小学館IDをお持ちの方はこちらから
ログイン
初めてご利用の方
小学館IDにご登録いただくと限定イベントへの参加や読者プレゼントにお申し込み頂くことができます。また、定期にメールマガジンでお気に入りジャンルの最新情報をお届け致します。
新規登録
人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

切り出しにくい話をしなければならない時の上手な伝え方

2023.04.11PR

コピーライターとして、テレビやラジオのCMをつくったり、企業のブランディングを手掛けてきたコピーライターの川上徹也さんはうまく伝わらないのは、あなたの考えが間違っているからではなく、伝え方次第で、生じることのなかった誤解やすれ違いをなくすことができる、人はもっとわかり合うことができると言います。川上さんがハーバードやスタンフォードなど世界中の研究から、日常に取り入れやすいものを選んでまとめた伝え方の法則を、著書「面倒なお願いでも、気持ちよく相手に届く伝え方は?人を動かす伝え方50の法則」から一部抜粋・再構成してお届けします。

ポジティブな表現で包む

人間は自分にとって都合の悪いマイナスの情報に接すると、本能的に避けたり切り捨てようとする傾向があります。これは心理学用語で「ダチョウ効果(The ostrich effect)」と言われるものです。危険に遭遇したダチョウは砂に頭を突っ込んで、周りの状況を見ないようにするというエピソードがもとになっています。

スウェーデンの研究者ニクラス・カールソンをはじめ、カーネギーメロン大学の行動経済学者ローウェンスタイン教授や同大学の金融経済学者セッピ教授らの研究によると、株主が株価をチェックするときにもこの「ダチョウ効果」が現れることがわかりました。彼らはアメリカのある株価指数と、株主が株価をチェックするために口座にログインした回数(実際の売買は除く)との相関関係を調べました。その結果、株価が上昇すると、多くの人は頻繁に口座にログインするのに対し、株価が下落したときはログインしなくなることがわかったのです。

では、そんなダチョウさんたちにネガティブだけれど知ってもらいたい情報に注目してもらうにはどうすればいいのでしょうか? それには、何より情報を明るくポジティブに伝えることがポイントになります。

スタンフォード大学心理学部のアレクサンダー・ジュネフスキーと同大学神経科学研究所のブライアン・ナットソンは、病気への支援を募るクラウドファンディングにおいて、依頼文にポジティブな写真を載せるのと、ネガティブな写真を載せるのとでは、どちらのほうが資金提供が集まるかを調べました。

その結果、ポジティブな写真のほうが資金援助を受けやすいことがわかりました。研究者グループは、人はポジティブな写真を見ると、「報酬中枢」とも呼ばれる「側坐核」の部分が活性化するからだとしています。

2012年に実施された、オーストラリア・メルボルンの鉄道会社メトロ・トレインズの事故防止啓発キャンペーン「Dumb Ways to Die(おバカな死に方)」も、それを実証するものです。これは、踏み切り無視や線路に勝手に降りるなど、バカげた死に方をする人を少しでも減らそうというもので、普通ならネガティブな伝え方になりがちなキャンペーンでした。しかしこのキャンペーンは、ジェリービーンズ風のかわいらしいキャラクターが軽快な音楽にのって次々と現れ、ブラックな死に方をしていくというエンターテインメント感満載の動画にしたことで、大きな話題となりました。この動画は2022年10月現在で2億4600万回以上再生され、また、実際に事故も減ったと報告されています。

あなたもみんなが耳をふさぎたくなる(でも重要な!)情報を伝える必要があるときは、このように明るいエンターテインメントの要素を付け加えることができないか考えてみてください。

【まとめ】
「耳をふさぎたくなるような情報」こそ、明るくポジティブに伝えよう

☆ ☆ ☆

「最新の知見」や「新しい視点」のヒントが詰まった「面倒なお願いでも、気持ちよく相手に届く伝え方は?人を動かす伝え方50の法則」。やみくもに大きな声で叫んでも、伝わらない。相手に伝わるからこそ対話は成り立ちますし、そうでなければただのひとりごとになってしまいます。どうにかして、この気づきをわかりやすく役に立つ形で伝えられないかというところからこの本の制作は始まったそうです。伝え方を工夫することで、相手とのコミュニケーションがうまくいく可能性があるなら、手に取って学んでみる価値は十分あるのではと思います。

面倒なお願いでも、気持ちよく相手に届く伝え方は?人を動かす伝え方50の法則
著者/川上徹也
発行/株式会社アスコム

川上徹也
湘南ストーリーブランディング研究所 代表/コピーライター
大学時代、霊長類学や社会心理学の研究に没頭。世界中の論文との出会いを求めて図書館に通いつめ、狭いアパートの部屋を学術論文のコピーでいっぱいにして暮らす。「人の心を動かす」仕事に興味を持って、広告代理店に入社。大阪支社で暗黒の営業局時代を経て、29 歳で転局しCMプランナーに。しかしそこでも芽が出ず、会社を辞め何のあてもなく上京。フリーランスという名のフリーターをしながら通った広告学校の講師から、コピーライターとしての才能を見いだされ、TCC 新人賞を受賞。その後、フジサンケイグループ広告大賞制作者賞、広告電通賞、ACC賞などを多数受賞する。現在は、ブランドの魅力を物語にして伝える「ストーリーブランディング」という手法を確立し、企業や団体のマーケティング・アドバイザーとして活動。ジャンルの垣根を越えて、様々なものの魅力を伝え続けている。『物を売るバカ』『1行バカ売れ』( 角川新書)、『ザ・殺し文句』(新潮新書)など著書多数。海外へも広く翻訳されている。

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2024年5月16日(木) 発売

新NISAで狙え!DIME最新号は「急成長企業55」、次のNVIDIAはどこだ!?

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 第6091713号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。