知りたい情報がある時に、まずスマホを手に取って検索エンジンで気になるワードを検索するという方は多いはず。しかし、ネット上で情報収集を続ける中、知らない間に価値観や考え方に偏りが生じる「フィルターバブル」に陥ってしまうケースも少なくない。
そこで本記事では、ネット検索を利用する際に気を付けたい「フィルターバブル」の意味や、対策方法についてわかりやすく解説する。
フィルターバブルとは?
インターネットの検索エンジンは、同じワードで検索をしてもユーザーごとに異なる検索結果が表示される仕組みになっている。これは、検索エンジンがある一定のアルゴリズムによって、ユーザーごとの検索履歴やクリック履歴を分析・学習しているからだ。この機能により、個々のユーザーが興味を持つと予測される情報が優先的に検索結果のページに表示される。
検索エンジンのアルゴリズムによりユーザーごとに最適化された情報が表示されることで、欲しい情報が見つかりやすくなる一方で、望まない情報は排除されやすくなるという側面もある。「フィルターバブル」は、ユーザーが見たくない情報をフィルターによって排除する仕組みによって、まるで自身の考え方や価値観の泡(バブル)の中に孤立してしまうかのように視野が狭まってしまう状況を問題視して使われる言葉だ。
フィルターバブルに陥ってしまえば、知見を広げる情報や都合の悪い情報を知る機会を失うリスクがある。さらに、自分と異なる価値観や考え方に触れる機会が減少することから視野が狭くなってしまう可能性もあるため注意が必要だ。
フィルターバブルを避けるための対策
知らないうちに個人の価値観や思考に偏りを生み出しかねないフィルターバブル。ここからは、幅広い情報を得るためにできる2つの対策を見ていこう。
シークレットモードやプライベートブラウズを使う
インターネット検索する際にWebブラウザをデフォルト設定のまま利用すると、フィルター機能が働いてしまう。そのため、アルゴリズムによって最適化されていない情報に触れたい場合は、シークレットモードやプライベートブラウズを利用するのがおすすめだ。
シークレットモードやプライベートブラウズは、ブラウザを一度閉じると過去の検索履歴やログイン時に使用したデータが自動的に削除される仕組みになっている。これにより、過去のアクティビティに左右されずに幅広い情報を得やすくなる。
インターネット以外の情報源も活用する
シークレットモードやプライベートブラウズを使用すれば、ある程度フラットな情報を得られるようになる。しかし、そもそも情報源がインターネットに限られている時点で、狭い世界の情報しか得られていないとも言える。より視野を広げていくためには、インターネット以外の情報源も積極的に活用したいところ。新聞やテレビ、書籍など、さまざまな媒体に触れることで、より幅広い情報を得られるだろう。
フィルターバブルとよく似た「エコーチェンバー」とは?
フィルターバブルと似た意味を持つ言葉に「エコーチェンバー」がある。ここからは、SNSの利用時に気を付けたいエコーチェンバーについて、意味や対策を見ていこう。
SNSにおいてよく見られる現象
エコーチェンバーとは、自分と似た価値観や思想を持つ人々が集まるSNSなどにおいて、自分の意見や思想が肯定されることにより、あたかも自身の価値観や思想が正しいかのように勘違いをしてしまう現象、また、価値観の似た者同士で交流したり共感し合ったりする中で特定の意見や思想が増幅されていく現象を指す。
閉鎖的な空間で似た者同士で意見を発信し合うことで、自分と似た意見が増幅していく様を、小部屋(チェンバー)で音が反響(エコー)する物理現象に例えた表現だ。一見すると、フィルターバブルとエコーチェンバーは似ている概念。しかし、フィルターバブルがアルゴリズムにより作られた環境であるのに対し、エコーチェンバーは、自らが心地良い情報環境を得ようとして作られる環境である点に決定的な違いがある。
真実を見極める冷静さが必要
エコーチェンバーの状況に陥ってしまうと、例え自身の考え方が間違ったものであっても正しいと錯覚してしまう。そうならないために、時には賛成意見だけではなく反対意見にも耳を傾ける意識が重要だ。また、閉鎖的なコミュニティだけでなく、さまざまな場所で多くの人と意見交換をすることや、フィルターバブル対策と同様にシークレットモードやプライベートブラウズを使用することも効果的な対策と言える。
※データは2023年2月下旬時点のもの。
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文/編集部