです。

  • 本来納付すべき贈与税額に対して50万円までの部分:15%
  • 本来納付すべき贈与税額に対して50万円を超える部分:20%

一方、税務調査の事前通知の段階で申告した場合は、5%ずつ低い税率が適用されます。

  • 本来納付すべき贈与税額に対して50万円までの部分:10%
  • 本来納付すべき贈与税額に対して50万円を超える部分:15%

また、税務調査の通知を受け取る前に自主的に贈与税を申告した場合は、贈与税額にかかわらず加算税率は『5%』です。

参考:No.2024 確定申告を忘れたとき|国税庁

申告したが漏れがあった場合

贈与税を本来の税額よりも少なく申告していたと指摘された場合は、『過少申告加算税』が課せられます。税額を算出するための計算式は、『新たに納めることになった贈与税額×過少申告加算税の税率』です。

過少申告加算税も、『税務調査後に申告するケース』『税務調査の事前通知の段階で申告するケース』で税率が異なります。税務調査後に指摘を受けて申告した場合の税率は、以下のとおりです。

  • 当初の申告納税額または50万円のいずれか多い方以下の部分:10%
  • 当初の申告納税額または50万円のいずれか多い方を超えた部分:15%

一方、税務調査の事前通知の段階で申告すると、以下の税率が適用されます。

  • 当初の申告納税額または50万円のいずれか多い方以下の部分:5%
  • 当初の申告納税額または50万円のいずれか多い方を超えた部分:10%

なお、税務署の調査を受ける前に自主的に修正申告すれば、過少申告加算税は課されません。

参考:No.2026 確定申告を間違えたとき|国税庁

悪質だと判断された場合

脱税目的で意図的に贈与の事実を隠そうとした場合や、書類を改ざんした場合などには、『重加算税』が課せられます。税率は、無申告・過少申告のケースで異なります。

  • 無申告のケース:40%
  • 過少申告のケース:35%

過去にも無申告加算税・重加算税を課せられた人は、上記の税率にそれぞれ『10%』ずつ加算されるので注意しましょう。加算の対象期間は、期限後の申告日前日から起算して過去5年前の日までです。

また、隠ぺい・改ざんが悪質であると認められた場合は、『脱税犯』として刑事罰を受ける恐れもあります。脱税犯の懲罰は、10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金、あるいはその両方です。

参考:相続税及び贈与税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)|国税庁
参考:加算税制度(国税通則法)の改正のあらまし|国税庁
参考:相続税法 第10章 雑則及び罰則|国税庁

その他「延滞税」にも注意

延滞税は、納税が遅れたことにより課せられるペナルティです。納期限から、実際に納付するまでの日数に応じて課せられます。税率は、納期限から2カ月を境に変わります。

  • 納期限を過ぎた翌日から2カ月経過する日まで:年7.3%、または延滞税特例基準割合+1%のいずれか低い方
  • 納期限を過ぎた翌日から2カ月経過した日以降:年14.6%、または延滞税特例基準割合+7.3%のいずれか低い方

『納期限』とは、期限内に申告した場合は『法定納期限』、期限後申告または修正申告の場合は『申告書を提出した日』、税務署による更正・決定を受けた場合は『更正通知書を発せられた日から1カ月後の日』です。

また、税率の元となる延滞税特例基準割合は、銀行の新規の短期貸出約定平均金利をベースに計算されています。毎年割合が異なるため、国税庁のホームページで確認しましょう。

参考:No.9205 延滞税について|国税庁
参考:延滞税の割合|国税庁

贈与税を申告する方法は?

お金と家と電卓のイメージ

(出典) pixta.jp

贈与税の課税方法は『暦年課税』『相続時精算課税』があり、どちらで申告するかは贈与を受けた人が選択できます。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

贈与税の申告方法は2種類ある

『暦年課税』とは、その年の1月1日から12月31日までに受けた贈与を対象とする課税方法です。一方『相続時精算課税』とは、贈与税の精算を相続税の発生まで先送りできる課税方法です。

暦年課税は誰にでも適用できる一方、相続時精算課税は『贈与者が60歳以上の両親または祖父母』『受贈者が推定相続人(代襲相続人含む)である18歳以上の子または18歳以上の孫』の条件を満たす必要があります。

また暦年課税から相続時精算課税への変更は可能ですが、逆はできません。相続時精算課税を選択する場合は、慎重に判断しましょう。

暦年課税・相続時精算課税ともに、窓口申告・郵送申告のほか、電子申告も可能です。

参考:財産をもらったとき|国税庁
参考:贈与税の申告|国税庁

暦年課税の手続き

暦年課税では、贈与額を1年単位で申請します。非課税枠として『110万円』が設定されており、これを上回る贈与を受けた場合には申告が必要です。

暦年課税の申告は、贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日までの期間に行います。申告に必要な書類は、『申告書第1表(兼 贈与税の額の計算明細書)』です。申告書は最寄りの税務署でもらうか、国税庁ホームページからダウンロードするとよいでしょう。

特例の適用などがない場合は、財産を贈与した人(贈与者)・申告する人(受贈者)についての情報・贈与額などを記載するだけで、申告できます。

なお申告書の提出には、マイナンバーが必要です。窓口申告を行う場合は、マイナンバーの正当性を証明できる本人確認書類も持参しましょう。

参考:Ⅰ申告書の作成のしかた等|国税庁
参考:[手続名]贈与税の申告手続|国税庁

相続時精算課税の手続き

相続時精算課税は、『60歳以上の父母または祖父母』から『18歳以上の子・孫』への贈与について、贈与時には課税せず相続時に相続税として課税する制度です。非課税枠は2,500万円に設定されており、この枠内であれば同一の贈与者から何回でも贈与を受けられます。

贈与額が2,500万円を超えた場合は、その時点で贈与税申告が必要となります。超えない場合は、相続まで申告の必要はありません。相続額が、相続税の基礎控除額内に収まれば、相続税の納付も不要です。

相続時精算課税を選択する場合は、最初の贈与を受けた翌年の贈与税の申告期間内に手続きが必要です。贈与税の申告書(第1表・第2表)と『相続時精算課税選択届出書』、さらには贈与者・受贈者の関係が分かる『受贈者の戸籍謄本』などを用意し、最寄りの税務署に提出しましょう。

参考:財産をもらったとき|国税庁
参考:No.4301 相続時精算課税の選択と相続税の申告義務|国税庁
参考:Ⅰ申告書の作成のしかた等|国税庁
参考:No.4304 相続時精算課税を選択する贈与税の申告書に添付する書類|国税庁

構成/編集部

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