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辺境の地と言われたギリシアがヨーロッパの覇権を握った理由

2023.03.01

再発見!金融経済アルキ帖〜古代通貨大戦争!

ゼウス、アテナ、ヘラクレスなど、ギリシア神話と聞いてあなたは何を思い浮かべるでしょうか?

実は現代社会でもギリシャ神話は深く根付いています。

例えばNASAによる宇宙探査「アポロ計画」はアポロンという太陽神の名であり、米国のスポーツメーカーの「NIKE」は女神ニケの名前を英語読みした社名としても有名です。特に西欧文化には大きな影響を与えており、ヨーロッパ大陸の名はゼウスにさらわれ嫁となったフェニキアの女王エウロペが由来です。

そこで今回は辺境の地と目されていたギリシアがなぜ覇権を握ったのか、通貨にも注目しながら探っていきたいと思います。

それでは「再発見!金融経済アルキ帖〜古代通貨大戦争!辺境のギリシアが覇権を握った理由〜」のはじまりです!

辺境の地ギリシアが発展した理由

ギリシアはヨーロッパの歴史の発祥ともいえる場所です。

このギリシアから、当時考えられていた世界をほぼ全て制したアレクサンドロス大王が誕生しています。しかし考えてみればギリシアには、それ以前に栄えた他の古代文明のように豊かな大河がありません。また紀元前8世紀ごろにギリシアが形成された同時期に繁栄していた場所は、エジプトを中心としたオリエント地域であり、そこには豊かな穀倉地帯が広がっていました。

それと比較してギリシアは河がないためオリーブやブドウ畑こそ運営していたものの、肥沃な土地がなく穀物が収穫できませんでした。

ではどのようにギリシアが発展していったのかというと、ギリシアはエーゲ海を活用してオリエント地域と活発に交易をすることで経済成長していきます。そしてエーゲ海交易が発展していくなかで物資の交換をよりスムーズで円滑にするツールとして生まれたのが「鋳造貨幣(ちゅうぞうかへい)」です。この貨幣が生まれた場所はギリシアとオリエントの中間に位置するアナトリア半島のリディア王国です。この貨幣が取引効率を飛躍的に向上させ、ギリシアやエーゲ海、オリエント各地に広がり巨大な貨幣経済圏が形成されていくことになるのです。

経済力が勝負の分かれ目!注目したい金と銀の交換比率

エーゲ海で貨幣経済が確立されたのは紀元前6世紀はじめのことですが、経済発展とともにギリシア各地にポリス(都市国家)と呼ばれるアテネやスパルタに代表される都市社会が発達していきます。また海路が遠くスペインまで広がったこともあり、地政学的にもギリシアは重要拠点となっていくのです。またギリシアには銀山があったことから銀本位制を軸に経済活動が行われます。

そして同域にエーゲ海沿岸からインダス川流域の広大な地域を支配したアケメネス朝ペルシアが存在しており、このペルシアはリディア王国の貨幣制度を採用し、金と銀の両方を製造できたため領域内で使用していました。そして当時の各国の金と銀の交換比率は下記の通りでした。

・アルケメネス朝ペルシアの金と銀の交換比率 1:13
・ペルシアの隣のインドの金と銀の交換比率1:8
・ギリシアの金と銀の交換比率1:14

このようにインドは他国よりも銀の価値が高く、インド商人はペルシアで金を銀と交換してインドに持ち帰ります。ペルシアは銀がインドに流出しますが、その分、金が増加します。

当時、一般的に広く普及していたのは銀ですが、金は高価で流通しない代わりに国家の信用力を高める役割を担います。そしてペルシアは豊富な金を用いることで安い価格でギリシアで物資を購入していました。またペルシア商人は金と銀の為替差益を目的には金をギリシアに持ち込み銀と交換する流れが加速していきます。こうした一連の流れは金本位制を採用するペルシアにとって、次第に国家存亡の危機へと繋がっていきます。なんとしても金の流出を防ぎたいと考えたペルシアはやがてギリシアを征服しようと考えます。

こうして紀元前480年ごろにペルシア戦争が勃発します。

しかし既にギリシアはペルシアから流入した金貨を有しており、物資の調達を有利に進めたことに加えて、戦争の準備により内需が拡大して経済も活発化します。こうした好循環により豊富な資金を有したギリシアは海軍の増強も進めていき、ギリシアはペルシアに勝利します。

なによりもギリシアにあった豊富な銀が結果的にペルシアの金を呼び込み、経済力でギリシアが勝利した戦争でもあったのです。

アテネとポリス

ペルシア戦争でギリシアの船の漕ぎ手は貧困層が担っていました。戦争の勝利に重要な役割を果たしたことで、次第に影響力が高まり参政権を勝ち取っていきます。特にアテネでは民主政治が加速し、またペルシアからの復讐に備えた巨大な軍事組織が形成されていきます。そして民意が軍事優先の政策へと利用されたこともあり、ポリス間でも絶えず抗争が勃発します。

こうした社会情勢のなか紀元前4世紀ごろになると、ギリシア北部にマケドニア王国が台頭していきます。このマケドニアもギリシア人が築いた国ですが、アテネやスパルタなどの都市国家とは異なり、領地も広範囲にわたり、国の仕組みも中央集権を採用しました。

なぜマケドニア王国が誕生したのかというと、ペルシア戦争に勝利したあと、経済成長と共に人口が増大したことでギリシアの土地が不足したことが挙げられます。こうして新天地を求める人々の移住の受け皿としての役割を北部のマケドニアが担っていくのです。

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