相手の功績を誉める際によく使われる言葉「礼賛」。漢字から大体の意味は推測できても、正しい意味や使い方まではよく分からないという方も少なくないだろう。
そこで本記事では、「礼賛」の正しい意味をはじめ、「賞賛」との違いや類義語・対義語などを紹介する。この機会に正しく使い分けられるようにしておこう。
礼賛とは?
礼賛の読み方は、「らいさん」。まず、この言葉の意味や語源、よく似た「賞賛」との違いについて確認していこう。
素晴らしいものとして褒めたたえること
礼賛とは、素晴らしいものや偉大な人を心の底から立派だと思い、褒めたたえること、またありがたく思うことを意味する。家族や友人などの身近な人ではなく、偉人や偉業を成し遂げた方を深く敬い、尊敬を表す時に使われる。
一方、よく似た「賞賛」は、目上の人が目下の人に対して褒める場合や、身近な人を敬い褒める場合にも使える。相手を敬い、褒めたたえる点は共通しているが、褒める対象やニュアンスに違いがある点をおさえておこう。
礼賛の語源
礼賛は、もともと「三宝を礼拝し、その功徳を賛嘆する」という意味を持つ仏教用語だった。この三宝は、仏(仏様)、法(仏が悟った真理)、僧(僧侶)のこと。三宝のどれか一つが欠けてしまえば仏教は成り立たない。
礼賛の使い方
ここからは、礼賛の使い方を解説する。使用シーンと例文をそれぞれ確認していこう。
使用シーン
礼賛は、ビジネスシーンや新聞記事・広告において偉大な人を他人へ紹介するために使われることが多い。先述の通り、親しい人を指して使う言葉ではない点は注意しよう。
例文
礼賛は、「礼賛する」「礼賛している」「〜礼賛」という形で使われるのが一般的。具体的な使い方について、例文をいくつか紹介しよう。
【例文】
「和食は、日本の誇り高い文化遺産として礼賛に値する」
「社長の偉業を礼賛している」
「彼の人への振る舞いや熱心な仕事ぶりに礼賛を捧げたい」
「世界中の人々に平和と幸せをもたらした彼女の功績を礼賛する」
類義語
礼賛の類義語には以下のようなものがある。それぞれの言葉の詳しい意味を見ていこう。
・敬愛
尊敬して親しみの気持ちを持つこと。身近な人に対して用いられる点で、伝える対象が礼賛と少し異なるが、意味は似ている。「〜の念を抱く、覚える」というような使い方がある。
・畏敬
崇高なものや偉大な人を畏れ敬うこと。褒める対象が身近な人ではなく、偉大な物、存在に対する点では礼賛と共通しているが、会話より文中で使われることが多い言葉だ。感銘を受けた芸術作品や、会社の社長など距離のある存在に対して、尊敬の気持ちを表す時に使われる。例えば、「彼の功績は、私に畏敬の念を抱かせた」という使い方ができる。
・崇拝
情熱的に愛すること、心から尊敬するという意味。礼賛と意味は似ているが、目上の人に対してしか使わない点に違いがある。
・尊崇
読み方は、「そんすう」。尊は、「敬い大切にする」、崇は、「尊ぶ、崇める」という意味で、相手を尊び崇めることを指す。「天皇は国民から尊崇の念を集めている」のように、相手への尊敬の気持ちを「尊崇の念」という言葉を用いて表現する場合がある。
対義語
次に、礼賛と反対に、相手の未熟さや卑しい態度を見下す時に使われる対義語を紹介する。
・軽蔑(けいべつ)
卑しいものや劣ったものとして馬鹿にすること、または軽んじて蔑むことを表す、礼賛とは正反対の意味を持つ言葉。例えば、「罪のない健気な動物を虐待して、捨てる行為は、軽蔑に値する振る舞いだ」というような表現で使われる。
・侮蔑(ぶべつ)
人を見下して、蔑むこと。相手の発言や態度が未熟で、人として最低だと感じた時に使われる。相手に尊敬や感謝の気持ちを持たずに見下している点で、礼賛と相反する。
礼賛の英語表現は?
最後に、礼賛を英語で表したい時に使える表現を3つ紹介する。英語を使う機会が多い方はぜひチェックしておこう。
・praise (賞賛する、褒める)
「be worthy of praise」で「〜は礼賛(賞賛)に値する」と表現できる。
例文:“Washoku” is worthy of praise as a Japanese traditional cultural heritage.
(和食は、日本の伝統的な文化遺産として礼賛に値する)
・adore(あがめる、崇拝する)
例文:She adored everything about the actor.
(彼女はその俳優のすべてを礼賛していた)
・admire(称賛する、ほめる、感服する)
例文:I admire his effort and performance.
(私は、彼の努力と仕事ぶりは立派だと思っています)
文/編集部