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電気代の値上がり要因のひとつ?覚えておきたい「燃料調整費」の仕組み

2023.04.03

最近、ニュースで取り上げられる機会も多くなった電気料金の値上げに関する話題。この値上げの大きな要因となっているのは、原材料の輸入価格の高騰による「燃料調整費」の引き上げだ。

そこで本記事では、電気料金の内訳にも載っている燃料調整費の概要や仕組み、算定方法について解説する。私たちの生活に関わる身近な電力の料金について、ぜひ知識を身に付けておこう。

燃料調整費とは

まず、燃料調整費とはどういった費用のことを指すのか解説する。併せて燃料調整費の仕組みについてもチェックしていこう。

電気料金の内訳項目の一つ

燃料調整費は、電気料金の内訳に含まれている項目の一つで、原油価格や液化天然ガス価格などの燃料の原材料の平均価格により毎月変動する調整額のことを指す。日本では発電に使用する燃料を海外から輸入しているケースが多く、世界情勢によって影響が生じる燃料価格の変化を電気料金に反映できるように燃料調整費が導入されている。

ちなみに、残りの電気料金の項目としては、基本料金、従量料金、再エネ賦課金の3つが挙げられる。

燃料調整費の仕組み

燃料調整費は、燃料費調整制度に基づき毎月決定され、発電に使う燃料の価格変動に伴って燃料調整費の引き上げ、引き下げが行われている。実際に必要となった燃料価格の3か月分の平均値のことを「平均燃料価格」、電力会社が料金プラン設定時に想定していた平均的な燃料の価格は「基準燃料価格」と呼ばれる。

この平均燃料価格と基準燃料価格の差分から、毎月の燃料費調整単価が算定され、電気料金の調整が行われている。

燃料調整費の金額

燃料の原材料価格によって毎月変動する燃料調整費。ここからは、燃料調整費の具体的な算定方法と、燃料調整費に上限のある電気料金プランについて見ていこう。

燃料調整費の価格はどのように決まるのか

燃料調整費は、「毎月の燃料費調整単価」に「使用した電力量」を乗じて算定される。

毎月の燃料費調整単価は、計算で求めることが可能だ。計算には、先ほど紹介した「平均燃料価格」と「基準燃料価格」、平均燃料価格が変動した場合の燃料費調整単価である「基準単価」の3つの値が用いられる。また、燃料費調整単価の計算式は、燃料の原材料価格の変動状況に合わせて以下の2パターンが存在する。

・燃料の原材料価格が高騰した場合:(平均燃料価格-基準燃料価格)×(基準単価/1,000)

・燃料の原材料価格が急落した場合:(基準燃料単価-平均燃料単価)×(基準単価/1,000)

なお、燃料調整費は、電力会社や地域によって価格が異なる場合があるため、実際に算定する場合は、契約している会社のホームページで調べておこう。

燃料調整費に上限が設定されているプランも

燃料調整費は燃料価格の変動に影響を受けるが、中には燃料調整費の上限が設定されている電気料金プランもある。その場合、上限を超えた分の金額は、請求される燃料調整費には含まれない。そのため、上限設定があるプランの方が、燃料価格高騰による影響は受けにくいと考えられる。ここでは2つの主要な電気料金プランの上限設定について紹介する。

1.規制料金プラン

東京電力や北海道電力などの旧一般電気事業者が提供しているプランで、毎月の電気使用量によって料金が決定する電気料金方式の「従量電灯プラン」のこと。旧一般電気事業者以外の企業が電力を販売できるようになった電力自由化以前から存在する歴史あるプランだ。

消費者の利益保護の観点から、料金自体が法律で決められており、燃料調整費の上限が設定されているが、上限金額は電力会社によって異なる。

2.自由料金プラン

電力自由化以降に生まれた比較的新しい料金プラン。規制料金プランと異なり、料金と上限設定の決まりはない。しかし、近年の海外情勢の影響による燃料の輸入価格の高騰から、電力を安定的に提供することを目指し、自由料金プランの燃料調整費の上限撤廃を行う電力会社が増えている現状がある。

燃料調整費の傾向と対策

電気料金の中でも、原材料の燃料価格に左右されやすい燃料調整費。最後に、料金の推移傾向と国内で行われている値上げ対策を紹介する。

電気料金は上昇傾向

近年、世界情勢の影響を受けて燃料価格が高騰していることから、電気料金も値上げ傾向にある。この主な要因となっているのは原材料の輸入価格の高騰だ。

2021年、各国で新型コロナウイルス感染拡大防止のための行動制限に緩和の動きが見られるようになり、世界的にエネルギー需要が回復し始めたのに対して、産油国が生産を増加しなかったことから、原油の受給がひっ迫する状況に陥り、原材料の輸入価格が上昇している。

また、ロシアによるウクライナ侵攻の影響も大きい。今後、エネルギー資源を豊富に有するロシアからの天然ガスなどの供給が不安定になれば、さらに燃料価格が高くなる可能性もあると見られる。

国内での値上げ対策

電気料金が値上げされる一方、国ではエネルギー価格高騰対策として、2023年1月から「電気・ガス価格激変緩和対策事業」が実施されている。この事業は2023年1月から9月までの期間限定のもので、経済産業省から認可された事業者は燃料調整費の値引きが可能だ。事業の詳細については、利用している電力会社のホームページからチェックしよう。

さらなる今後の見通しとしては、大手電力会社が2023年4月からの電気料金値上げを申請していることから、2023年10月以降は電気料金の請求額が上がる可能性が高いとされている。

電気料金の節約のためにも、不要な照明のスイッチを切ったり、冷暖房の設定温度を見直したりと、身近なことから省エネを意識してみよう。

※データは2023年3月中旬時点のもの。

※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。

※製品およびサービスのご利用はあくまで自己責任にてお願いします。

文/編集部

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