電化製品に貼られるシールや、説明書に記載されている項目の一つ「定格消費電力」。似たような言葉である「消費電力」と同じ意味と捉えていて、定格消費電力の意味を正しく理解していない人も多いはず。
そこで本記事では、そもそも定格消費電力とは何かを説明した上で、消費電力との違いや消費電力と電気代の計算方法についても解説する。
定格消費電力とは
そもそも定格消費電力とは、どのような電力のことを指すのだろうか。普段から見聞きすることも多い「消費電力」との違いと併せてチェックしていこう。
最大限使った場合に消費する電力量
定格消費電力とは、すべての機能を最大限に使った場合に消費される最大消費電力量のこと。定格消費電力の「定格」は、国家規格である日本工業規格(JIS規格)に基づいた条件下で、その電化製品を連続して使った場合に安定して出力できる力を指す「定格能力」を表す。
定格消費電力と消費電力の違い
定格消費電力と消費電力の最大の違いは、実際に使う電気代を計算する際に使えるかどうかだ。定格消費電力は、電化製品が安全に出力できる最大の電力量を意味するが、実際にはこの電力量で長時間電化製品を使うことは滅多にない。
一方、消費電力は、その電化製品を使う場合に実際に必要となる電力消費量のことを指す。そのため、電気代を計算する場合は、定格消費電力ではなく消費電力の値を使って算出する。
消費電力とは
次に、電化製品を最大使った場合の電力量である定格消費電力とは異なる「消費電力」の特徴を見ていこう。消費電力と似ている「年間消費電力」とは何かについてもおさえておきたい。
電化製品の使用時に消費する電力のこと
消費電力とは、実際に電化製品を動かすために必要な電力のこと。家庭で使う電化製品には消費電力の表示が義務づけられており、シールでの貼り付け、または製品自体に記載する形で表示されている。
消費電力を表す単位としては「W(ワット)」「kW(キロワット)」などが用いられる。Wは決められた時間あたりの消費電力を表す値、kWはWをより分かりやすくするための値で、1000Wを1kWとして換算できる。
消費電力の数値を用いれば、その電化製品の電気消費量や電気代を計算することも可能だ。
年間消費電力とは
年間消費電力とは、実際に電化製品を使う状況に近い条件下で1年の間に消費される電力量を表したもの。この測定の際には、定格消費電力と同様に日本工業規格(JIS規格)によって厳格に規定された基準が用いられる。
年間消費電力は、消費電力で電気代を算出するのが難しい製品に表示されている。例えば、冷蔵庫、エアコン、テレビなど、使用時と待機時で消費電力に差が生じたり、室内外の温度差によって消費電力に波があったりする電化製品だ。
消費電力と電気代の計算方法
実際に家庭で電化製品を使う際の消費電力と電気代は、計算で求めることができる。最後に、消費電力と電気代の計算方法をそれぞれ確認していこう。
消費電力の計算方法
消費電力の量は、「決められた時間あたりの電力量」に「実際に使った時間」をかけることで算出が可能だ。計算時は、1時間あたりに消費される電力量を表す単位「kWh(キロワットアワー)」を用いる。
計算式は、「決められた時間あたりの消費電力(kW)×時間(h)」となる。計算をする際は、単位をkWとhに整える必要があるため、単位の変換を誤らないように注意しよう。
電気代の計算方法
ある家電を一か月使った時にかかる電気代は「基本料金+電力量料金+燃料費調整額+再生可能エネルギー発電促進賦課金」で計算できる。
電気代の算出に必要な「電力量料金」を求めるための計算式は以下の3種類。
・W数÷1,000×使用時間×1kWhあたりの電気料金
・kW数×使用時間×1kWhあたりの電気料金
・kWh数×1kWhあたりの電気料金
なお、1kWhあたりの電気料金は、契約会社によって異なるため、前もって調べておこう。
家電製品の電気代を計算してみよう
先ほど紹介した計算式を使って、実際にエアコンの1か月あたりの電力量料金を算出してみよう。今回は1kWhあたりの料金単価が26円であると仮定し、1時間あたりの消費電力量が800W(0.8kW)のエアコンを、1日10時間×20日間使った場合の料金を計算する。
まずは、消費電力量を算出するために計算式「決められた時間あたりの消費電力(kW)×時間(h)」に上記の数値を当てはめる。20日間使っていることを加味し、「0.8kW×10 h×20日」の数式で計算をすれば、1か月あたり160kWhの消費電力量であることを求めることができる。
また、電力量料金の計算式「kWh数×1kWhあたりの電気料金」に今回の数値を当てはめると、「160kWh×26円」でエアコンを1か月間使った場合にかかる電力量料金が4,160円になることがわかる。
※データは2023年3月上旬時点のもの。
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文/編集部