ナノイーを曝露したウイルスは細胞への結合能力が失われる
透過型電子顕微鏡写真:ナノイー(帯電微粒子水)照射あり
パナソニックは、大阪公立大学 大学院獣医学研究科 安木真世准教授との共同研究において、ナノイー(帯電微粒子水)の曝露による新型コロナウイルスの不活化は、ウイルスの構造崩壊が一因であることを初めて(※1)明らかにした。
パナソニックは、ナノイー(帯電微粒子水)技術について、2020年7月に新型コロナウイルスに対する抑制効果(※2)、2021年11月には新型コロナウイルス変異株4種に対する抑制効果(※3)、2022年3月には約6畳(24立方メートル)の試験空間における新型コロナウイルスに対する抑制効果(※4)を実証してきた。
また、ナノイー(帯電微粒子水)を曝露した新型コロナウイルスをVero細胞(※5)に接種しても細胞死が起こらないことが明らかとなっており、感染が起こらないことが示唆されている。
しかし、これまでは、ナノイー(帯電微粒子水)が新型コロナウイルスにどのように作用して不活化しているのか、明らかになっていなかった。
ウイルスを構築する脂質二重膜やタンパク質、ゲノムRNAと多段階で作用する様子を確認
そこで、ナノイー(帯電微粒子水)による新型コロナウイルスの不活化メカニズムに焦点を当て、ナノイー(帯電微粒子水)の曝露有無によるウイルスの構成成分ごとの影響や、細胞へのウイルスの結合量を測定。
その結果、ウイルスを構築する脂質二重膜やタンパク質、ゲノムRNAと多段階で作用する様子が確認されたという。
さらに、ナノイー(帯電微粒子水)を曝露したウイルスは細胞への結合能力が失われることで感染が抑制されることが示唆され、同社ではナノイー(帯電微粒子水)による新型コロナウイルスの不活化メカニズムの一部が明らかになった、と説明している。
なお、今回の検証は密閉された試験空間での結果であり、実使用空間における効果を検証したものではない。
<細胞への感染拡大の観察>
ナノイー(帯電微粒子水)を曝露した新型コロナウイルスと曝露していないものをそれぞれVero細胞(※5)に接種させて、状態が安定するまで約7時間待った後、撮影間隔10分でタイムラプス撮影を実施。
本検証結果の説明動画
※1 イオン放出式の空気浄化技術において。(2022年6月8日現在、パナソニック調べ)
※2 [プレスリリース] 帯電微粒子水の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する抑制効果を確認(2020年7月)
※3 [プレスリリース] 新型コロナウイルスの懸念される変異株4種に対する「帯電微粒子水(ナノイー)」技術の抑制効果を検証(2021年11月)新型コロナウイルスと変異株4種のウイルス感染価には、株の違いによらず同じ減少傾向が認められたことから、「『帯電微粒子水』技術は一部のアミノ酸置換によるウイルス変異では不活化効果に影響を及ぼさず、今後も出現するであろう変異株に対しても45 Lの同条件下で試験を行えば、同様の結果が期待できる」という専門家の見解を得ています
※4 [プレスリリース] 約6畳(24 立方メートル)の試験空間における付着新型コロナウイルスへの「帯電微粒子水(ナノイー)」技術の抑制効果を検証(2022年3月)
※5 新型コロナウイルスの培養に用いられる宿主細胞
関連情報
https://news.panasonic.com/jp/press/data/2023/02/jn230222-1/jn230222-1.html
構成/清水眞希