ずっとデフレだった日本が、円安、燃料高等により物価高になっている。給与がそれ以上に上がっているわけではないため、家計を苦しめるだけだ。物価高でいつもと同じように消費してれば貯蓄は減ってしまう、どのように節約すればよいだろうか。
どのぐらい物価は上がっているの?
現在物価はどのぐらい上がっているだろうか。1月20日発表の消費者総合物価指数は前年同月比4%上昇した。例えば昨年100円で買っていたものは、今104円を出さないと買えなくなっているということだ。
特に価格が高くなっているものは、円安の影響で輸入しているものである。日本は食品をほとんど輸入に頼っており、また牛乳や卵のような国産品だとしても牛や鳥が食べる飼料が輸入品であるため、円安の影響は避けられない。特に、小麦などは今でも続くロシアのウクライナとの紛争で値上げが続いている。
具体的には・・・
・ハンバーガーなどの外食費17.9%
マックのハンバーガー150円→170円に
・調理食品7.3%
・鮭 26.7%
100g350円程度→450円程度に
・ポテトチップス18%
・豚肉9.4%
・食用油33.6%
・牛乳9.9%
・ガス代33.3%
・携帯端末22.1%
iPhone12(6.1インチ・128GB)99,800円→iPhone14(6.1インチ・128GB)119,800円
(参考)
統計局ホームページ/消費者物価指数(CPI) 全国(最新の月次結果の概要) (stat.go.jp)
今後の物価はどうだろうか。
例えば、小麦粉は、政府がまとめて輸入して価格を半年毎に決めており、2022年4月から平均17.3%値上げし、小麦製品会社でもその価格を転嫁して値上げしている。なお、小麦価格は引き続き値上がりしているため、半年後の10月には再度値上がりするはずだったが、物価安定のため価格が据え置かれた。しかしながら、次の2023年4月にはまた価格が値上がりする可能性がある。
電気代は、現在東日本地域の原子力発電所のほとんどが稼働しておらず火力発電に依存している。その結果、原油高騰の影響を受け、電気をつくるための費用が値上がりしている。電機は国民に大きな影響を与えるため、電力会社が勝手に値上げすることはできない。現在、電力会社東京電力HD等電力会社では、経産省に値上げ申請をしており、申請通り通れば6月には代表的なプラン「従量電灯B」の場合29%程度の値上がりになる予定だ。一方、原子力発電所を5基稼働している関西電力の電気代は据え置かれる。
ガソリン代は、政府が石油元売り会社に補助金を支出して価格が抑えられており、今のところ前年比で大きく値上がりはしていない。、本来なら1月16日時点で183.6円になっているところを政府からの補助金で抑えられているが、この補助がいつまで続くかは定かではない。
給与は上がっている?
物の価格が上がっているが、一方で主な収入である給与はどうだろうか。
1月24日に公表された、令和4年11月分の毎月勤労統計調査結果では、現金給与額は288,071円の前年同月比1.9%増(うち一般労働者が375,392円の2.2%増)、パートタイム労働者が101,669円の2%増となった。また、ボーナスは3.1%増となった。このように特にボーナスを中心に賃金が上昇したが、物価が4%上昇している状況を考慮すれば実質▲2%程度は減少しているともいえる。また、外食、百貨店、旅行業などの業種の場合では、回復してはいるもののコロナ禍前の水準までには戻っていないところもある。
2%の節約が必要
物価上昇と賃金上昇を加味すると、一般的には2%の節約が必要と考えられる。昨年と同じように生活していると、一般的に毎年100万円貯めていた人は98万円しか残らないことになる。人によっては物価上昇の影響が大きいものに消費している人はさらなる節約が必要だ。例えば、外食(中食含む)を好む、携帯端末を定期的に買い替える、ガス利用者のような場合では、さらにその影響が大きく10~20%程度目減りするかもしれない。
4%の物価上昇どう乗り切る?
実質2%程度の目減りをどう節約するか。
やはり物価上昇の影響が大きい以下の部分で節約する方法が考えられる。
①携帯端末の買い替えを控え、バッテリー交換だけにする。
携帯端末自体最近そこまで新機種で画期的な技術向上が見られない。同じような技術水準でも、新機種に買い替えると携帯端末の主要部品である半導体価格の上昇で価格が大きく値上がりしている。バッテリーの消耗が早ければバッテリー交換で済ませるのがおすすめだ。
②食事
人件費、食材費の高騰で外食費が値上がりしているため、外食を控えることで大きく節約できる。スーパーの総菜に切り替えるだけでも食費を少し下げることができる。また、小麦価格が上がっているため、お米を中心とした食事や揚げ物など油をたくさん使う食べ物を控えることで、健康にも食費にもやさしい。
③光熱費
原油価格の高騰で特にガス代が高くなっている。さらに、6月には東京電力圏内では電気代が大きく値上がりする。クーラーを消すなど無理な節電は体を壊す可能性もあるため、温度を調節するなど無理のない節電を心がける。また、できれば今後も光熱費が上がることを見据えて太陽光電池を設置するのもおすすめ。現在新規設置者は固定価格で売電できるため、蓄電池については保留でよい。
(参考)
日経新聞 2023年1月27日 「家庭電気代、広がる地域差 東電値上げで関電の7割高も」
2022年4月からの小麦の価格について | 日清製粉グループ (nisshin.com)
日経新聞 2023年1月12日 「ガソリン0.3円高168.2円、3週ぶり上昇補助金15.6円」
iPhone 12を購入 – Apple(日本)
毎月勤労統計調査 令和4年11月分結果確報|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
文/大堀貴子