完全ワイヤレスイヤホンとしても文句なしの完成度
充電ケースに搭載されたディスプレイが目立つJBL TOUR PRO 2ですが、一般的な完全ワイヤレスイヤホンとしても完成度は高くなっています。
イヤホン本体は音の出る部分に短めのスティックが付いた形状。サウンドチューブ(音筒)とイヤホン本体に楕円型の様相を施した「デュアル・オーバルシェイプデザインになっているため、耳へのおさまりが良く、長時間着けていてもストレスがたまりにくくなっています。側面にはタッチセンサーが搭載されており、JBL Headphonesアプリから操作をある程度自由に割り当てることができます。
バッテリー駆動時間はイヤホン単体で最大10時間、充電ケース併用時で最大40時間となります。充電ケースにディスプレイが搭載されているため、ケースの電池を大幅に消耗する懸念もありましたが、使用していないシーンではほとんど画面が点灯していないため、極端に電池を食う印象はありません。
ケースはワイヤレス充電にも対応
ハイエンドイヤホンに搭載される機会の多い「アクティブノイズキャンセリング」機能にも、もちろん対応。JBL Headphonesアプリや充電ケースのディスプレイからノイズの除去レベルを調節できます。
ノイズの除去レベルを最大にすると、外部の音を高精度に遮断でき、仕事に集中できるのはもちろん、掃除機のような音の大きな家電製品を動かしている場合でも、音楽がしっかりと耳に届きます。
一方、アンビエントアウェアモード(外部音取り込みモード)やトークスルーモードでは、若干ノイズが混ざっている印象もあるものの、外の音をある程度キャッチできます。ノイズキャンセリングの精度が高い分、外出時にはアンビエントアウェアモードに切り替えたり、ノイズの除去レベルを調節するのがおすすめです。
状況に応じて音質を調節できるのもフラッグシップモデルならではの魅力
デフォルトの音質は、低音の厚みもさることながら、中高音域のボリューム感と明瞭さが特徴的。奥行もしっかりと感じられ、ロックやクラシックなど、さまざまなジャンルの音楽を高精細に楽しめます。
ただし、先述の通り、JBL Headphonesアプリや充電ケースのディスプレイからイコライザーの調節ができるため、ある程度自分の好みの音質に調節できます。低音から高音まで幅広い音域の再生ができる、フラッグシップモデルならではの魅力でしょう。
また、通常の音楽再生モードに加えて、「ムービー」モードと「ゲーミング」モードも利用可能。主に音の遅延速度や奥行き、広がり方が変化します。音の響き方などは好みの分かれるポイントなので、状況に応じて再生モードを切り替えながら試していくのがおすすめです。
JBL TOUR PRO 2のディスプレイ搭載は〝脱スマートフォン〟への布石?
JBL TOUR PRO 2は、公式ストアでの販売価格が3万3000円。フラッグシップモデルらしく、高精細な音質や強力なアクティブノイズキャンセリング機能を搭載したのに加え、充電ケースにディスプレイを搭載する〝尖った〟製品です。
個人的には、JBL TOUR PRO 2をPCに接続した際の利便性を存分に感じられたため、仕事をしながらイヤホンを使いたいという人には特におすすめですが、イヤホンはスマートフォンと接続する機会が多いという人にとっても、高性能完全ワイヤレスイヤホンとして(少しケースは重いですが……)十分おすすめできる完成度です。
充電ケースにディスプレイが搭載され、スマートフォンを触らなくてもさまざまなコントロールができるという意味では、スマートウォッチやスマートバンドに近い、周辺機器としての進化が感じられます。
現時点ではスマートフォンやPCと接続して使用するのが基本なので、ディスプレイからできる操作もまだまだ少ないものの、充電ケースに直接アプリがインストールできるようになったり、eSIMの登録ができるようになると面白いというのが個人の見解。将来的には、スマートウォッチと完全ワイヤレスイヤホンのみを持ち歩き、スマートフォンやPCは自宅に据え置きになる時代が来るかもと妄想を膨らませてくれる、ガジェット好きにはたまらない1台です。
取材・文/佐藤文彦