ハーバードの研究員たちは、困難なミッションを達成するため、まだ、発見されていない「価値」に到達するために日々、研究を続けています。そこで働く研究員たちが重要視しているある習慣。それは、「1日5分好奇心を刺激し、思考の固定化を避ける」「どんな時でも、新たな発見を求める」「チームや同僚の助けを得て、日々前進しようとする」といったことです。
ハーバードでは、これらの習慣を、「なんとなく」重要視しているのをではありません。一言でいうなら、「脳が冴えた状態をキープする」ための習慣として大切にしているのです。脳が冴えた状態をキープできるとどんな時でも思考が止まらなくなります。ビジネスから日常のモヤモヤまであらゆることがスムーズに運ぶようになるのです。
本記事ではハーバード大学の医療機関に在籍し、多くのプロジェクトを通じて学んできた脳の使い方を紹介する川﨑康彦氏の著書「ハーバードの研究員が教える脳が冴える33の習慣」からビジネスパーソンが仕事に使える「脳が冴える33の習慣」を抜粋、再構成してお届けします!
精神安定作用のある「セロトニン」と〝幸せホルモン〟の「オキシトシン」
ポジティブな状態に脳を安定させるために、私が着目していることがもう1つあります。それは、脳を安定させる作用のあるホルモンの分泌を正常に働かせることです。
脳を安定させるためのキーになるホルモンは2つあります。セロトニンとオキシトシンです。それぞれで働きが少しずつ異なります。
1.セロトニン
セロトニンは、運動や認知、情動に関与する中脳の縫線核で作られます。主に精神の安定を維持するために欠かせない物質です。脳内を平安にするための物質と言えるでしょう。では、セロトニンの分泌を活性化するための方法を紹介します。
1 外に出て太陽の光をめいっぱい浴びる
太陽光でセロトニンが目覚め、分泌が活性化します。
2 腹式呼吸をする
深く呼吸を行うことで、心身がリラックスしてセロトニンの分泌を促します。
3 一定のリズムで運動を行う
特に歩行、よく噛むこと、呼吸の3つが有効です。毎日一駅分を歩く、食べるときは30回くらいよく噛む、長時間の作業が続いた時は腹式呼吸を1分程度行うことで、2 2 9 第6 章 世界トップの発想力・問題解決力を身につけるあなたのセロトニンパワーは絶大になるでしょう。
2.オキシトシン
オキシトシンは視索上核の神経分泌細胞で作られます。
従来は赤ちゃんホルモンといわれ、妊娠、出産、授乳に強く関わることがよく知られていました。つまり、男性にはあまり縁がないホルモンだと認識されていたのです。
最近は、男女問わず、オキシトシンがこれらの作用以外にも脳でしっかり働くことが、健康を保って生きていくために必要だということが明らかになってきました。
オキシトシンが通称、〝信頼ホルモン〟〝幸せホルモン〟〝絆のホルモン〟とも呼ばれているように、幸せを感じるには、このホルモンの分泌が欠かせません。
また、他人との信頼、絆を深めているときにもオキシトシンが重要な働きをします。例えば、母親が子どもをおんぶやだっこする密着行動が、赤ちゃんのオキシトシン量を増加させて安心させるのです。このような作用のあるオキシトシンの分泌を活性化するには、以下の方法が有効です。
1 ハグ
ハグをすると双方のオキシトシンレベルが上がり、あなたの幸せ度がアップしていくのを実感できるでしょう。
2 マッサージ
他者に触れる(グルーミング)という行為が、オキシトシンの分泌促進に有効であることが知られています。
3 飲み会に参加する
高揚感や、リラックスした幸せな気持ちが、オキシトシンの分泌に有効です。オキシトシンの分泌量アップを口実に飲み会に出席するのも1つの方法かも!? しかし、飲みすぎは禁物ですよ。
この他、感動、共感、好奇心を持つことなども、オキシトシンを刺激するには絶好の行動となります。ぜひ、人との絆を深めてオキシトシンの分泌につとめてください。
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いかがでしょうか? ビジネスも自分の成長も、プライベートなこともすべての「源」は脳です。脳の活用の仕方をさらに知りたい方はぜひ、「ハーバードの研究員が教える脳が冴える33の習慣」で紹介されている脳が冴える33の習慣を実践して自分らしい人生を発見してみてください。
「ハーバードの研究員が教える脳が冴える33の習慣」
著者/川﨑康彦
発行/株式会社アスコム
https://www.ascom-inc.jp/books/detail/978-4-7762-1270-6.html
川﨑康彦
医学博士。脳科学者。元ハーバード大学医学大学院研究員(2003~2008年)。専門は神経生理学。佐賀大学医学部大学院神経生理学博士課程卒業。中国医科大学(旧満州医科大学)医学部卒業。中国では、東洋医学と西洋医学の両方を学ぶ。その後、これまでの研究成果を買われ、ハーバード大学医学部ブリガム・アンド・ウィメンズ病院麻酔科の研究員として招かれる。在籍中に、論文がネイチャー関連誌にも掲載される。日本に帰国後は、医学博士、理学療法士、カウンセラーとして運動、睡眠、痛みなどに対し、多方面からの知識でアプローチしている。現在は、チャレンジ、感動、旅を通して「多様な脳の共存、共感、共鳴を通して個々の意識と集合意識の成長」をテーマに研究活動を展開し、それらを通して社会に貢献していくコミュニティIBTA(Impact your Brain and Tuning them All)実現のための活動のほか、脳の研究とハーバードでの経験から得た、固定概念を覆して生き方を変えるためのメソッドをオンラインサロンで伝えている。