国内のスタートアップ企業は約1万社。その中でプロが注目している企業とは? 個人投資家、ベンチャーキャピタリストに聞くと、知られざるすごい会社が続々上がった!
ESG
星評価について
下記の3点を編集部が判断。星の数の基準は次の通り。三つ星:素晴らしい。二つ星:とても良い。一つ星:良い。
新規性:サービス、プロダクト、事業モデルの目新しさを採点。将来性:トレンドの観点から将来性を予想。インパクト:社会に与える変化の大きさを消費者目線で評価。
太陽光発電からへ「シェアリングエネルギー」
設立/2018年1月 資本金/41億925万円 従業員数/62名
電気代の節約とCO2排出量削減を両立(ジャフコ・井坂さん)
太陽光発電システムの第三者所有サービス『シェアでんき』を提供する。新築住宅などに初期費用ゼロ円で太陽光発電設備を設置し、電気代を相場より安くできるのがウリだ。「サービス利用料と余剰電力の売電収入が収益源。15年経過すると設備を無償譲渡。その点もユーザー側のメリットです」(井坂さん)。2022年8月、シリーズBのファイナルクローズにおいて総額55.9億円の資金調達を実施。累計資金調達額は約81.9億円に。
契約申込数1万件突破
当初対象は新築住宅だったが、既築住宅、事務所や店舗などにも拡大。100万ユーザーを目指す。
太陽光発電の電気は、1kWh当たり22円で使い放題。15年経過後は設備の無償譲渡により自家消費単価0円に。
〈DIMEの読み〉太陽光発電は環境問題に貢献する再生可能エネルギーのひとつ。独自のビジネスモデルを強みに、脱炭素社会、燃料費高騰の流れと相まって、躍進が期待できる。
新規性/★★★ 将来性/★★☆ インパクト/★★☆
企業の環境・社会貢献度を数値化「サステナブル・ラボ」
設立/2019年1月 資本金/1億円 従業員数/40名
AIとビッグデータを活用し、企業のESG/SDGs貢献度を可視化する非財務データバンク「TERRAST」を開発・提供する。「顧客は機関投資家や事業会社。ファンドの運用やESG経営において必要不可欠な情報を提供しています」(井坂さん)
代表の平瀬さんは心が折れない人。困難に打ち勝ってくれると期待(ジャフコ・井坂さん)
代表の平瀬錬司さんは大阪大学理学部時代からサステナビリティー領域の事業に携わり、2社の事業売却を経験。
〈DIMEの読み〉世界のESG投資額は2020年に35.3兆ドル(約3900兆円※)を記録し、今後も拡大が見込まれる。そんな流れの中、ESG投資の指標となり得る情報の価値は高い。
新規性/★★☆ 将来性/★★★ インパクト/★★☆
※世界持続的投資連合調べ。
自律分散型水循環システムの開発「WOTA(ウォータ)」
設立/2014年10月 資本金/1億円 従業員数/非公開
世界中の水問題を解決する(起業家・孫さん)
排水の98%以上を再生して、循環利用を可能にする水循環システム『WOTA BOX』やポータブル手洗い機『WOSH』の開発販売を行なう。「WOTAはプロダクトが出始めて、利用が進み始めていますが、目指す世界から見たら、まだ2合目。〝世界の水問題を解決する〟ことを目指しています。それも最高品質で、です。これから、いろいろな取り組みが出てきます」(孫さん)
水を浄化して循環させる
手洗いスタンド『WOSH』は電源さえあれば水道のない場所にも設置可能。飲食店から医療現場まで幅広く活躍する。
〈DIMEの読み〉環境破壊で叫ばれる水問題はもちろん、災害などの緊急時における活用の事例もある。今後、自治体での導入実績が増加するに違いない。
新規性/★★★ 将来性/★★★ インパクト/★★★
寝具の回収&再生素材化「yuni(ユニ)」
設立/2019年10月 資本金/50万円 従業員数/5名
収益化の着眼点がイイ(ジャフコ・井坂さん)
年間1億枚廃棄されるといわれる羽根布団などの寝具を回収し、再生素材へ変えるサービス「susteb(サステブ)」を運営。資源を循環させる持続可能な社会を目指す。「布団の廃棄費用をもらいつつ、生まれ変わった製品を販売する収益化モデル。仕入れ原価がかからない事業の仕組みと、リサイクルにより環境問題に貢献する点が興味深い」(井坂さん)
回収を申し込むとキットが届く。圧縮袋に入れ宅配業者へ依頼。費用は5500円。中綿などが再生される。
引取代で再生代を賄う
回収した布団は、洗浄・滅菌された後、新しい座布団などの中材や軍手などに生まれ変わる。
〈DIMEの読み〉使わなくなった布団を回収し、再生素材を作って資源を循環させるのは消費者にわかりやすく、受け入れやすい。サービスが広がる可能性大。
新規性/★★☆ 将来性/★★☆ インパクト/★★☆
※資本金、従業員数は2023年2月調査時の数字です。
この6人が選びました!
DIME4月号の特集は「最強のスタートアップ100」「家電の未来予報」
日本におけるスタートアップが変革期を迎えつつある。メルカリ、ビズリーチ、ラクスル、BASEなど、急成長を遂げたこれらの企業に続くのはどこか。投資を目的に、協業を念頭に、転職先探しに、各分野で注目される企業など最前線を紹介する。
取材・文/編集部