往復6万円台(預入荷物込)が最安値
パンデミック前は、航空会社にとっての「農繁期」と「農閑期」は誰の目から見ても明らかに映るほどはっきりしていた。6月は「農閑期」で、この時期の航空券は非常に安い。
今回の調査でも、6月発の便はやはり安かった。格安航空会社スクートの6月5日成田~インドネシア・バリ島まで(シンガポール経由)の片道航空券は2万8,565円とある。
ただし、これはあくまでもエコノミークラスの料金。スクートの場合はこのエコノミークラスというものが厄介で、この場合持参できる荷物は10kgまで。それを超過したら別料金が発生する。
6月の東京~バリ島間は、極端に荷物の少ない人でない限り往復6万円台が最安値と言い切ってもいいだろう。
これを「高いか安いか」で言えばやはり安いのだが、サーチャージが安かった時代のLCCに乗りまくっていた筆者から見ると、どうしても割高感が……。
LCCの罠
そんな時、タイ・ベトジェットエアがキャンペーンを実施しているということを筆者は耳にしてしまった。
何でも、大阪~タイ・チェンマイ間の航空券が片道100ドルほどで売られているというではないか。そして実際にベトジェットエアのサイトでチェックすると、確かに6月2日大阪~チェンマイ間が112ドルとある。日本円で1万5,000円程度だ。た、確かに安いぞ!
これは買いだ! ということで個人的にこの航空券を購入しようとクレカを取り出した時、筆者は重大なことに気づいてしまった。ここで言う112ドルとは航空券「のみ」の価格で、サーチャージと諸税は別とのこと。
サーチャージ及び税金は、なんと112.9ドル。おいおい、値段が倍になっちまったじゃねぇか! しかもこの航空券は「機内持ち込み手荷物7Kgと2Kg以下の小型バッグ1個」しか対応してくれないらしく、それを超えたらもちろん別料金。
そもそも、首都圏在住の人が関空まで行くというのはいささか無理がある。この道程だけで、結構な交通費がかかってしまう。
まさに「LCCの罠」というもので、航空券そのものの安さに惹かれてその他の要素を無視し、結果として高くついてしまった……という現象だ。
そしてこの「LCCの罠」は、今月から始まった官製の「無料航空券キャンペーン」に対しても言える。
香港政府の「無料キャンペーン」
3月1日から香港政府が『ハロー香港』というキャンペーンを始めた。アジア各国の一般市民に対して、何と合計50万枚の無料航空券を配布するという内容だ。
このキャンペーンに参画するキャリアはキャセイパシフィック航空、香港エクスプレス、香港航空、大湾区航空。滞在可能日数は最短2日、最長7日である。日本向けには5月から配布が始まるという。
タダで海外旅行ができるということで、これは絶対に手に入れなきゃ損だぞ! ……とは筆者には言えない。
なぜなら、これも上述のベトジェットエアと同じくサーチャージと諸税は別。平たく言えば、これらは自己負担である。
キャセイパシフィック航空は、2023年4月1日から2023年5月31日までの発券分のサーチャージは日本~香港間で片道9,000円としている。往復で1万8,000円。これに税金を加えれば、結局は2万数千円を支払うことになる。
ただ、これは「現状、海外旅行へ行くにはどれだけのサーチャージが発生するのか?」ということを測るためのちょうどいい物差しである。
機内食? 何それ美味しいの?
大事なことを書き忘れていた。
ここまで説明したエアアジア、スクート、ベトジェットは、預入荷物だけでなく機内食もオプションである。
そしてキャンセルは基本的にはできない。「乗れなくなったらそのまま乗り過ごしてくれ」というのがLCCのスタイルで、出発日変更が付属するプランはやはり割高になる。
そうしたことも考慮すると、上述の「バリ島まで往復6万円台」はところどころでかなり切り詰めた旅になるということが想像できるはずだ。
※記事中の情報は2023年3月11日現在のもになります。
取材・文/澤田真一