文句のつけどころがない最高の乗り心地
今回走ったのは、街乗りとバイパスを中心とした4時間ほど。はじめに率直な感想を述べると「超気持ちいい!もっと走りたい!!」です。
ときめきは、エンジンをかけた瞬間から始まりました。
「ボボボボボボ…」という絶え間なく安定した低い排気音は、筆者が所有する単気筒・二気筒バイクにはないもの。軽くアクセルを回すだけで軽く吹け上がり、「ボアァァーーン!!」という高い音に変化します。
その音を聞くだけで、まるで獲物を目前にした肉食動物のような気分。頭のてっぺんから足のつま先まで、ドクドクと大きく脈打つのが感じられるほどに自分が興奮しているのがわかります。
このバイク、間違いなく面白い!走る前から本能的に伝わってくるのです。(乗り始めて5分ぐらいは、発進の際に間違えて大きく「ブァン!」とふかすミスが多発してしまいましたが…)
ひとたび走り始めれば、CB400SFは身体が置いて行かれそうなほどに軽快に加速をしていきます。まるで重力や摩擦がこの世に存在しないみたいに、あるいは翼が生えて鳥や風にでもなったかのように感じさせてくれるのです。
特にエンジンを6300rpm以上回して『ハイパーVTEC(ホンダ独自のバルブ制御システム。1気筒当たりの作動バルブ数が2個から4個へと切り替わる)』が作動してからは、脳がピリピリするほどの爽快感が感じられます。
その実力は、70km/h制限のバイパスでははかり切れません。大型バイクと比べてもまったく引けを取らないどころか、むしろ勝ってしまうほど。どこまでも、いつまでのこのまま走り続けたいようなパワーを感じさせてくれたのでした。
それなら低速時の乗り心地はどうなのかというと、これも最高の一言でした。
さすが教習車に選ばれただけあり、小回りも効くし、低速走行時の安定感もバツグン。狭い路地や車通りの多い街中でも、挙動が不安定になったりエンストしそうになったりすることはありません。なんだか運転がうまくなったような気持ちになりました。
かつてCB400SFを所有していた友人が「どんな場所でも気持ちよく走れるから、他のバイクに乗り換えられなくなっちゃうんだよね」と言っていたことを思い出します。
まったく文句のつけどころがない、400ccクラスの最高峰といえるバイクであることを実感しました。
今回は街乗りを中心に走ったため、峠道をもっと思い切り走ってみたいという欲もあります…が、あまりの気持ち良さに、自分の技量を無視して思い切りつっこんで痛い目に遭ってしまいそう。もしも再び乗る機会が訪れたなら、自分を律する強い心を持って臨みたいと思います。
誰もがもう一度乗るべき名車
筆者の遠い記憶の中のCB400SFはとにかく重く、操作も難しくてうまく扱えなかった苦しい記憶とともにありました。あれから10年。少しはバイクの扱いに慣れ、純粋に楽しんで走れるようになった気がします。
もちろん今の筆者が一般道を走ったぐらいでは、CB400SFのスペックをすべて引き出すことはできません。
それでもアクセルを回して風になる爽快感や、耳に届く心地よい排気音など、バイクを楽しむためのすべてが詰まったような車両であることは確実です。生産が終了して新車が手に入らなくなった2023年現在、多くの人が今後CB400SFに乗らないということが心の底から勿体なく感じるような体験が得られました。
レンタル用の車両が現役な今のうちに、誰もがもう一度乗るべき1台です。
また、いつか400ccクラスの4気筒ネイキッドバイクが再登場すると嬉しいですよね。ホンダさん、お待ちしております!