時代劇や歴史関連の書籍などで、今では使われていない単位が見られることも多く、気になっている人もいるのではないでしょうか?日本に昔からある単位や、現在でも使われているもののあまり知られていない単位を把握し、雑学の知識を深めましょう。
昔から日本の生活に密着してきた単位は?
江戸時代には、『尺貫法』と呼ばれる単位が使われていました。長さは『尺』、質量は『貫』をもとに作られた単位系です。具体的にどのような単位だったのか紹介します。
長さ・距離を表す単位
時代や地域によって異なる点が多いため、厳密な数字は出しにくいものですが、長さ・距離を表す単位とおおまかな数字の目安は以下の通りです。
- 1里(り):3.9273km
- 1町(ちょう):109.09m
- 1間(けん):1.8182m
- 1尺(しゃく):30.303cm
- 1寸(すん):3.0303cm
- 1分(ぶ):3.0303mm
- 1厘(りん):0.30303mm
『尺』や『寸』などは、唐の時代に中国から伝わったとされており、それらをもとに作られたのが尺貫法です。
長さの由来は諸説ありますが、1尺は、手を広げた際の親指から中指までの長さを2倍にしたものといわれています。1寸は親指の幅ほどの長さで、有名な昔話の『一寸法師』は、約3cmと非常に小さいことがわかります。
重さを表す単位
重さを表す単位とおおまかな数字の目安は、以下の通りです。
- 1貫(かん):3.75kg
- 1斤(きん):600g
- 1両(りょう):37.5g
- 1匁(もんめ):3.75g
かつて使われていた貨幣である『一文銭』の重さは3.75gで、重さの基準になっていました。『一文銭の目方』を指して『文目』が使われるようになり、『匁』と表記されるようになったといわれています。
『匁』は、現在でも真珠を取引する際に、世界共通の単位『momme』として使われています。現在使われている5円玉の重さも1匁です。
また、一文銭を1,000枚集めた重さが『貫』です。一文銭の穴にひもを通して一括りにし、ひもで貫くという意味から『貫』と呼ばれるようになったといわれています。
体積を表す単位
体積を表す単位の中には、現在でも使われているものもあります。
- 1石(こく):180.39L
- 1斗(と):18.039L
- 1升(しょう):1.8039L
- 1合(ごう):180.39mL
『合』は、米を炊くときに使う単位なので知っている人が多いでしょう。また、日本酒の量としても使われています。『1升瓶』のように、日本酒の量を表す単位には『升』もあります。
1升瓶10本分は『1斗』で、塗料や工業用オイルなどを入れる『1斗缶』という言葉を知っている人もいるでしょう。
『石』は、米の量を表す『石高(こくだか)』として使われていました。太閤検地を経て、江戸時代では、土地の生産量を示す公式の評価単位でした。
面積を表す単位
面積を表す単位には、以下のようなものがあります。
- 1町(ちょう):9917.4平方m
- 1反(たん):991.74平方m
- 1畝(せ):99.174平方m
- 1坪(つぼ):3.3058平方m
『坪』は、現在でも家・土地の広さを表すのに使われているため、なじみがある単位ではないでしょうか。1坪は2畳とする場合もありますが、畳の大きさは統一されておらず、地域によって規格が異なります。
また古い時代には1坪は『1人が1日に食べる米の量とされる米3合分を生産できる面積』と判断されていたともいわれています。
どこまで知ってる?日本の「数」の単位
一・十・百・千・万・億・兆という数字の単位は知っていても、その上の単位を知らない人は珍しくありません。普段はあまり使うことのない、千兆以上の単位を見ていきましょう。
千兆以上の数
千兆以上の数を表す単位には、京(けい)・垓(がい)・ジョ(常用漢字外)・穰(じょう)・溝(こう)・澗(かん)・正(せい)・載(さい)・極(ごく)があります。
その後は漢字1文字ではなくなり、恒河沙(ごうがしゃ)・阿僧祇(あそうぎ)・那由他(なゆた)・不可思議(ふかしぎ)・無量大数(むりょうだいすう)です。
『載』までは古代中国の数詞で、『極』からは古代インドの数詞といわれています。また、『無量大数』という単位は、『無量』と『大数』というように別個で数えられていたという説もあります。
参考:億、兆、……となりますが、もっと大きい数を表す漢字には、どのようなものがありますか?|漢字文化資料館
無量大数以上も定義されている
無量大数を最大の数詞とするのが一般的です。しかし、仏教の経典の一つである『華厳経(けごんきょう)』には、さらに120以上もの数詞が記されています。厳密には『大方広仏華厳経』と呼ばれるもので、大乗仏教を代表する経典です。
数値には阿伽羅(あから)・摩婆羅(まばら)・泥羅婆(ないらば)・娑婆羅(しゃばら)・不可思(ふかし)などがあり、不可説不可説転(ふかせつふかせつてん)が最大数です。
なお『不可説』は、『悟りの境地は言語化できない』ということを示すとされています。
現在の単位に変わったのはいつ?
古くから使われていた単位が、現在のものに変わったのはいつからなのでしょうか?どのような経緯で変更になったのかについても、見ていきましょう。
最初に導入されたのは1891年
日本で本格的に尺貫法から『メートル法』に変わったのは、1891年のことです。1875年にフランスでメートル条約が成立したことを受け、1891年に『度量衡法』が公布され、正式にメートル法が導入されたのです。
そして1951年には『計量法』が公布され、計測器の製造・修理が『許可制』となり、販売も『登録制』になりました。1993年には、『新計量法』と呼ばれる現在の計量法が施行され、現在に至っています。
構成/編集部