3月11日がパンダ発見の日だと知っていましたか?中国国内でも『幻の動物』や『神の使い』などといわれていたパンダについて、発見されるまでや、その後保護されるまでの歴史を見ていきましょう。国内でパンダに会える場所もチェックします。
パンダ発見の日とは?
人に見つかる機会が極端に少なく、実在するか不確かな存在だったパンダが発見されたのは、19世紀に入ってからのことでした。それ以前のパンダは、どのように扱われていたのでしょうか?
1869年パンダの毛皮が発見される
パンダが発見された日は1869年3月11日です。ただし発見されたのは生きているパンダではなく、パンダの毛皮と骨です。フランスの博物学者であるアルマン・ダヴィドが、珍しい白黒の毛皮について詳しく調べようとフランスへ送ったことで、発見の日とされています。
もともと森の中で暮らし、人に見つかることもほとんどなかったパンダが、世界的に知られるきっかけとなった出来事です。
世界的に知られる前のパンダ
世界的にパンダの存在が知られる前から、パンダは中国の森に生息していました。発見された最古の化石は800万年前のものとされており、古くから存在していたことが分かります。大昔から変わらぬ生態を保っているため、生きた化石ともいわれています。
パンダと考えられる生き物の最も古い記録は、4,000年ほど前の中国の神話に登場します。また中国古代の地理書『山海経』には、銅と鉄を食べる白と黒のクマに似た動物の記述もあるそうです。神獣の一種と考えられていた形跡もあり、幻の生き物・不思議な生き物と認識されていたのでしょう。
アルマン・ダヴィドによる発見前は、中国国内でもパンダが実在する動物なのか明確にはなっていませんでした。
受難の歴史と保護まで
パンダが現在のように保護されるようになったのは40年ほど前からで、それほど昔のことではありません。発見されてからも保護されるようになるまでは、環境の悪化や繁殖の難しさなど困難な状況に直面しており、最近まで絶滅危惧種に指定されていました。
パンダ受難の時代
単独行動を好むパンダは、個体数が少ないにもかかわらず広大な生息地に散らばっており、自然にパートナーと出会う可能性が低いのが特徴です。加えて繁殖期が限られており、一度の出産で1~2頭しか生まれません。
過去にはスポーツハンティングの対象とされたことや、毛皮を目的に乱獲されていたこともあり、野生では1,000頭ほどしか存在しない時期もあったようです。
食料である竹の枯死も、パンダの大量死につながりました。森林伐採により生息できる地域が減ったという状況もあり、そのままでは絶滅間近といっても過言ではない状況でした。
1980年代にパンダの保護が始まる
厳しい状況に置かれていたパンダの保護が始まったのは、1980年代のことです。絶滅危惧種に登録され、野生パンダの生息地を守るための取り組みが始まります。その一つが、森林伐採により分断された生息地をつなげる目的で行われる、竹林を作る活動です。
加えて、人が飼育しているパンダの繁殖を促す取り組みも行われています。保護が始まってから40年ほどたった現在でも、問題がすべて解決したわけではないものの、成果は現れつつあり、絶滅の危機度が絶滅危惧種から危急種へと引き下げられました。
個体数は少ないながらも、生息地の保全活動により順調に増えていることが反映された結果です。
日本でパンダに会えるのはどこ?
日本でパンダに会えるのは上野動物園、神戸市立王子動物園、アドベンチャーワールドのいずれかです。それぞれの施設の特徴や、会えるパンダを紹介します。
東京「上野動物園」
パンダと会える動物園として有名な上野動物園では、現在4頭のパンダが暮らしています。中国からやってきたオスの「リーリー(力力)」とメスの「シンシン(真真)」に加え、上野動物園で生まれた「シャオシャオ(暁暁)」と「レイレイ(蕾蕾)」です。
同じく上野動物園生まれの「シャンシャン(香香)」もいましたが、2023年2月21日に中国へ返還されました。
和歌山「アドベンチャーワールド」
アドベンチャーワールドでは、これまでに17頭の赤ちゃんパンダが誕生しています。これは中国以外では世界最多の実績です。
16頭の父親である「エイメイ(永明)」と、2014年にアドベンチャーワールドで生まれた「オウヒン(桜浜)」「トウヒン(桃浜)」は、2023年2月22日に中国へ返還されました。
現在は「ラウヒン(良浜)」「ユイヒン(結浜)」「サイヒン(彩浜)」「フウヒン(楓浜)」の4頭が暮らしています。
兵庫「神戸市立王子動物園」
日本で唯一パンダとコアラが両方いる動物園として知られているのは、神戸市立王子動物園です。2000年から2頭のパンダがいましたが、2010年に「コウコウ(興興)」が亡くなり、現在はメスの「タンタン(旦旦)」1頭のみが暮らしています。
ただし、タンタンは返還期限の延長中という状況にあり、2023年12月末に中国に帰る予定です。
構成/編集部