コリコリした歯応えを楽しめる、中華料理でお馴染みの食材「木耳(きくらげ)」。普段何気なく口にすることも多い身近な食べ物だが、古くから漢方や薬膳料理に使われてきたほど、健康に良い食材であることを知らない方は多いかもしれない。
そこで本記事では、木耳の名前の由来や、含まれる栄養素、美味しく食べるための下処理方法まで木耳に関する基礎知識を解説する。
木耳(きくらげ)とは?
きくらげは、夏から秋にかけて桑やニワトコの枯れ木などに群生するキクラゲ科のきのこ。漢字では「木耳」と書く。乾燥したきくらげは、軟骨のように硬くなり、口にするとクラゲのようなコリコリした食感が楽しめる。また、その形状が人の耳の形にも似ていることから「木耳」と書いて「きくらげ」と呼ばれるようになったとされている。
木耳は健康に良い食材?
さまざまな栄養素を含む食材で、古くから漢方や薬膳料理にも使われてきた木耳。貧血予防や、便秘解消などをはじめ、さまざまな健康効果が期待できるとされている。ここからは2つの効果について具体的に紹介したい。
貧血予防効果
鉄分には、ヘム鉄と非ヘム鉄の2種類が存在するが、乾燥きくらげにはこのうちの非ヘム鉄が多く含まれている。そのため、乾燥きくらげを食生活に取り入れることで、貧血の予防や疲れやすさの改善が期待できると考えられている。
便秘解消効果
木耳を含むキノコ類には、不溶性食物繊維が多く含まれている。この不溶性食物繊維には、腸の善導運動を活発にして、便を押し出す効果に期待できる。ただし、木耳には豊富な食物繊維が含まれているため、摂りすぎることで、お腹が緩くなったり、栄養の吸収を妨げてしまったりする場合もある。バランスを考えながら摂るようにしよう。
木耳の種類と特徴
木耳にはいくつかの種類がある。ここからは、主な種類とその特徴ついて紹介していきたい。
黒きくらげ
免疫力アップ、貧血・婦人科疾患、生殖機能の成熟を促す働きがあると言われており、薬膳料理の食材として使われることも多い。血の巡りをスムーズにする作用があることから、習慣的に食生活の中に取り入れることで生活習慣病の予防にも役立つと考えられている。
白きくらげ
白きくらげは、シロキクラゲ科シロキクラゲ属に分類されるきのこ。味や香りにクセがなく、白くて、半透明な色とコリコリした食感が特徴だ。呼吸器を強化する効果が期待できるとされており、エネルギー不足で疲れやすく、息切れしやすい方にもおすすめ。
乾燥きくらげ
生のきくらげを乾燥加工させた乾燥きくらげは、水で戻した時のコリコリした食感が特徴的で、長期保存に向く。乾燥きくらげは、生のきくらげと比べてカルシウムやビタミンD、鉄の他カリウムやリンを多く含む。また、乾燥させることでうまみ成分が凝縮され、調理に使用した際に料理全体の旨味を引き出してくれる。
きくらげの下処理の仕方
木耳を調理で使う際、生きくらげと乾燥きくらげではで下処理の方法が異なる。栄養満点なきくらげを美味しく食べるために、それぞれの正しい下処理方法をチェックしておこう。
戻し方
【生きくらげの下処理】
刺身や酢の物に使う場合は、必ず下茹で(加熱処理)してから食べるようにしよう。下処理の手順は以下の通り。
1.包丁で石づきを切り落とす
2.沸騰したお湯で30秒程度茹でる。
3.ザルにあげたら、そのまま冷やす。炒め物や煮物料理に使う場合は、下茹での工程は不要のため、そのまま調理する。
【乾燥きくらげの下処理】
乾燥きくらげの場合は、ひじきのように事前に水戻しが必要だ。冷水ではなく、ぬるま湯につけることで戻し時間を短縮できるが、木耳の独特の弾力と栄養を逃さないためには冷水を使うのがおすすめ。乾燥きくらげの戻し方は以下の通り。
1.たっぷりの水で6時間冷蔵庫に置く
ふた付きの保存容器に、乾燥きくらげ5gに対して300ml程度の水を入れる。急いでいる時は、36〜38度のぬるま湯に入れて15分程度置く。
2.沸騰した湯で30秒茹で、ザルにあげる
ザルにあげたら、そのまま冷やす。先述の通り、加熱調理をする場合は、この下茹での工程は必要ない。
※データは2023年2月下旬時点のもの。
※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。
文/編集部