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三陽商会とパナソニックの異業種コラボが生み出すサステナブルな未来

2023.03.10

三陽商会が国内展開している、スペイン発のサステナブルファッションブランド『ECOALF』が2022年4月にパナソニックとコラボをスタートさせた。セルロースファイバー由来の新素材『kinari』を用いたアパレル商品を展開中だ。アパレルメーカーと大手電機メーカーという異業種同士のコラボはどのようにして生まれたのか、そしてどういった価値を生み出すのだろうか。ECOALFが思い描く、異業種コラボによって生まれる未来予想図とは。

”プラスチックに代わる素材”を活用したアパレル

異業種の企業同士が互いの価値やノウハウを共有する”コラボ”によって、新しい価値が生まれることがある。アパレル企業の三陽商会が展開するブランド『ECOALF』は、パナソニックが開発した新素材『kinari』を用いた衣料の販売を2022年4月から開始した。いったいどのような素材なのか、担当者のコーポレートブランドビジネス部エコアルフ課長兼エコアルフ・ジャパン株式会社取締役の下川 雅敏さんに聞いた。

「『kinari』は素材の一部に植物由来のセルロースファイバーを用いた、パナソニック独自の素材です。プラスチックのような従来の石油由来樹脂と同じような性質を持ちつつ、環境への負荷を減らすことができます。現在は木材が主原料となっていますが、コーヒーかすや農業残渣など様々な植物由来の廃棄物も原料にすることが可能です」

ECOALFではジャケットやパンツのボタンやスピンドルストッパーの素材に『kinari』を用いている。加えて、22年9月から渋谷に新店舗を展開。両社のコラボ事業を強く押し出された店舗レイアウトとなっている。

「パナソニックのCMで大量の生花を使用したのですが、それを廃棄せずに染料として活用した『ボタニカル ワンハンドレッド Tシャツ』のように、『kinari』以外での取り組みなども行っています。現在注力している、廃棄された木製ハンガーから再生した新しいハンガーも店内で使用しています」

渋谷スクランブルスクエア7階に2022年9月にオープンした国内旗艦店。ECOALFのアパレル商品に加え、『kinari』について紹介するエリアが設置されており、『kinari』を使ったタンブラーなどのグッズが販売されている。

三陽商会とパナソニックが共に見据える、エコが当たり前の世の中

ECOALFはもともとスペイン発のブランドだ。アパレル業界が環境問題に対してあまり関心を寄せていなかった2009年にスタートした、サステナブルブランドのリーディングカンパニーといえる。

「三陽商会は2014年から成長戦略としてサステナビリティを経営方針のひとつとして掲げました。それがアジア圏へのブランド展開を見据えていたECOALFの事業理念と合致し、ジョイントベンチャーとして国内法人を立ち上げる運びとなりました」

ECOALFでは海中に廃棄された海洋プラスチックゴミを回収・分別・再生し、製品としての新たな命を与えるプロジェクト「UPCYCLING THE OCEANS」に取り組んでいる。

パナソニックとの”異業種コラボ”に至ったきっかけは、パナソニックがアサヒビールと共同開発した『森のタンブラー』だった。

「その時に『kinari』という素材の存在も知りました。次世代のプラスチックでゴミを減らそうという理念に我々は共感し、ECOALFの店舗で販売する一方で、ファッションにも活用できないかと考えるようになりました」

昨今ではアパレル業界でもサステナブルへの取り組みは増えているものの、ほとんどが生地に関する取り組みで、ECOALFも同様だった。それゆえ、『kinari』を活用した商品開発は新しい取り組みではあるものの、耐久性やコスト面といった課題があるという。

「耐久性をさらに向上できれば、ファスナーをはじめ活用できる幅はグッと広がります。コスト面に関しても、現在は木材由来のセルロースが中心ですが、利用可能な原料の範囲が広がれば、より安定すると考えています。また『kinari』は素材の特性上、従来行っていたボタンへの刻印が難しいのですが、『この工程ってファッションとして本当に必要なんだっけ?』とファッションの本質について考え直すきっかけにもなりました」

今回の取り組みは、両社の協業のスタートでしかないと下川さんは語る。

「今後、パナソニックをはじめ様々な業種の会社と連携して、衣・食・住のトータルで環境に配慮した生活を提供していきたいと考えています」

環境負荷の大きい産業といわれるアパレル業界。日本を代表するアパレルメーカーである三陽商会の”異業種コラボ”は、未来のアパレル業界を、ひいては地球環境を守るための大きなきっかけになるかもしれない。

取材・文/桑元康平(すいのこ)
1990年、鹿児島県生まれ。プロゲーマー。鹿児島大学大学院で焼酎製造学を専攻。卒業後、大手焼酎メーカー勤務などを経て、2019年5月から2022年8月まで、eスポーツのイベント運営等を行うウェルプレイド・ライゼストに所属。現在はフリーエージェントの「大乱闘スマッシュブラザーズ」シリーズのプロ選手として活動中。代表作に『eスポーツ選手はなぜ勉強ができるのか』(小学館新書)。

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