引越しに伴い必要となる事務手続きの中でも、新生活の準備に追われるうちについ忘れてしまいがちな住民票の異動。しかし、手続きをしないまま放置していると、重要な契約書類の住所変更ができないなど、生活にさまざまな支障が出る可能性がある。
そこで本記事では、役所での住民票の異動手続きについて、具体的な手順と手続きを忘れていた場合の対処法を紹介する。事前に必要な手続きの流れや手続きに必要なものをチェックし、スムーズに住民票の異動を進めよう。
そもそも住民票とは?
住民票とは、その人がどこに住んでいるかという現在の住まいの状況を公的に証明する書類のこと。出生や婚姻歴などの身分事項を証明するものである戸籍と違い、あくまで居住に関する証明を行うためのものだ。
住民基本台帳法では、引越し時に住民票の異動手続きを行うことが義務付けられている。
住民票の異動手続きの流れ
引越しに伴う住民票の異動手続きでは、役所に転出届と転入届または転居届を提出する必要がある。ここからはそれぞれの提出方法を順番に見ていこう。
転出届の提出
転出届は、引越し当日の2週間前から旧住所管轄の役所に提出できる。ただし、同市区町村内での転居の場合、自治体によっては転出届の提出が不要とされている場合もあるため、引越し前に自身が暮らす自治体のルールについてあらかじめ確認しておこう。
転出届の提出方法については、役所の窓口で必要事項を記入した「住民移動届」を提出する方法のほか、郵送やオンラインでも受け付けている。
手続きに必要なものは、運転免許証などの本人確認書類と印鑑の2点。オンラインで手続きを進める場合は、マイナポータルへのログインのためにマイナンバーカードが必要となる。
窓口で手続きをした場合、転出届の受理後に転出証明書が発行される。この書類は、転入届を提出する際に必要となるため、なくさずに保管しておこう。なお、オンラインでの手続きの場合、転出証明書は発行されず、転入手続きの際にも提出する必要はない。
転入届・転居届の提出
新しい住所に引っ越したら、引越し当日から14日以内に引越し先の役所でも手続きを行う。提出する書類は、引越し先によって以下の2通りが存在する。
・同一市区町村内で転居した場合
転居から14日以内に役所で「転居届」を提出する。
・異なる市区町村に転居した場合
転居から14日以内に新住所管轄の役所に「転入届」を提出する。
転居届・転入届の提出方法は、窓口での直接提出に限られる。マイナポータルや郵送での提出はできないため注意しよう。
手続きに必要なものは本人確認書類、印鑑、旧住所役所の転出手続きで受け取った転出証明書(オンラインで転出手続きをした場合は不要)の3点だ。なお、本人が出向けず、やむを得ず代理人に提出を依頼する場合は、代理人の印鑑(代理人でも本人と同一世帯の方の場合は不要)、本人確認書類、委任状(申請者本人の自署・押印が必要)も必要だ。
手続きを忘れた場合は?
転出証明書や転出届に有効期限はないため、気が付いた時点でなるべく早めに手続きを済ませよう。ただし、引越し日から14日を過ぎても転出・転入手続きをしなかった場合、最大5万円の過料(罰金)が掛かることがあるため注意したい。
通学のための一人暮らしや単身赴任などの事情による一時的な引越しの場合は、「生活の拠点は引越し前の場所にある」として、住民票の異動手続きをしなくても過料(罰金)がかかることはないが、住民票を移さないことによって、自治体からの重要な書類が旧住所に届くといったデメリットもあることは覚えておこう。
※データは2023年3月上旬時点のもの。
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文/編集部