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「忘れていいよ」とあえて伝えられたほうが忘れられなくなるのはなぜ?

2023.03.28PR

コピーライターとして、テレビやラジオのCMをつくったり、企業のブランディングを手掛けてきたコピーライターの川上徹也さんはうまく伝わらないのは、あなたの考えが間違っているからではなく、伝え方次第で、生じることのなかった誤解やすれ違いをなくすことができる、人はもっとわかり合うことができると言います。川上さんがハーバードやスタンフォードなど世界中の研究から、日常に取り入れやすいものを選んでまとめた伝え方の法則を、著書「面倒なお願いでも、気持ちよく相手に届く伝え方は?人を動かす伝え方50の法則」から一部抜粋・再構成してお届けします。

あえて「忘れて」と言う

「忘れてほしくない」ことは、「忘れないで」と言いたくなります。

しかし、逆の伝え方をしたほうが効果があることを、ダエメン大学の心理学者リチャード・カンバロらが行った記憶に関する実験が証明しました。

カンバロらは大学生に60語の単語を記憶させ、半数の学生には「絶対忘れてはいけない」とプレッシャーを与えました。一方、残りの半数の学生には「忘れてくれていい」と気楽な態度で臨むよう声がけをしました。

さて、どちらのグループの学生がいい成績だったでしょうか?

結果は意外なことに、「忘れていい」と声をかけられた学生たちのほうが、4%以上成績がよかったことがわかりました。つまり、本当に覚えておいてほしいことは、「忘れてもいいよ」と言ったほうが記憶にとどめてもらえる可能性があるのです。

もう1つ別の研究もご紹介しましょう。

ブラウン大学のエドワーズ博士らは、架空の「強盗殺人の裁判記録」を作成し、それを大学生に読ませ「もしあなたが裁判官ならどんな判決を下すか?」と問いかける実験を行いました。

その文章は犯行の残虐性にも触れていて、感情的にならざるを得ない内容でした。博士らはこれを、約半数の学生には何も伝えずそのまま読ませ、残りの学生には「文章の感情的な部分は無視してください」と伝えました。

するとやはりこちらも不思議な結果が出ました。無視するよう念を押された後者のグループのほうが、何も言われなかったグループより大幅に厳しい判決を下したのです。つまり、「感情的な部分は無視してください」と言われたことで、むしろ「感情的な部分に引きずられた」わけです。

これらの2つの研究からわかるのは、人は「忘れてください」「無視してもらっていいです」「これはどうでもいい余談です」などの言葉を枕詞にしたほうが、記憶に残ったり、その言葉に影響されやすいということです。

これは「忘却逆説効果」と言われるものです。人間の心理って不思議ですね。

そういえば学生時代、授業の内容よりも、先生が話す余談のほうが記憶に残っていたりしませんか? 人間ってそういうところ、ありますよね。

本当に覚えておいてほしいことは、話したあとに「この話は忘れて」と念を押してみるのはいかがでしょうか。

【まとめ】
「忘れていいよ」と言われるほど、人は忘れられなくなる

☆ ☆ ☆

「最新の知見」や「新しい視点」のヒントが詰まった「面倒なお願いでも、気持ちよく相手に届く伝え方は?人を動かす伝え方50の法則」。やみくもに大きな声で叫んでも、伝わらない。相手に伝わるからこそ対話は成り立ちますし、そうでなければただのひとりごとになってしまいます。どうにかして、この気づきをわかりやすく役に立つ形で伝えられないかというところからこの本の制作は始まったそうです。伝え方を工夫することで、相手とのコミュニケーションがうまくいく可能性があるなら、手に取って学んでみる価値は十分あるのではと思います。

面倒なお願いでも、気持ちよく相手に届く伝え方は?人を動かす伝え方50の法則
著者/川上徹也
発行/株式会社アスコム

川上徹也
湘南ストーリーブランディング研究所 代表/コピーライター
大学時代、霊長類学や社会心理学の研究に没頭。世界中の論文との出会いを求めて図書館に通いつめ、狭いアパートの部屋を学術論文のコピーでいっぱいにして暮らす。「人の心を動かす」仕事に興味を持って、広告代理店に入社。大阪支社で暗黒の営業局時代を経て、29 歳で転局しCMプランナーに。しかしそこでも芽が出ず、会社を辞め何のあてもなく上京。フリーランスという名のフリーターをしながら通った広告学校の講師から、コピーライターとしての才能を見いだされ、TCC 新人賞を受賞。その後、フジサンケイグループ広告大賞制作者賞、広告電通賞、ACC賞などを多数受賞する。現在は、ブランドの魅力を物語にして伝える「ストーリーブランディング」という手法を確立し、企業や団体のマーケティング・アドバイザーとして活動。ジャンルの垣根を越えて、様々なものの魅力を伝え続けている。『物を売るバカ』『1行バカ売れ』( 角川新書)、『ザ・殺し文句』(新潮新書)など著書多数。海外へも広く翻訳されている。

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