最近、対話型形式のAI「ChatGPT」の名前をよく耳にするようになりました。ChatGPTはネット上のあらゆるデータから学習し、我々の質問に対してかなり高精度に回答してくれます。
ユーザーの質問に対しAIが対話形式で回答する「ChatGPT」
またこのような優秀なAI「ChatGPT」に、「これから株価が上昇する銘柄」を聞き出せば、もしかしたら簡単にお金を稼げるのではないか、と考える方もいるかもしれません。
ChatGPTは投資の予想ができるのか?
ChatGPTに儲かる株を押してもらおうとすると…
残念ながら現在、ChatGPTに「2023年、株価が上昇して儲けられそうな株を教えてください」と質問しても、「私は未来の出来事を予想することはできません。」「投資に関する専門家やアドバイザーの意見を参考にすることも役立つ場合があります。」といった回答となります。また、AIとしても「法律上、具体的な銘柄の推奨は行えません。」との返答が来るため、もしかしたら投資予想などに関する質問に対しては、あらかじめAIに機能制限が加えられているのかもしれません。
このため、残念ながらAIに質問して、「投資で一攫千金」ということは、現状では難しいです。
質問の方法を変えれば、投資にも役立つ可能性も…
直接的に「上がる株を教えて」という質問に対しては、ChatGPTは閉口してしまいます。ただ質問の仕方を変えれば、投資に関してもうまくChatGPTの優秀さを引き出すことができます。例えば「直近の売上高・営業利益が上昇傾向の銘柄を教えて」などの質問をすると、ChatGPTは自動で条件にあった銘柄をピックアップしてくれます。
条件を設定するとChatGPTは銘柄を探し出してくれる
このようなことから、ChatGPTは「株価予想AI」として使うよりも、「自分の好きな特徴の株を検索させるAI」として活用した方が賢明でしょう。
ただ現状では、このような株検索としてのChatGPTにも問題点があります。今回の場合には「配当利回りが3%を超えている」という条件を指定したにもかかわらず、配当利回りが1%を下回るソフトバンクグループがピックアップされました。
ヤマダ電機の業績推移(引用:株探)
また、ヤマダ電機に関しては、「直近3年の売上・営業利益が上昇傾向のものを教えて」と指定したにもかかわらず、条件に合致していません。この理由は、現在のChatGPTは2021年9月までの情報をもとに回答しているためです。
それを考慮に入れると、ヤマダ電機は2019年~2021年にかけて、たしかに売上高・営業利益はともに上昇傾向であり、ChatGPTの判断は間違っていなかったことになります。ただ一方で、ソフトバンクグループに関しては、ここ数年で一度も配当利回り3%を超えていないため誤った検索結果となっています。現状のAIでは今回のソフトバンクグループのように、間違った銘柄を抽出する可能性もあります。このため、投資判断の最終決定は引き続き人間がしなければいけないでしょう。
ただ、今後近い将来にChatGPTもアップデートが行われ、常に最新のデータから回答してくれるようになり、なおかつ、その精度も向上していくでしょう。そうすれば我々人間は、無数にある企業の中から業績の良い銘柄を探し出す必要はなくなります。AIを駆使することで、現在より投資への労力をはるかに削減でき、銘柄分析に時間を割けないサラリーマンにとっても個別株投資が身近になるかもしれません。
また、最近のAI技術の発展を考えると、今後株式投資の世界で巨万の富を築くのは、ウォーレン・バフェットのような天才的な投資家や証券マンではなく、もしかしたら投資AIを開発したエンジニアなのかもしれません。
文/ぽんちよ
投資系YouTuber。2019年10月からYouTubeチャンネル『投資家ぽんちよ』を開設し、投資や副業、セミリタイアに関わることを発信している。サラリーマンとして働きながら活動していたが、2022年3月にFIRE達成。YouTubeチャンネルはこちら