エアコンは「人を検知する技術」を進化させてきた生活家電のひとつ。中でも〝エモコテック〟を搭載する三菱電機の新モデルは先進的。エモコテックとは、人の脈をミリ波レーダーセンサーで検知して解析するバイタルセンサー「エモコアイ」と、赤外線センサーで人の表面温度を測定する「ムーブアイmirA.I.+(ミライプラス)」を組み合わせたもの。ミリ波レーダーセンサーによって「人の感情」まで判別して空調する、未来のエアコンだ。
三菱電機エアコン〝エモコテック〟
エモコテックを活用したエアコン制御の仕組み
エモコテックのミリ波レーダーセンサーは、Wi-Fiよりも周波数が高くて直進しやすい電波を反射させることで、人の脈を測定する。くつろいでいる状態と不快な時では違いが出るという脈のデータに加えて、赤外線センサーのムーブアイmirA.I.+(ミライプラス)では検出した人の表面温度を判断。エモコアイによる「くつろいでいるのか」「気持ちが緩んでいるかも」といった感情推定に基づいて、時にはシャッキリとする風を人に当てて刺激を与え、時には心地よい風を届けてくれる。
吹き付ける風が気持ちの緩みを抑える!
上のボタンでフレッシュモードに切り替えると室温が少し下がるとともに、人がシャッキリしていないと判断すれば風を当てて刺激を与える。
人が〝ちょうどいい〟と感じる心地いい風向きに!
エアコン側で「人が不快に感じている」と判断すると、風の当て方を自動的にコントロール。「その人は快適」だと判断されるまで気流を調整する。
三菱電機『霧ヶ峰 Zシリーズ』オープン価格(実勢価格約31万6580円~)
エモコテックは同社の2023年モデルのフラッグシップ『Zシリーズ』に搭載。〝サーモでみまもり〟機能を搭載し、エアコンの赤外線センサーで検出した自宅内の温度分布を、外出先のスマホからでもチェックできる。
開発者が解説(1)感情を読み取るセンサーは3社の共同開発で誕生
「富士通コンポーネントがミリ波レーダーのデバイスを、カレアコーポレーションではレーダーの反射波を分析して脈のデータのみを抽出するソフトウェアを開発しました。弊社ではこれらをエアコンに実装し、ムーブアイmirA.I.との組み合わせで感情を読み取れるようにしています」(三菱電機・中洲次郎さん)
開発者が解説(2)様々なノイズの中から脈だけを抽出できるのがスゴイ!
「エアコンのミリ波レーダーから照射されて部屋中から戻ってくる電波には、脈だけでなく部屋にある家電の動作などのノイズが混ざっています。これをカレアコーポレーションが開発した独自アルゴリズムの処理を行なうことによって、ノイズを除去して目当ての周波数成分=脈のデータのみをとらえることができるのです」
開発者が解説(3)エモコテックで想定される未来の活用イメージは?
「〝エアコンディショナー〟(エアコン)から進化した〝エモーションコンディショナー〟(エモコン)として、快適以上の価値を提供していきたいと考えています。例えば今後は、脈のデータと体の表面温度の情報をもとに体調の変化をいち早く判断し、ユーザーに対して何らかの通知を行なえるようにできるかもしれません」
人を探知して吹き分ける機能も!
東芝ライフスタイル『大清快 K-DRシリーズRAS-K402DR』
オープン価格(実勢価格約27万8000円)
人の居場所をレーダーで探知し、積極的に風を当てたり、人を避けて送風したりできる。新機種では人が動くとすぐに察知し、適した空調を行なえるようになった。
人をよけながら送風し部屋を暖める
一番近い人に集中して心地いい風を届ける
取材・文/藤山哲人
※本記事内に記載されている商品やサービスの価格は2023年1月31日時点のもので変更になる場合があります。ご了承ください。
DIME4月号の特集は「最強のスタートアップ100」「家電の未来予報」
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