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コンパクトミニバンの使い方を変えるトヨタ「シエンタ」の魅力

2023.02.25

 昨年秋に7年ぶりのフルモデルチェンジを行なったトヨタ「シエンタ」。この7年間という月日は、トヨタに限らず、クルマの様々な技術、動力の伝導か/安全/コネクテッドなどの進化や変化が著しい。新型「シエンタ」はコンパクトミニバンのスペースを隅々まで活かした実用性、運転のしやすさ、トヨタ先進の予防安全技術を搭載。価格的にも手頃で身近なパートナーとしての存在は、今の時代=恵まれた環境の下で誕生したと言えそうだ。

デザインのモチーフは「シカクマル」

全長4260mm×全幅1695mm×全高1695mmの5ナンバーボディのサイズは先代から変えずに室内は拡げ、2列シートの5人乗り、または3列シートの7人乗りタイプもラインナップされている。グレードの基本はベーシックな「X」、その上に「G」、さらに「Z」があり、駆動方式は2WD/4WDが選べ、それぞれにガソリン/ハイブリッドが用意されている。

エクステリアデザインは、ややズングリとしたフォルムに親しみを抱く。デザインのモチーフは「シカクマル」。“角を丸めた”ボディーは柔らかな印象を与え、その発想はパーツにも及び、ライトやグリル、ウインドウのフレームまで統一されているからだろう。先代から踏襲されたデザインはまとまりも良く、質の高さとともに個性は増した。

その上、ミニバンとしての“四角い”実用は決して損なわれていない。330mmというフロアの地上高の低さ、そこから室内に乗り込んだ際のフラットなフロアのスイスイと乗り込める足裁きの良さ、さらに新型「シエンタ」はスライドドアの開口部の高さ(上方)を60mm広げ1200mmとしたことで、大柄体型も足腰の曲げ伸ばしも負担になる高齢者の乗降性に優れる。

またバックドア開口部の高さも先代に対し15mm拡げ、荷室高も20mm高くすることで様々な荷物、また「シエンタ」ユーザーも注目する自転車の出し入れも27インチタイヤを履く自転車の出し入れや積載性も向上。2列5人乗りモデルはそもそも荷室が広い上にこの新型ではさらに2列目シートの格納構造が見直され、よりフラットで大容量のスペース=室内長804~2045mm×室内幅1265mm×室内高1055mm×荷室開口部高1070mmを確保、活用しやすくもなった。3列シートモデルは室内長のみ2列シートタイプと異なり990~1525mm。

トヨタがこだわったインテリアデザイン

 インテリアも「シカクマル」なモチーフが活かされ、視界に入るデザインを構成するパーツの統一感は室内も同様だ。ファブリック生地が張られた水平基調のダッシュボードが優しく目にも馴染む。試乗モデルの「Z」グレードではカーキ色のファブリックがシートやダッシュボードなどに採用され、それが室内全体の柔らかな印象とともに質感を高めていた。

 ハッキリ言うと、それ以外は樹脂の型押しパーツの集合体だ。それなのにデザインの統一感があることで、「カジュアルさ」が優しく感じられるのだ。ドアトリムのドリンク収納部にピクトグラムでドリンクを表しているところもオシャレ。コレがあるのとないのとでは新型「シエンタ」のインテリアのデザイン性の評価も変わるほどと言いたい。ちょっとしたことへのこだわりが求めやすい価格のコンパクトミニバンへのトヨタのこだわりを感じずにはいられない。

 他にも例えば後席用のスマホなどの充電に便利なUSB端子(Type-C)は運転席シート背面に備え付けられている。

 なぜ、助手席ではないのか?

 一般的に日本の乗り降りは路肩含め左=助手席側だ。乗降の際に「ケーブルに足などを引っかけてしまうキケン性を配慮しました」と開発者の方が教えてくれた。

乗り心地、静粛性、広さ、すべてがちょうどいい

 ドライブフィールについては、ハイブリッド4WD、ハイブリッド2WD、そしてガソリン車の2WDを試乗した。運転席に座ると視界は上下、左右は再度ウインドウまで含めスッキリと拡がり、ダッシュボードづたいに伝わる助手席までの距離もほどよく、扱いサイズであることを感覚的にも抱くこともできる。乗り心地も決して悪くない。むしろ静粛性も向上し、車内の快適性は向上している。

ハイブリッドは1.5L 3気筒エンジン+モーターを組み合わせ、発進時にはEVで走り出し、街中を流すように走っていたらしばらくはモーター(EV)走行のままだった。少し多めにアクセルを踏み込むとエンジンも始動するが、以前のトヨタのハイブリッドに比べ、エンジンが振動を伴い唸るように動力に参加するような違和感はない。個人的には走行フィールが向上するトヨタのハイブリッド車の中でソコだけが残念ポイントだったため、最近のトヨタのハイブリッドモデル全般でそれが改善され、乗り味の質を上げている。新型「シエンタ」は振動も乗り心地に吸収されているようなマイルドさが車内の快適性を向上させている。

ドライブモードはECO/ノーマル/POWERがある。街中ではECOでも十分だが穏やか系。パワーは加速時の威勢が良くなる。ノーマルはその中間であってやはりバランスは良い。実に絶妙にモードチューンを分けていた。ガソリン車は高回転まで加速が必要な場面では3気筒エンジンのノイジーさがやや気になったが、エンジンそのもののトルクの太さは十分。カジュアルな印象が強く、“素”の「シエンタ」に触れているような感覚だった。

ボディとサスペンション、タイヤによって得られるドライブフィールは剛性感としなやかさが上手くバランスされている。街中から首都高をドライブした中ではランプウエイなどコーナーでの安定感も十分に高く運転がし易く、こちらも優しい。実はデザインも含め、フランス車テイストをわずかに匂わせる感じだ。また2WDと4WDとでは4WDは雨や雪、強い横風などの天候や例えばキャンプなどでラフな路面コンディションで走行安定感が増すという特徴があり、乾いたアスファルト上でも2WDと比べて安定感を良い意味でやや重さを伴うフィーリングが得られる。一方、2WDはスイスイと軽快な印象。「シエンタ」を鼻先でコントロールする感覚は2WDのほうが強い。

ところで新型「シエンタ」にもトヨタの最新の運転支援技術が搭載されているが、その中で一つご紹介しておきたい機能が「プロアクティブドライビングアシスト」。新型「ノア/ボクシー」から採用されている技術だ。これは様々な運転支援技術にも活用されているカメラやレーダーで周辺をモニターし、歩行者や自転車、駐車車両に対しステアリングやブレーキ操作でアクシデントリスクを減らすという予防安全の目的が一つ。それだけではなく、例えば日常の運転中、先行車との間隔、信号やカーブに対する減速をスマートにサポートしてくれるのだ。

例えば走行中に先行車に近づきドライバーがアクセルを緩め始め→ブレーキペダルに踏み換えようとすると、その間にクルマがまず減速を1クッション入れてくれる。エンジンブレーキのような軽い減速をシエンタがしてくれるのだ。それが不自然でなく、ドライバーは落ち着いて丁寧な減速ができるし、ブレーキペダルを踏む頻度も減る、さり気ない日常の運転をサポートしてくれる点も優しい。

三代目「シエンタ」はまさに“最新が最良”。今の時代だからこそこのクラスでも得られる機能も標準もしくは選ぶことができるが、開発者は「新型シエンタは納車されることがゴールではない」とおっしゃっていた。どんな風に、どんなところへ、と想像も膨らみそうな新型「シエンタ」。個人的には憧れのソロキャン!? この温かみもある優しいデザインとサイズ、それらが生む空間なら一人でも寂しくなさそう。価格設定もガソリンモデルの2WDが195万円~、ハイブリッドモデルの2WDが238万円~、4WDも258万円~。これにトヨタセーフティセンスはレーダークルーズコントロールが停止までサポートするかしないか、アダプティブハイビーグ装備の有無などがグレードによって異なるものの、基本的なシステムは標準装備されている。唯一、こんな季節だからシートヒーターやステアリングヒーターが標準装備であってくれたらもっと嬉しいのに、と思う。とは言え、コンパクトサイズのミニバンではこれまでダントツ人気だったホンダの「フリード」に強敵が現れたと言えるだろう。

■関連情報
https://toyota.jp/sienta/

文/飯田裕子(モータージャーナリスト)

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