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本当に頭のいい人がやっている「論破しない」交渉術

2023.03.18

達人は気づかないうちに交渉を終わらせる

「交渉術」という言葉を聞くと、一時期流行した「論破」とからんで、なにかアグレッシブな印象が先立つ。口八丁で、自分に有利に物事を動かすイメージが、どうしても出てしまうのだ。

しかし、本当に交渉が巧みな人は、そんなイメージとは真逆なことがほとんどだという。そう説くのは、教育コンテンツ・プロデューサーで(株)士教育代表取締役の犬塚壮志さん。

「頭のいい人の交渉は、そもそも相手に交渉の開始と終了を気づかせず、相手とぶつからないことが得意なのです」―犬塚さんは著書『頭のいい人の対人関係 誰とでも対等な関係を築く交渉術』(サンクチュアリ出版)で、こう力説する。

「交渉の開始と終了を気づかせない」は、交渉にたけた人に共通する、大きな特徴だという。犬塚さんの解説を続けよう。

“頭のいい人は、相手に悟られないように、ごくごく自然に交渉を始めます。これは「さあ、今から交渉を始めるぞ!」と、気合いを入れて交渉を始めようとすると、相手が緊張し、身構えてしまうからです。すると、本来はうまくいくはずだった交渉も、失敗しかねません。

また、頭のいい人の交渉は、常に自然体のため、交渉が終わったことすら気づかれないこともあります。相手は「交渉した」という自覚がないままに交渉を終えることになります。”(本書029pより)

この方針と「相手とぶつからない」ことを旨とするため、交渉の達人は、どこまでもソフトタッチ。交渉を挑まれた側も、気持ちよく同意したくなる雰囲気に。

犬塚さんによれば、交渉がうまい人の他の特徴として、「身を守ることを最優先にする」「“All-Win”を目指している」「目的にフォーカスして手段を選択する」がある点を挙げる。

「自己開示」で交渉しやすい雰囲気をつくる

「なんだか難しそう」という気持ちになったかもしれない。が、心配はご無用。本書で犬塚さんは、交渉に苦手意識を持っている人向けに、即実践できるさまざまなメソッドを教えてくれる。

その1つが「自己開示」。これは、自分のパーソナルな情報を、交渉相手に教えること。今の仕事、趣味、ライフスタイルなど、いろいろな情報が自己開示の素材になり得る。

“自分から自分自身のことを話すことで、相手は「この人は自分のことを信用してくれているな」と思ってくれます。そのうえで、相手も自分のことを話さないとなんだか申し訳ないと思わせることができるのです。

結果、相手からの自己開示も引き出すことができ、互いの情報を交換することで、信頼関係を築いたり、親近感を高めたりすることができます。”(本書127pより)

先に「いろいろな情報」と書いたが、相手によって内容は吟味する必要はある。そのポイントとなるのは、「相手が共感しそうなこと」「相手が知りたがっていそうな情報」の2つだ。そのため事前に、相手がどんなことに興味を持っているかをリサーチしておく。

例えば、SNSで相手がキャンプ好きだとわかったら、「自分も最近キャンプにハマってるんですよ」と交渉の場で打ち明ける、といった具合。もちろん嘘はいけないし、バレると元の木阿弥だが、「まだ数回しか行ったことないんですけど」などと逃げ道を作っておくのはアリ。

注意したいのは、相手の関心を得ようとするあまり、自社の機密情報といった話を漏らしてしまう危険性だ。あくまでも自分個人の開示に徹し、それも簡潔かつ小出しを心がける。冗長な自分語りになってしまってはいけない。

会食しながらの交渉はとても効果的

機会があれば、ぜひ試して欲しいのが「ランチョン・テクニック」。難易度の高い提案を通すのに有効だ。犬塚さんがすすめるこのテクニックは、要するに会食しながら交渉することだ。これには科学的な論拠がある。

“食事中、私たちの脳内では味覚が刺激され、空腹が満たされることで快楽物質であるドーパミンが放出されます。すると、交渉相手はこちらの話の内容に対しても心地よく感じ、好意的な反応を示すようになるのです。”(本書160pより)

特にスイーツなど甘いモノの効果は絶大。ドーパミンとは別に、脳内麻薬物質として知られるエンドルフィンの放出量も増やすからだ。

ただ、場所選びには事前のリサーチは必要。特に混みあってガヤガヤする店は、気が散って交渉が難航しやすい。静かで話が漏れないレストランの個室など、交渉の内容や相手の嗜好など勘案して決めておきたい。

逆に、会食時に相手から交渉を持ちかけられたときは要注意。その場合の犬塚さんのアドバイスは、「いったん持ち帰り、その場から離れて冷静に判断しましょう」。もしも、それが難しければ、メニューについての雑談に終始するなど、交渉事の矛先をずらして凌ぐ。呑んだいきおいで、交渉に呑み込まれないようにするのが肝要だ。

嫌われている相手にあえてお願いごとをする

交渉事の難敵は、なにも取引先といった外部の人ばかりとは限らない。

部署内の同僚・上司が、それにあたることもある。しかも、あきらかに自分を嫌っているか、敵対関係にある場合は、なおさら。簡単な業務のヘルプといった、些細な交渉すらも難しいと、尻込みしてしまうかもしれない。

そんな場合のとっておきの秘策を、犬塚さんは教えてくれる。それは、「相手にあえてお願いごとをする」というもの。試してみるとわかるが、けんもほろろの対応をされる可能性は少ない。これには心理学的な理由がある。

“「そんな人にお願いごとなんて聞いてもらえないよ!」と心配になるかもしれませんが、相手は頼りにされたことで、「承認欲求」が満たされます。すると、次第にこちらに対して好意や親近感を感じ始め、いつの間にか味方に引き込むことができるのです。”(本書223pより)

これは、18世紀のアメリカの政治家ベンジャミン・フランクリンのエピソードにちなんで、「ベンジャミン・フランクリン効果」と呼ばれるものだ。

フランクリンは、彼を目の敵にする人物に、蔵書の本を貸してくれるよう依頼したところ、相手は喜んで応じ、以来友好的な関係になったという。

犬塚さんも予備校講師時代に、自身を疎んじている人に「専門書を買うときにおすすめの書店はありますか?」と頼ったことがきっかけで、食事をする間柄になったそうだ。

「願いごと」は、「ペンを貸してほしい」「資料の場所を教えてほしい」など些細なものでOK。しかも効果はすぐに現れるので、やってみて損はない。

*  *  *

家事の分担、商談、異動願いなど、日頃の対人関係は交渉に満ちている。そして、えてして人間関係が損なわれるのは、まずい交渉がきっかけになることが多い。「最近、どうも対人関係がギクシャクしている」と悩んでいる方は、日常の交渉にまずいところがなかったか、振り返ってみよう。そのうえで、犬塚さんが本書で教える数々の交渉術を実践してみる。きっと、好ましい方向へと改善されるはずだ。

文/鈴木拓也(フリーライター)

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