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知っているようで知らない財形貯蓄制度のメリットとデメリット

2023.03.02

会社員として働いていると、見聞きする機会も多い「財形貯蓄」という制度。加入を検討しているものの、その詳しい内容についてまだ理解できていないという方も少なくないはず。そこで本記事では、財形貯蓄の制度と、加入する際のメリット・デメリットについてわかりやすく解説する。知識を深めて、ご自身の資産運用に役立ててほしい。

財形貯蓄とは? 知っておきたい3つの積立形態

 財形貯蓄は「勤労者財産形成促進法」に基づき、企業が従業員の貯蓄を支援するために導入している制度。従業員は、財形貯蓄の制度を利用することで、給与から天引きで月々一定額の貯蓄を積み立てられる。まずは、3種類の積立形態とその内容を見ていこう。

一般財形貯蓄

 一般財形貯蓄とは、使用目的を限定しない財形貯蓄のこと。原則として、3年以上積み立てる必要がある貯蓄制度だが、契約の自由度は高く、複数の金融機関と契約できる。払い出しの制限もないため、気軽に始められる貯蓄制度だ。

財形年金貯蓄

 財形年金貯蓄は、老後の資金づくりを目的とした貯蓄プランで、55歳未満の従業員が加入できる。一般財形貯蓄とは異なり、一つの金融機関としか契約ができない。財形年金貯蓄の特徴は、受け取り方法を選択できる点にある。金融機関のプランによって異なるが、具体的な受け取り方法は以下の5点だ。

1.定額型:一定の金額を毎月受け取るプラン

2.定率逓増型:一定期間ごとに受け取る金額の割合を契約時に決めた割合で増やしていくプラン

3.定額逓増型:一定期間ごとに受け取る金額を契約時に決めた金額で増やしていくプラン

4.前厚型:一定期間の間は決まった金額を受け取り、その後は受け取る金額を減らしていくプラン

5.途中増額型:財形年金契約後に重度障害者になった場合、年金額の増額を申請できるプラン

財形年金貯蓄は名前に「年金」が含まれている通り、退職後に積立金を受け取ることを前提としている。そのため、財形年金の契約を行うと原則的に60歳まで積立金を引き出すことはできない。また、支払方法についても契約の途中で変更はできないため注意が必要だ。

財形住宅貯蓄

 財形住宅貯蓄とは、住宅購入資金の補助を目的とした貯蓄プラン。積み立てた金額は、住宅の建設と工事もしくは75万円を超えるリフォーム工事に使用できる。ただし、5年以上の契約が必要となり、住宅以外には使用できない。

財形貯蓄のメリットとデメリット

 ここからは、財形貯蓄のメリットとデメリットを紹介する。それぞれをよく理解した上で、自分に合った制度を利用するようにしよう。

 財形貯蓄のメリット

 財形貯蓄のメリットとしては、主に3点が挙げられる。まず、無理なく貯蓄できること。通帳にお金が入っていると、思わず使ってしまう人は少なくない。しかし、財形制度を利用すれば、あらかじめ決めておいた貯蓄額が、自動的に財形口座に振り込まれた上で給与が支払われる。貯蓄額を「ないもの」として考えられるため、自動的に貯蓄を増やしていくことが可能だ。

次に、財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄は、貯蓄額550万円までの利子が非課税になる点もメリットの一つ。定期預金などの金融商品の場合は利子に対して20%前後の税金が発生するため、この税制上の優遇は大きなメリットと言えるだろう。

3点目のメリットは、勤務先によって独自の給付制度を受けられる可能性があることだ。財形貯蓄は、企業の福利厚生として運用されている場合が多い。そのため、財形貯蓄に申し込むと、補助を受けられたり、企業独自の給付金が支払われたりすることもある。給与に直接影響があるため、財形貯蓄を利用する最大のメリットにもなり得る。

財形貯蓄のデメリット

 財形貯蓄のデメリットについては、主に2点が挙げられる。まず、制度の利用時にさまざまな制約があることだ。例えば、財形年金貯蓄の引き出しは年金の補助、住宅財形貯蓄の引き出しは住宅費用の補助と定められている。そのため、ライフプランに変更が発生した際、貯蓄額を引き出せないことで生活費のやりくりに困るリスクがある。

次に、所得控除の対象にならないことだ。個人で加入できる年金制度のiDecoや生命保険のように所得控除がされないため、所得税の減税というメリットを受けられない。財形貯蓄の税制上の優遇は利子が課税されない点にあるが、現在の日本では利率が低いことから、利子への無課税額は大きな金額にならない。財形貯蓄は、所得控除と比較すると税法上の恩恵が少ない点がデメリットと言えるだろう。

財形貯蓄に関するよくある疑問

 最後に、財形貯蓄に関するよくある疑問に答えていきたい。

財形貯蓄の引き出し方法は?

・財形貯蓄の場合

財形貯蓄の引き出し方法は、契約しているプランによって異なる。一般財形貯蓄は、1年間の契約期間後、いつでも引き出すことが可能。契約している銀行にもよって異なるが、インターネットもしくは銀行の窓口で手続きを行うことで任意の貯蓄額を引き出せる。ただし、企業によっては、労働組合や上長経由で申請をしなければならない場合があるので、注意が必要だ。

・住宅財形貯蓄の場合

住宅財形貯蓄は、家を建てるかリフォームする時に引き出せる。ただし、建てる住宅の名義に自身が含まれていることが条件だ。また、引き出しの際には工事契約書をなどの書類提出が必要になる。

・年金財形貯蓄の場合

年金財形貯蓄は、満60歳以上になると受け取ることができる。年齢によって引き出しが定められているため、60歳未満で早期退職をしても引き出すことはできない。老後の開始時期を早められない点はに注意してほしい。

休職・海外転勤・退職などの事情で職場を離れた場合

 休職や海外転勤をした時、財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄の貯蓄額は引き出せないが、積み立ての休止は可能だ。積み立ての休止期間は最大で2年。この休止の制度は、育児休業を取得する時にも利用できる。なお、一般財形貯蓄は、いつでも休止可能でその期間も定められていない。

退職をした場合、基本的に財形貯蓄は解約となる。ただし、財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄の利子には税金が発生するため、積み立てた額より引き出し額が少なくなるケースに注意しよう。

※データは2023年2月下旬時点のもの。

※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。

※製品およびサービスのご利用はあくまで自己責任にてお願いします。

文/編集部

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