ハーバードの研究員たちは、困難なミッションを達成するため、まだ、発見されていない「価値」に到達するために日々、研究を続けています。そこで働く研究員たちが重要視しているある習慣。それは、「1日5分好奇心を刺激し、思考の固定化を避ける」「どんな時でも、新たな発見を求める」「チームや同僚の助けを得て、日々前進しようとする」といったことです。
ハーバードでは、これらの習慣を、「なんとなく」重要視しているのをではありません。一言でいうなら、「脳が冴えた状態をキープする」ための習慣として大切にしているのです。脳が冴えた状態をキープできるとどんな時でも思考が止まらなくなります。ビジネスから日常のモヤモヤまであらゆることがスムーズに運ぶようになるのです。
本記事ではハーバード大学の医療機関に在籍し、多くのプロジェクトを通じて学んできた脳の使い方を紹介する川﨑康彦氏の著書「ハーバードの研究員が教える脳が冴える33の習慣」からビジネスパーソンが仕事に使える「脳が冴える33の習慣」を抜粋、再構成してお届けします!
いつもと違う朝食で1日をスタートさせる
ワクワクするために、大きな夢や目標を探す必要はありません。毎日の行動を少し変えるだけで、ワクワクできるからです。
ワクワクには、日常のライフスタイルがとても大切です。自分だけのために時間を工夫すると、独自のワクワクが生まれます。
そこで、いつものライフスタイルに注目して、ちょっとした変化をつけてみるのはどうでしょうか?
例えば、皆さんは、普段どんな朝食を食べていますか?
出社前の朝は時間がないからと、コーヒーを1杯飲んで食パンを少しかじるぐらい、という人も多いのではないでしょうか。でも、時には楽しみになるような朝食を用意すると、ワクワクした気分で1日のスタートを切ることができます。
私は、疲れている日の朝などは、特別な朝食を用意します。
例えば、パンとコーヒー、1〜2種類のフルーツといったいつものメニューに、ちょっと奮発してフルーツを5種類に増やすなど、前日から楽しみになるようなメニューを考えておくのです。ちょっと気分が落ち込んだ日には、脳の活力をアップさせてくれるキウイを、ちょっと便秘気味なときはバナナを取るのもお勧めです。
私は、イタリアに行ったときに購入した、直火式のエスプレッソメーカーで香りを楽しみながらコーヒーを淹れています。
ちょっとした変化は、脳の働きを活性化します。変化を与えることは、脳の運動になります。
また、ご馳走といっても、必ずしも食事だけには限りません。朝食の代わりにその日1日ワクワクできそうなイベントを用意するのも、同じような効果が得られます。
私は、ハーバードの研究所に在籍中、「今日は前から気になっていたあの映画を観に行こう」とか「クライミング(手足を使って壁などをよじ登るスポーツ)ジムに行こう」などとご馳走を決めて、研究に臨んでいました。
そんなご馳走の予定のある日は、集中力がいつもより数倍増しました。つまりご馳走は、ワクワクすることのパワーにつながるのです。
今、私にとってワクワクするイベントは、週に2回、コーヒーチェーンに行くことです。ただ単にコーヒーを味わいに行くのではなく、そこで2~3時間は勉強をします。心地よい雑音とコーヒーの香りが、私にとって集中できる絶好の環境なのです。
実は、これは「アンカリング」というテクニックを使っています。「コーヒーチェーンに行ったら勉強」というように、「〇〇したら必ず〇〇する」という決め事を作ることで、勉強や仕事がはかどります。
脳にご馳走を用意して、このテクニックを使えば、脳にどんどん刺激を与えることができます。
大型書店は新たな発想の宝庫
書店に行くのも、ワクワクするためにおすすめです。私は、小学生の頃から書店を巡り歩くのが趣味で、時間が許す限りすべてのフロアを見て回るようにしています。
普段はほとんど関心を持たない分野の本を見ると、脳が刺激されるため、脳内に新たな回路を構築するのに効果があります。それによって、新しいアイデアを得ることも少なくありません。
例えば、私は普段は寄りつきもしない物理学のコーナーに立ち寄った際に、思いもかけない発想につながったことがあります。
この時は、ヒーリング(ストレス解消を中心とした治療)に関わるアイデアを探し、いつものように書店で1人ブレインストーミングをしていたのですが、物理学コーナーにあった1冊の書籍に釘づけになりました。それは素そ 粒りゆう子し という物理の一分野に関する書籍で、水晶が持つエネルギーの素晴らしさを知ることができました。
こうして、水晶がヒーリングで非常に使える物質であることを突き止め、私が施術する患者さんに使っています。さらには、水晶を使ったヒーリングの講座も行うまでになりました。
自分が今取り組んでいることに行き詰まったときは、書店を探検するのをおすすめします。その分野とは全く異なる視点からアプローチすることで、本質がとても明確になることが、私はこの一件に限らずこれまでに何度となくありましたから。
感覚を頼りに本を探すのは絶好のトレーニング
また、書店巡りは新たな刺激を得るだけではなく、自分にとってのワクワクが見つからないという人にとっても、とても有効なトレーニングになります。というのも、膨大な本の中から自らの感覚だけを頼りに、面白そうだと思ったものを選びだすことは、趣味や嗜好の発見につながるからです。
私が書店巡りをする際は、次の3つのことを心がけています。
[1]3店舗以上の大型書店に出入りする
1人でブレインストーミングをするためには、1階から最上階までジャンルが異なる本が並ぶような大型書店を選びます。隅から隅まで、すべてのジャンルの棚に目を配ります。その際、明らかに関心のないジャンルだと最初から決めてかからないように、満まん遍べんなく見るようにします。
どこにどういう分野の本が並んでいるかが把握できていれば、より効率的に進めることができますので、自分にとっての使える書店が見つかったら、何度か通って足が自然に動くようになるまで通い続けるとよいでしょう。
また、書店によってレイアウトや品揃ぞろえが異なりますから、テイストが違う書店を3〜4カ所知っていると、脳はいろいろな刺激を受けてくれます。
[2]手に取ったときのワクワクを大事にする
タイトルや写真、デザイン、帯の推薦文、使われている紙……など、視覚や感触といった自分の感覚にひっかかったものを手に取ってみるだけでも十分です。その基準は、見たり、読んだりしたときに、なんだか「ワクワクする」「おもしろそうだ」といった直感を大切にしています。
[3]本との出会いは、人との出会いだと考える
書店は、人(作者)の体験を共有できる場所でもあります。それぞれの本との出会いが、1人の人間との出会いだと考えてみてください。すると、書店では、ジャンルや表現方法の異なる無数の人との出会いがあり、短時間で効率的にさまざまな経験ができる希け有う な場所だと分かるでしょう。その人の体験や経験を共有したいと思ったときこそ、自分にとっての本質=ワクワクの入り口だと言えます。
最近では、SNS などを通じた作者と読者のコミュニケーションの場も珍しくありません。行動を起こす気さえあれば、作者と直接会話をすることも可能です。書店でのバーチャルな体験のみではなく、そこから一歩を踏み出して作者にコンタクトをとってみることで、ワクワクを探求できるチャンスはさらに広がります。もしかしたら、あなたのメンターになる人が現れるかもしれませんよ。
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いかがでしょうか? ビジネスも自分の成長も、プライベートなこともすべての「源」は脳です。脳の活用の仕方をさらに知りたい方はぜひ、「ハーバードの研究員が教える脳が冴える33の習慣」で紹介されている脳が冴える33の習慣を実践して自分らしい人生を発見してみてください。
「ハーバードの研究員が教える脳が冴える33の習慣」
著者/川﨑康彦
発行/株式会社アスコム
https://www.ascom-inc.jp/books/detail/978-4-7762-1270-6.html
川﨑康彦
医学博士。脳科学者。元ハーバード大学医学大学院研究員(2003~2008年)。専門は神経生理学。佐賀大学医学部大学院神経生理学博士課程卒業。中国医科大学(旧満州医科大学)医学部卒業。中国では、東洋医学と西洋医学の両方を学ぶ。その後、これまでの研究成果を買われ、ハーバード大学医学部ブリガム・アンド・ウィメンズ病院麻酔科の研究員として招かれる。在籍中に、論文がネイチャー関連誌にも掲載される。日本に帰国後は、医学博士、理学療法士、カウンセラーとして運動、睡眠、痛みなどに対し、多方面からの知識でアプローチしている。現在は、チャレンジ、感動、旅を通して「多様な脳の共存、共感、共鳴を通して個々の意識と集合意識の成長」をテーマに研究活動を展開し、それらを通して社会に貢献していくコミュニティIBTA(Impact your Brain and Tuning them All)実現のための活動のほか、脳の研究とハーバードでの経験から得た、固定概念を覆して生き方を変えるためのメソッドをオンラインサロンで伝えている。