健康保険証が2024年秋には廃止され、マイナンバーを保険証として利用する必要がある。さらに、2023年4月それに先んじてマイナ保険証でない場合の診療報酬が6円値上げされる。
マイナ保険証とは?
マイナ保険証とは、マイナンバーカードを健康保険証として利用する登録をマイナポータルまたはセブン銀行で行うと、マイナカードを健康保険証として利用できるものだ。
これまで使われていた紙やカードの保険証は、2024年秋には廃止され、全てマイナ保険証に切り替え予定となっている。
マイナ保険証は、医療機関や薬局で受付横にある専用の読取り機にマイナカードを入れて、暗証番号を入力、顔認証をして保険証確認をする。そのあと、薬剤情報の閲覧(今処方されている薬剤の情報を医療機関や薬局に確認してもらえ、お薬手帳の提示が必要なくなる)、特定検診情報の閲覧(健康診断等の情報を提示することで、適切な診断が可能になる)を同意すれば完了だ。子どもの場合は、親等の代理人が暗証番号を入力すれば顔認証を省略できる。特に大きな病院ではこの保険証確認に時間がかかるため、マイナ保険証で本人確認をすることができれば、早く受付を済ますことができる。
ただし、子ども医療受給者証などは未だ連携できておらず、結局受付での提示が必要となる。また、まだマイナ保険証に対応していない医療機関も多い(2023年4月に全医療機関に義務付け予定)。
マイナ保険証でないと6円値上がり?
そもそも2022年10月からは診療報酬値上がりの時期だった。紹介状なしで大きな病院(200床以上の地域医療支援病院)にかかると初診料がかかるが(一定要件に該当すれば免除)、その金額が5,500円から7,700円と大幅に値上がりした。まずは、かかりつけ医に相談してから大きな病院に受診しないとこれまで以上の負担を強いられる。
また、2022年10月からは初診料、2023年4月からは初診料、再診料ともに加算額が値上がりする。初診料とは、その病気で初めて受診するときにかかる費用で270点(医療機関には2,700円、3割負担の患者負担は810円)かかる。同じ病気、同じ病院にかかっても、1か月空いているとまた初診料はかかる。再診料は、同じ病気で定期的(1か月以内)に同じ病院にかかっているときにかかる費用で73点(医療機関には730円、3割負担の患者負担は219円)かかる。この他、夜間、時間外、6歳未満かどうかなどでこの初診料、再診料に加算がある。その加算のうち引き上げられることになったのが、この保険証に関するものだ。従来保険証の場合は、2022年10月のときに3円引き上がっており、さらに2023年4月にはさらに6円引きあがる。また再診料にも加算される予定だ。今マイナ保険証にすれば従来保険証より3円引き下がり、2023年4月にも引き上げにはならない。
なお、2022年9月末まではマイナ保険証で認証していた人の方が逆に加算額が高く負担が重かった。これは、加算額を高く設定することで医療機関の報酬が高くなりマイナ保険証の認証機の設置を促すためだった。しかし、医療機関の報酬×30%で患者負担は決まるため、マイナ保険証を利用する患者負担まで高くなってしまっていた。
現在では、医療機関には義務化とし、マイナ保険証利用者の方がお得になるようになっている。まだ、利用できない医療機関があったり、保険証に付随する子ども医療受給者証等の提示が必要であることなどまだ問題点はあるが、紙の保険証廃止に先んじてマイナ保険証をもっておくことが今はおすすめだ。
(参考)
2022年12月27日日経新聞「自縄自縛のマイナ保険証対応 診療報酬加算にゆがみ」
文/大堀貴子