『BLUE GIANT』オリジナル・サウンドトラック https://BLUE-GIANT.lnk.to/OST
最近、さまざまなメディアでジャズに関するニュースをよく見かける。累計発行部数1,000万部を超え、“音が聞こえてくる”人気漫画『BLUE GIANT』の劇場版が公開中だったり、第65回グラミー賞ではジャズシンガーのサマラ・ジョイが最優秀新人賞を受賞した。また、昨年は名門ジャズクラブで有名なBLUE NOTEより、新たにブルーノート・プレイスが恵比寿にオープンし賑わっている。
このように以前よりもジャズ熱が再燃しているように感じるが、一体なぜなのだろうか?
サマラ・ジョイ『リンガー・アワイル』https://samara-joy.lnk.to/LingerAwhilePR
アメリカ生まれのJAZZの特徴
そもそも「ジャズ」とはどのような音楽のことを言うのか。ジャズは19世紀後半にニューオーリンズのアフリカ系アメリカ人のコミュニティで発祥したといわれている。スウィングするリズムや複雑なコード、そして即興演奏などがジャズの特徴だという。
日本にジャズが伝わったのは1900年頃といわれており、1930年頃ブームが起こる。さらに戦後に進駐軍とともに再び盛り上がり、50年代には空前のジャズブームに。
世界でも日本でもジャズはさまざまな形に変化していくが、世界最古のジャズレーベルである「ブルーノート」が80年代に一時休止(※1985年に復活)。それによっていわゆる「ジャズ」というジャンルは縮小傾向にあったという印象だ。しかし、ここにきてジャズの気運が一気に高まってきているようなのである。
JAZZが衰退していた訳ではない?
五十貝一氏
なぜジャズがブームになっているのだろうか?ユニバーサル ミュージック合同会社 クラシックス&ジャズ マネージングディレクター/Export Marketing ゼネラルマネージャーの五十貝一氏に話を聞いた。五十貝氏は映画化されたジャズ漫画『BLUE GIANT』にも登場するレコード会社のスタッフ「五十貝」のモデルにもなっている。
「今までも、ジャズがすごく衰退していた、という訳ではないのです。しかし、ジャズミュージシャンがロックやポップスなどの違うジャンルで活躍を始め、フュージョンになっていったということは言えます。いわゆるオーセンティックな“ジャズ”と呼ばれる音楽が少なくなっていた時代はあります」
フュージョンとはジャズ・ロック・ラテン音楽など、ジャンルの異なる音楽を融合した音楽のことだ。また、アメリカ生まれの音楽と言えば『ブルース』だったのが『ジャズ』に移行し、さらに『ヒップホップ』になっていったというような流れもあるという。
また、ジャズが衰退した印象がある理由としてブルーノートの休止があげられると五十貝氏は説明する。
「世界最古のジャズレーベルであるブルーノートが80年代に活動を一時休止したのは大きな出来事でした。それによってジャズよりもヒップホップなどに市民権が移っていったという印象はあります」
気運が高まり始めた契機とは…
しかし、ここ10年間ほどでアメリカでもジャズミュージシャンがメインストリームに進出するようになり、ジャズは再び熱を帯び始めていたとのこと。
「日本でも洗足学園音楽大学や国立音楽大学などにジャズコースが発足するなどの変化があり、ジャズを学んだ若いミュージシャンが増えてきているんです」
それにより、多くのジャズミュージシャンがジャンルを超えて幅広く活動し、相乗効果によりジャズを聴く層も増えているんだとか。
他にもジャズの再燃の手助けとなった、意外なキッカケがあるという。
「コロナ禍がジャズの気運を高める契機になったようです。海外のストリーミングサービスの公式発表によると、コロナ禍の巣ごもり需要でジャズの再生回数が顕著に伸びていたんです。明確な証拠はありませんがジャズがおうち時間に心地よかったのでしょう。ステイホームのBGMとしてジャズの雰囲気が好まれたのだと推測します」
このようなデータは他にもあり、コロナ禍以降のストリーミングサービスの傾向として、ジャズが伸びているのだという。
以前のジャズブームとの違い
今起きつつある「ジャズのトレンド」で特徴的なことは何だろうか?
「以前はジャズのファンには年配の方々が多かったのですが、今は若者も含めて幅広い年齢層にファンがいます。以前、ストリーミングサービスがなかった時代は、CDを購入してクレジットを見ないことには、誰がどんな作品に参加しているのか分からなかったんです。
ですがSNSやストリーミングサービスの普及により、『この作品にこの人が参加している』というのが掘り下げやすくなりました。そこからファンが広がっているのも若年齢化の理由のひとつだと思います」
さらに、ストリーミングサービスが色々なジャズを紹介するため、若い人たちはインストゥルメンタルからボーカルものまで、偏見なくさまざまなジャズに触れている傾向にあるとのこと。それにより満遍なくジャズ全般の需要が伸びているんだとか。
「ここ最近、ライブが再開するようになってからは『ブルーノート東京』などでも、以前より幅広い年齢層の顧客が見受けられるように感じます」
ジャズに興味を持った人におすすめしたいコンテンツは?
ジョン・バティステ『ウィー・アー デラックス・エディション』https://JonBatiste.lnk.to/WEARE_DXE
最後に、今ジャズに興味を持っている人におすすめしたいコンテンツを紹介していただいた。
「インストゥルメンタル(器楽だけの音楽)だと難しいと感じる方には、ボーカルものである、今年のグラミー賞を受賞したサマラ・ジョイやジョン・バティステ(昨年グラミー賞5部門受賞)をおすすめしたいです。
日本人では黒田卓也さんや石若駿さんなどは海外でも評価が高く、彼らが行なっているプロジェクトはカッコいいので聴いてみて欲しいです。他にはもちろん、『BLUE GIANT(オリジナル・サウンドトラック)』も聴いていただきたいです」
ちなみに、『BLUE GIANT』のサウンドトラックは、映画館やCDショップで売り切れが続出。各音楽チャートの上位を占め、空間オーディオ対応の国内ジャズアルバムとしてApple Musicにおける再生回数の最高記録を更新するという人気っぷりだ。
『BLUE GIANT』参加ミュージシャン(馬場智章、上原ひろみ、石若駿)
五十貝氏の熱いジャズトークを聞いていると熱が伝導し、早速ジャズを聴きたくなった。コロナ禍のおうち時間でジワジワ広かったジャズブームだが、これからはライブや映画館でジャズを堪能するのも良さそうだ。
取材・文/まなたろう
映画『BLUE GIANT』×DIMEコラボアイテム登場!
映画『BLUE GIANT』の公開を記念し、DIME編集部はストーリーの世界観を反映したコラボアイテムを4つ制作! 本場アメリカのアパレルブランド「グッドウェア」が制作したロゴ入りのヘビーウェイトTシャツや、鎌倉シャルによるサックスのワンポイントがさり気なく光るボタンダウンシャツ、Ball&Chainによる主人公たちのジャズバンドのフライヤーをイメージしたグラフィックが全面に刺繍されたエコバッグ、主人公の出身地・宮城県仙台市にあるWIRED BEANSによるロックグラスと、大人の映画ファン、原作ファンの方に楽しんでいただけるラインアップがそろいました。
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