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企業を成長に導く副業活用のポイントとチームビルディングの注意点

2023.03.10

リモートワークが当たり前になり、個人の働き方が変化する中で近年注目されている新しい働き方の一つが「副業」。さまざまな課題解決のため、副業人材を活用する企業も増加しており、今や国内の企業のうち3割が社員に副業を認めているというデータもある。そんな副業について考える「副業フェス」が、副業・フリーランスのマッチングプラットフォーム「HiPro Direct(ハイプロダイレクト)」を運営するパーソルキャリア株式会社主催で開催された。

実際に副業人材を活用している企業はどのような視点で外部人材を探し、どのような効果が得られたのか。副業人材活用時の注意点やその効果などを紹介する。

副業人材に求めるのは社内人材にない「スキル」と「視点」

セッションに登壇したのは、日本電気株式会社デジタルテクノロジー開発研究所のリードビジネスデザイナーを務める尾田識史氏と、森ビル株式会社ARCH企画運営室の室長を務める飛松健太郎氏。いずれも多数の正社員を抱える大企業だが、副業人材を積極的に活用している。なぜ正社員ではなく副業人材が必要とされるのだろうか。

尾田氏が所属するデジタルテクノロジー開発研究所はビジネスデザイナー、研究者とエンジニアがチームを組み、官公庁や企業に社会課題解決のための提案を行う。

「研究所では一つのプロジェクトに対して10名前後でチームを組みます。副業人材は主に社内の人材では足りないスキルやナレッジを補完する役割として活用しています。大企業だから人材が豊富ということはなく、不足しているスキルはたくさんあります。例えばデザイナーや、海外マーケティングなど専門性の必要な職種など。とはいえ、彼らに過度に高い専門性を求めている訳ではありません。彼らにとって当たり前のレベルが、私たちには全くないスキルだったりする。私達が時間と労力をかけてやっと完成するものが、彼らにとっては簡単な仕事だったりするのです。研究所の人員では足りない部分を補完してもらうのに副業人材はまさにうってつけです。

副業人材を活用し始めたのは2年ほど前で、個人でコンサル業を行っている方です。当時はどのような仕事をお願いしたら良いかも分からず不安もありましたが、実際にプロジェクトに参加してもらうと、自分達にはない視点での意見をくれ、社内メンバーだけでは思いつかなかったような提案も生まれました。彼の意見を元に一気にプロジェクトが進む場面も。今では、会社にとってなくてはならない存在となり、噂を聞きつけた他のメンバーからも問い合わせをもらうほどです。」(尾田氏)

会社を超えてリソースを補い合い新規事業の創出を後押し

尾田氏のような自社プロジェクトでの副業人材活用に対して、森ビル株式会社が運営する大手企業の新規事業創出をサポートするインキュベーション施設『ARCH』では、企業間を超えた人材活用を推進していると飛松氏は話す。

「大企業は既存事業という基盤があるがゆえに新しい分野にチャレンジするハードルが高く、新規事業が生まれにくい現状があります。そこでARCHでは参画企業が企業間を超えてチームを組み、足りないピースを補い合いながらプロジェクトを進めることを促進しています。なぜかというと、新しい分野の事業に参入しようとすると、どうしても社内には適したリソースがなく、専門性も持ち合わせていないことが多々あります。外部人材・副業人材を活用することで、よりスピード感を持って必要な知見やスキルを得ることができます。上長の承認を得る上でも、外部からの専門的なマーケット観や意見が有効に働きます。」(飛松氏)

社内で築かれた固定観念を取り払うためにも副業人材の活用は有効だ。

「スキルと同等に外部人材に求めるのは、我々にない視点。プロジェクトチームが社内の人間だけで構成されていると、何度も議論を重ねるうちに、気付かぬうちに視点が固まってしまうことが往々にしてあります。そこへ外部からフラットな目線で意見をもらうことで、プロジェクトの強みや弱み、マーケットにおける妥当性などを公平に判断することができます。」(尾田氏)

「新規事業を生み出すにあたって大企業がまず考えねばならないのは『自社の強み』です。しかし人間と同じで、自分/自社の強みを正しく理解している人は決して多くはありません。そこで社外から新たな視座や視点を手に入れ、自社の立ち位置を把握することが重要になります。ここにも副業人材・外部人材を活用する大きな意味があります。」(飛松氏)

副業人材もチームの一員。受け入れ企業側のマインドセットも重要

両社に共通していたのが、副業人材に求める「外部視点」。そしてそのためには自社のやっていること、カルチャーを棚卸しし、副業人材に丁寧にインプットする必要があるという。社内メンバーであれば日頃から情報が共有され、議論もし尽くしている一方で、副業人材には限られた情報しか与えられないという状況は多々あり、それでは求めるような成果を得ることは難しい。

「社内と外部人材で区別することなく、同じチームの一員としてプロジェクトに取り組むこと。これは副業人材を活用する企業側としても、副業人材としてプロジェクトに参画する個人側としても重要な姿勢だと思っています。」(尾田氏)

「副業人材に対して、あらかじめ役割分担を明確にし、委託する内容をはっきり線引きする方法もあります。しかし特に事業の立案段階においては、分担すべき役割がそもそもはっきりしていないこともあります。能力だけを切り取って仕事を依頼すれば、作業として一定の成果は出せるかもしれません。しかし企業が叶えたいこと、やりたいことの世界観を副業人材側が理解していれば、もっと成果を挙げられる可能性もあります。きちんとチームビルディングし、一緒になって課題解決に向かうことが成果に大きく結びついているのです。」(飛松氏)

副業人材を作業のアウトソース先として捉えるのではなく、同じチームの一員として迎え入れること。副業人材の活用には雇用主たる企業側のマインドセットが求められる。続いてはそんな副業人材を選ぶ時のポイントについて。

「能力だけを求める場合は、資格や要件を定義すれば良いので人材探しはシンプルです。しかしゼロイチで事業を生み出す場合、一番大事なのは”一緒に働きたい”と思えるかどうか。実績があるか、即戦力になるかよりも、価値観が合うか、率直にコミュニケーションを取れるかといった点を重視します。なので副業人材獲得にはエージェントやマッチングサービスを活用しつつ、候補者とは面談でしっかり対話することにしています。」(飛松氏)

「企業は所詮、箱でしかないというのが私の考え。社員であろうが副業人材であろうが、一緒に働きたい人とチームを組みたいという思いに違いはありません。その上で、チームには多様なスキルを持った人を集めたいと思っています。そのためにはマッチングサービスなども積極的に活用し、新しい人とどんどん出会っていくつもりです。」(尾田氏)

企業のみならず、日本経済の発展のためには、外部人材・副業人材の活用がキーになるのではないか。新しい働き方やスキルアップを考えている個人や、社内人材では解決できない課題を抱えている・よりグロースしたい企業は、新たな選択肢として「副業」を取り入れてみてはいかがだろう。

文 / Kikka

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