これまでのテレビは、2Kから4Kへの超解像処理や臨場感あるサラウンド音声の再現などによって、よりよい映像と音の提供を追求してきた。そこから一歩進んだ〝人に寄り添う〟新技術が、今後は主流になりそうだ。特にTVS REGZAが「CES 2023」で発表したミリ波レーダーセンシングシステムは高性能な高画質映像処理エンジン「レグザエンジンZRα」を活用し、テレビが人に合わせてどこでもベストポジションに。未来を先取りした新しいテクノロジーである。
レグザ〝ミリ波レーダーセンシングシステム〟
ミリ波レーダーセンシングシステムを活用した
音&映像調整の仕組み
ミリ波レーダーセンサーが人と画面の距離をリアルタイムで検出。人が前後に動くと映像、左右に動くと音を、それぞれ最適化する仕組みだ。例えば、人が近距離(画面の高さ=縦方向の長さの約1.5倍)にいる場合、画素が目立たないようにノイズリダクションを強めにするという。現状、技術発表の段階で、同社のテレビへの実装タイミングは未定だ。
精細感をアップしてメリハリのある映像に!
視聴している人が遠距離(画面の高さ=縦方向の長さの約4倍)に移動した場合、精細感を高めてクッキリとした映像に調整する。
左右の音のバランスを人に合わせて自動調整!
テレビを視聴している人が画面の中央に対して、左右のいずれかへ移動すると、そこがベストなリスニングポイントになるように〝位相のズレ〟を自動補正。まるで画面の真正面で聞いているかのようにバランスの取れた音になるそうだ。
開発者が解説(1)クルマなどに使われるミリ波レーダーの特徴は?
「非常に波長の短い〝ミリ波〟を使用することで、物体の距離を測定できるのが特徴。センサーの中では動いているものを把握するのが得意で、クルマの車間距離を測定し、追突を防止するのにも役立てられています。レーダーの電波は放射状に広がる特性を持っているので、ユーザーを広範囲の中から検出できます」(TVS REGZA・中賢治さん)
開発者が解説(2)今までのテレビに搭載されてきた各種映像モードとの兼ね合いは?
「小社のテレビ『レグザ』は従来から番組情報をもとに、映画、アニメ、スポーツといったコンテンツのジャンルを判断し、それぞれに最適な映像・音を提供しています。新しくミリ波レーダーセンサーを搭載し、人の位置情報を検出することで、視聴している人の位置で最適になるよう、映像や音をさらに調整しようとしています」
開発者が解説(3)ミリ波レーダーで想定される未来の活用イメージは?
「位置情報を常時検出できることから、例えば画面の前にいる人が急に倒れたことにも気づける可能性があり、見守りに応用することも十分に考えられます。また、録画番組を見ている途中で寝てしまったタイミングを判別して〝このあたりから改めて再生してみませんか?〟といった案内もできるようになるかもしれません」
音の調整だけでなく操作にも対応!
ソニー『BRAVIA CAM CMU-BC1』2万4200円
同社テレビ『ブラビア』用のカメラデバイス。本機が視聴者の位置を認識して『ブラビア』側では映像の輝度や音量などが最適になるように調整する。ジェスチャー操作にも対応し、ビデオ会議用にも使用可能だ。
視聴している人のジェスチャーを認識
人がいる場所に向けて音をしっかり届ける
取材・文/藤山哲人
※本記事内に記載されている商品やサービスの価格は2023年1月31日時点のもので変更になる場合があります。ご了承ください。
DIME4月号の特集は「最強のスタートアップ100」「家電の未来予報」
日本におけるスタートアップが変革期を迎えつつある。メルカリ、ビズリーチ、ラクスル、BASEなど、急成長を遂げたこれらの企業に続くのはどこか。投資を目的に、協業を念頭に、転職先探しに、各分野で注目される企業など最前線を紹介する。