『陸でなし』は読み方や意味が分かりにくい言葉です。正しい読み方や意味を知っておけば、本を読んだり人と会話をしたりするときに役立つでしょう。漢字の由来や類語・反対語、碌でなしとの違いなど、陸でなしについて詳しく解説します。
「陸でなし」とは?
『陸』という漢字は一般的に『りく』と読むため、陸でなしの読み方を間違える人も多いでしょう。陸でなしの正しい読み方や陸を使ったほかの表現を解説します。
読みは「ろくでなし」
陸でなしとは『役立たずな人』『不真面目な人』を意味する言葉です。りくでなしではなく『ろくでなし』と読みます。
陸でなしの陸は、物事や性格が真っすぐであることを意味します。一般的に使われる陸(りく)の地平線が平らなことから、このような意味を持っているのです。
陸(ろく)に『でなし』の打ち消しがつくことにより、陸の意味を否定した『役に立たない』『普通以下だ』という意味になっています。
ろくでなしは『碌でなし』と書かれることもありますが、『碌』の方が当て字であり、正しい書き方は陸でなしです。
「陸」を使うほかの表現も
『陸』を使うほかの表現としては、『陸なものがない』『陸でもない』などがあります。打ち消しを使わない『陸なもの』とは、『まっとうなもの』『正しいもの』という意味になります。陸を使った例文も見てみましょう。
- このお店には陸な商品が置いていない。違うお店に行こう
- 年が明けてから1カ月間激務が続いており、陸に休みも取れない
上記例文の陸は、『まとも』『滅多(めった)』などとも置き換えられます。いずれも否定の言葉と一緒に使われる点がポイントです。
陸でなしの類語は?
陸でなしと似た意味の言葉としては、『怠け者』や『人でなし』が挙げられます。それぞれの意味や例文を見ていきましょう。
怠け者
怠け者(なまけもの)とは、怠ける人や怠けてばかりいる人のことを指します。怠け者を用いた例文は次のとおりです。
- 彼は社内で怠け者として有名だ。上司の前では仕事をしているふりをして、上司がいなくなったらいつもスマホで遊んでいる
- 私は好きで怠け者になっているわけではない。仕事がなかなか見つからないだけだ
陸でなしも怠け者といわれることがありますが、怠けていることだけに特化しているわけではない点が異なります。
『約束を守らない』『お金を返さない』『うそばかりつく』など、陸でなしは怠けていること以外にもさまざまな様子が当てはまるのです。
人でなし
人でなしとは、『人としてあり得ない行動をする』『非情』を意味する言葉です。人情や人間味がないといった意味を含み、陸でなしより強い否定のニュアンスを表します。人でなしを使った例文を見てみましょう。
- 彼は生活費の名目で親から送ってもらっているお金で毎週競馬をしている。とんでもない人でなしだ
- 3年間付き合っていた彼氏に、私以外の彼女が複数人いることが発覚した。人でなしだと分かった以上、もう彼と付き合いを続けるつもりはない
このように、人間なら誰でも持ち合わせている優しさや思いやりの心がない人が人でなしです。
陸でなしの反対の言葉もチェック
陸でなしの対義語には、『真面目』『まとも』『律義』といった言葉があります。それぞれの意味を確認し、例文で使い方を覚えましょう。
真面目
真面目とは『うそやいい加減なことを言わない』『真心がある』『真剣』などの意味を持つ言葉です。例文を見て正しい使い方をマスターしましょう。
- 今の会社で20年間真面目に働き続けたかいがあり、ようやく部長にまで昇進できた。これからも引き続き真面目に仕事に取り組んでいくつもりだ
- 彼の真面目な性格は高く評価しているのだが、真面目すぎるために融通が利かないことがたびたびある。周囲の社員もストレスがたまっているようだ
- イベントはいよいよ明日に迫っている。いつまでもふざけていないで、そろそろ真面目に準備を進めてほしい
まとも
まともという言葉の意味は、『真っすぐに向かい合うこと』や『正しくきちんとしていること』です。漢字では『真面』と書きます。まともを使った例文を紹介します。
- 学生の頃、周囲に迷惑ばかりかけていた彼は、心を改めてまともな人間になっている。若い頃の彼を知らない人は、過去の武勇伝を聞いてびっくりするだろう
- 彼女はいつも人の話をまともに聞こうとしないので、真面目な話をするのはやめようと思う
- 息子がやっとまともな仕事に就いてくれた。これで親のすねをかじらないようになってくれればよいのだが
律義
律義は『とても義理堅い』『実直であること』という意味を持っています。正しい読み方は『りちぎ』です。使い方を例文でチェックしましょう。
- 会社帰りに私の立て替えで彼とジュースを買い、小銭の持ち合わせがなかった彼に「20円はいらない」と言ったのだが、後日律義に返してくれた
- 彼女はお中元・お歳暮・年賀状を毎年欠かさないほど律義な性格なのだが、去年はとうとう全て来なかった。彼女の身に何かあったのだろうか
- 彼はいつも仕事をくれる営業先に対して、律義に出向いてお礼をしている。君もお礼を電話で済ませるのではなく、彼を見習うべきだ
構成/編集部