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なぜ北海道へ?伊豆急の観光列車「THE ROYAL EXPRESS」が日本最北の宗谷本線を走る理由

2023.03.12

東伊豆~南伊豆への重要な鉄路である、伊豆急行。都心からも特急「踊り子」・「サフィール踊り子」がJR線から乗り入れてきており、多くの観光客が利用している。そんな伊豆急行が2017年から運行している、ラグジュアリーな観光列車「THE ROYAL EXPRESS」が、2023年も伊豆から遠く離れた北海道の地を走る。

「THE ROYAL EXPRESS」って?

「THE ROYAL EXPRESS」は、特定日に運行される観光列車として、主にJR横浜駅~伊豆急下田駅を結ぶ。一般的な観光列車よりは「ワンランク上」のラグジュアリーさが魅力のひとつで、乗車についても「みどりの窓口」などで特急券を購入するのではなく、公式サイトから事前に申し込む必要がある。

伊豆急行が運行する「THE ROYAL EXPRESS」

乗車には各プランが用意されており、それぞれ「THE ROYAL EXPRESS」への乗車を基本に、地元の名宿での宿泊、観光を組み合わせた「クルーズプラン」、車内でこだわりの食事を楽しむことができる片道乗車の「食事付きプラン」、そして孤高の「特別プラン」などが用意されている。それぞれ、地域の「旬」を楽しめるようにルート、内容がまめに変更されており、たとえば、3月~4月は桜、5月~6月はほたるという風に、伊豆での観光内容も変化する。

様々な意匠が凝らされた豪華な車内空間

伊豆の旅では海風景が車窓の主役となる

2023年3月現在、最も安価で乗車できる片道乗車の「食事付きプラン」でも3万9000円、「クルーズプラン」では目安として10万円台(2名一室・一人当たり)と、少し高めの価格設定とはなっているが、その分、これまで以上に新しい「伊豆」の魅力に触れる旅ができるかもしれない。伊豆を走行する各プランの申し込み方法など、詳細は公式サイトをチェックしてほしい。

なぜ北海道へ??

さて、そんな「THE ROYAL EXPRESS」。なぜ、伊豆を離れ、遠方の北海道を走るのだろうか。きっかけは2018年に発生した北海道胆振東部地震だった。最大震度7を記録したこの地震は、地域に住む日常はもちろん、北海道の観光にも大きな影響を及ぼした。そんな北海道を応援しようと、JR北海道と伊豆急行の母体である東急がタッグを組み、さらにJR東日本、JR貨物も加わり、合計4社で北海道内をめぐる「観光列車の走行プロジェクト」を2019年に立ち上げた。

北海道の旅でも各地で地域の歓迎が行われている

北海道の鉄路は多くが電線の無いディーゼル車で運行される非電化区間だが、「THE ROYAL EXPRESS」は電線から給電して走る「電車」であるため、そのままでは走行することができない。そこで、道内はディーゼル機関車によって牽引されて走る。しかし、それでは車内で使用する電力を供給できないため、JR東日本が自社内で余剰となった「電源車」を東急に譲渡。そしてJR貨物は「THE ROYAL EXPRESS」と「電源車」を北海道へ回送する役割を担っている。

「THE ROYAL EXPRESS」北海道の旅をちょっぴり体験

「THE ROYAL EXPRESS」の北海道運行、「HOKKAIDO CRUISE TRAIN」は2023年で4期目を迎える。この特別運行については「毎年好評」とのことで、リピーター参加者も多いとのこと。北海道での運行プランは「HOKKAIDO CRUISE TRAIN」、「HOKKAIDO CRUISE LMITED」、「HOKKAIDO 日本最北端の旅」とこのプランの前泊として「銀鱗荘でのプレミアムな一刻」が用意されている。いずれも3泊4日の行程だ。

今回のトピックスは初めて日本の最北の鉄路、宗谷本線を走行し稚内を目指す点だ。車両の仕様上、日本最北駅の稚内駅には入線しないものの、ついに「THE ROYAL EXPRESS」は最北の地を目指すことになる。

「HOKKAIDO CRUISE TRAIN」のおもてなし。ドリンクや食事も北海道に特化したものが用意される

今季の運行は各プラン合計で9回。値段は82万円(2名1室)から。申し込みは公式サイトおよび郵送で受けつけており、郵送は2023年4月17日必着、公式サイトからの申し込みは2023年4月17日23:59まで。希望者多数の場合は抽選となる。こちらも詳細が公式サイトに明記されている。なお、車内には寝台施設がないので各プランとも夜は宿泊施設に泊まる。

車内では北海道の食材と味覚、文化などにこだわった食事が提供され、腕を振るうシェフたちも高いセンスと深い造詣の持ち主ばかり。食事の面から鉄道の旅を演出する。

車内で提供される食事の一例。北海道の素材だけでなく、文化にもふれたメニューになっている

さらに車内では「THE ROYAL EXPRESS」のテーマソングを手掛けるヴァイオリニスト、大迫淳英氏の演奏を実施。生演奏だけが持つ臨場感で旅路に花を添える。

大迫淳英氏の生演奏はこの列車の名物。北海道ではオリジナルアレンジ曲も演奏される

「THE ROYAL EXPRESS」が走り、なにかが「変わったか」

「THE ROYAL EXPRESS」をデザインしたのは、JR九州の各種観光列車、豪華クルーズトレイン「ななつ星in九州」などをデザインしてきた水戸岡鋭治氏だ。実は水戸岡氏、この列車がはじめてお披露目された際に、「この列車を(伊豆急行が)走らせても、なにか大きく変わるとは思えない」と辛口な発言を残した。

デザインを担当した水戸岡鋭治氏

観光列車は、車両という「ハード面」以上に、車内外でのおもてなしや地域への理解や情熱など、「ソフト面」が成功の大きな分岐点となる。当時、水戸岡氏はそれを鑑み、このような言葉を残した。

デビューから6年が経ち、今回で4期目を迎える北海道運行など新たな試みを続けている「THE ROYAL EXPRESS」について、改めて水戸岡氏に尋ねてみると「正直ここまで成長するとは思っていなかった」と当時の発言を振り返った。「車両も丁寧にメンテナンスし、みんながこの列車を本気で支えていることがわかる。北海道運行のようにこの車両が仕様上走行できない区間を、各種条件をそろえて走行させたりと、“ありえない”ことも成し遂げている。日本の魅力はローカル線にある。しかし、そのローカル線すべてに観光列車が走らせられるわけでもなく、『THE ROYAL EXPRESS』のように、車両は別会社が保有し、それを他社に貸し出す。こうしたスタイルは今後一つの可能性のように感じる」と語った。

地域と人と共に成長し、育てていく「観光列車」。ローカル線存続に向けた希望の一手になるか

伊豆と北海道という遠く離れた、それぞれの地を走る「THE ROYAL EXPRESS」。この列車はまだ見ぬ鉄道の旅にあなたが出会う、大きなきっかけきっかけになるかもしれない。

取材・文/村上悠太

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