小説を読んでいるときなどに、目にすることもある『鷹揚』とは、どのような意味がある言葉なのでしょうか?読み方・由来とともに、使い方や例文も紹介します。また類語や四字熟語もあわせてチェックし、使いこなせるようになりましょう。
「鷹揚」の意味・由来とは
『鷹揚』は『おうよう』と読みますが、難しい漢字が使われていることもあり、あまり馴染みのない言葉ではないでしょうか。まずは言葉の意味と由来を確認し、知識を深めましょう。
意味は「小事にこだわらず落ち着いた様子」
『鷹揚』は主に、人の性格・行動を表す言葉です。『目先の小さなことにこだわらず、おっとりとした上品さを感じる様子』という意味を持っています。
また、『何事も恐れず落ち着いており、余裕がある』というニュアンスでも使われます。例えば、おおらかで器の大きい人や、どのような状況でも動じず悠然と構えている人などに対して、使うことが多いでしょう。
由来は「中国最古の詩集から」とされる
『鷹揚』の由来は、中国の『詩経(大雅・大明)』に記された漢文にあるといわれています。詩経は、およそ300首の詩歌が納められている中国最古の詩集といわれ、儒教の経典の一つでもあります。
漢字で『鷹(たか)が揚がる』と書かれる通り、鷹が悠々と飛んでいる様子を表す言葉として『鷹揚』が用いられているのです。それが、日本に元々あった、おおらか・大雑把を意味する『大様(おおよう)』という言葉と混ざり、次第に統一されていったと考えられています。
「鷹揚」はどんな使い方をする?
意味を理解しても使い方が分からないと、言葉を正しく使いこなせません。『鷹揚』の使い方を分かりやすい例文とともに紹介するので、アレンジして使ってみましょう。
使い方を例文で紹介
『鷹揚』は、主に人の性格・態度に対して使う表現で、以下のような状況で使えます。
- 平日の朝は時間に追われてイライラしがちだが、子どもたちにはできるだけ鷹揚に接するように心掛けている
- 職場で思わぬトラブルが起き、みんながパニックに陥っている中で、上司だけは鷹揚な態度で対応していた
- 上司や同僚のささいな言動が気になってしまう、気が小さく臆病な性格を改善して、鷹揚になりたい
このように、おおらかな態度や、どのような状況でも落ち着いている様子を表すときに用います。小さなことにこだわらず、気持ちにゆとりを持つという意味で使うことも可能です。
「鷹揚」に類語はある?
『鷹揚』には、どのような類語があるのでしょうか?類語を学ぶことは、語彙を増やせるというメリットがあるだけでなく、状況に合わせて適切な言葉を選択する上でも役立ちます。
心が広く人をやたらと責めない「寛大」
『寛大』は『心が広く、むやみに人を責めないこと』や『度量が大きい』という意味があるため、類語として使えます。
- 仕事で大きなミスをしてしまったにもかかわらず、「誰にでもミスはあるものだ」と寛大な心で受け止め対処してくれた上司に今でも感謝している
- 自分が親になって、両親がどれだけ寛大に扱い、育ててくれたのか気付かされた
- 寛大なご配慮をいただき、心から感謝しております。今後とも何卒よろしくお願いいたします。
例文の通り、寛大はビジネスでもプライベートでも、日常のさまざまなシーンで使いやすい言葉です。
度量の大きいおおらかな心「雅量」
『雅量(がりょう)』は『度量が大きく、人を受け入れるおおらかな心』という意味の言葉です。普段はあまり聞き慣れない言葉かもしれないので、以下の例文で使い方を押さえましょう。
- リーダーとしてチームをうまく引っ張っていくためには、異なる意見を受け入れられる雅量が必要不可欠だ
- 彼が多くの人に好かれている理由の一つは、ライバルの成功を心から祝福できる雅量があるからだ
- 彼が社長を任され大きな功績を残せたのは、カリスマ性と雅量を備えていたことも大きいといわれている
『雅量な態度で』のように、形容動詞として使わない点には注意が必要です。
心に余裕のある様子「おおらか」
『おおらか』は『心に余裕がある様子』や、『せかせかせずにゆったりと構えている様子』を表す言葉です。
- おおらかな彼女と話していると、自分の悩みが小さなことのように思えて心が晴れる
- ストレス社会でうまく生き抜いていくために、子どもには小さなことを気にしない、おおらかな性格でいてほしい
- 仕事が忙しいと心に余裕がなくなりがちだが、上司は常に部下に対しておおらかな態度で接していて尊敬できる
『おおらか』は日常会話でよく使われる言葉なので、使う場面もイメージしやすいでしょう。
「鷹揚」を含む四字熟語もチェック
最後に、『鷹揚』を含む四字熟語の意味や使い方を紹介します。四字熟語を知っていると表現の幅が広がるので、正しく使いこなせるように例文も確認しましょう。
動揺せず落ち着いている様「鷹揚自若」
『落ち着いており、慌てることがない』という意味の『自若(じじゃく)』を組み合わせた、『鷹揚自若(おうようじじゃく)』という四字熟語があります。『どのようなことにも動揺せず、落ち着いている様子』や『心に余裕がある様子』を表す言葉です。
- 彼女は、大きなプロジェクトで責任あるポジションを任されたのにもかかわらず、鷹揚自若としている
- 彼は逆風に立たされるたびに、鷹揚自若な態度で切り抜けてきたため、将来会社を引っ張っていくリーダーとして大いに期待されている
- 周囲のささいな発言を気にしすぎて心が乱れやすいので、鷹揚自若な精神を身に付けたいと思っている
精神的な強さをイメージする言葉でもあるので、座右の銘にするのもよいでしょう。
構成/編集部