月曜に助走仕事をとっておく
休み明けの月曜日に調子が上がらないのは当たり前です。休日にリラックスしていると、体が「副交感神経優位」になります。そこから、いわゆる活動モードである「交感神経優位」に切り替えてくれるのは自律神経です。自分でコントロールするのはなかなか難しいし、体だって大変です。
実は、このようにきちんと自律神経が働き、オンオフを切り替えて休息をとれる人ほど、持続的に優秀な働き方ができる優秀な人です。まずは、ちゃんと仕事始めを「ちょっと憂鬱」と感じられる自分の体の働きが素晴らしいのだと分かり、まずは自分をほめましょう。
とは言え、まだ体が起動していない状態で週初めを迎えると、「その週のやることリスト」が目の前に現れたときに、やっぱりげんなりします。がんばろうとしてもなかなか調子が上がらず、時間効率が悪いことに焦ったり、がんばれない自分にがっかりしたりして、気持ちも落ち込んでしまいます。
調子が上がらないときは、うまく「助走」を使いましょう。全速力で走る前に少しの距離を軽く走るような作業を用意して、徐々に加速するのです。そのために、週終わりの金曜に、簡単な作業だけをあえて「助走仕事」として月曜に残しておくのがおすすめです。
僕は長年開発に携わっているWebゲームのデバッグを毎朝必ず最初にやっています。ゲーム中に不具合が起きないかをチェックしてメモする作業です。重要な仕事ですが、事業企画の詳細をまとめていくような思考の負荷が大きい仕事ではないので、淡々と進めることができます。それをやっているうちに調子が上がってきます。
金曜に翌週の分まで仕事を片付けてしまい、月曜にやることが何もないと、「何かしなきゃ!」などと不安が押し寄せる場合もあります。やることがあるのは幸せです。健全な連続性は幸せな働き方にとって大切です。
遠すぎる未来を見ない
子ども時代は月曜日を憂鬱に感じることはあまりありませんでした。「ああ、休みが終わって学校面倒だなあ」などと思いながらも、落ち込まずに学校に行っていました。
僕は子ども時代いじめられっ子でしたが、それでも月曜日に落ち込んだりしていませんでした。子ども時代は近い未来しか見えなかったから、将来を不安視することがありませんでした。例えば中学時代は、「あと 1、2年で高校に行ける。そうしたら新しい生活が始まるんだ」というように、数年後の卒業式と新しい未来が見えていたので、よくわからない遠い未来を見る必要がありませんでした。
大人は、漠然と遠い未来を不安視していることが多いものです。変化が目まぐるしい今の時代に、「10年後は大丈夫かなあ。ちゃんと働けているかなあ。貯金はあるかなあ」とか、「この忙しさはいつまで続くんだろう。一生この生活から脱出できないのかなあ」とか。そんなことを考えても仕方ありません。数年後には何が起きてどう変わっているかまったくわからない時代です。
遠い未来に目を向けないようにするために、近い未来に何かの「卒業式」を設定しましょう。実現しなくても、「 2 年後に会社の違う部署に行く」とか、「別の県に引っ越す」とか、心の中で近い未来の計画を立てておくのがおすすめです。黙っていると、大人に卒業式は訪れません。どんなことでもいいから数年ごとに新しいゴールを用意して、それに向かって
生活をすると、遠い未来を意識することがなくなります。
先に起こることが漠然としている状態が一番不安なものです。例えば明日などの近い未来に関しても、どんな仕事の予定があるかを紙に書きだして、10 分ほど眺めるだけでも、心がスーっと落ち着いてきます。
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文/高橋晋平(たかはし しんぺい)
株式会社ウサギ代表取締役、おもちゃクリエーター。悩みや面倒を「遊び化」する製品やサービスを次々世に送り出し、月曜日を楽しくする方法の研究も行っている。近著に『企画のメモ技』(あさ出版)。Twitter : https://twitter.com/simpeiidea