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企業が「バリューチェーン」の分析を行なう目的と注意点

2023.03.16

バリューチェーンは、『価値連鎖』を意味する用語です。バリューチェーンの分析を行うことは、企業が市場における優位性を確立する上で有益といわれています。バリューチェーンの概要や分析方法、バリューチェーンをアピールしている企業の事例を紹介します。

バリューチェーンってどんな概念?

バリューチェーンを分析することは、市場における優位性の確立や、経営資源の最適化に有効といわれています。どのような概念なのか、詳しく見ていきましょう。

バリューチェーンは「価値連鎖」のこと

バリューチェーンという言葉・概念は、アメリカの経済学者マイケル・E・ポーター氏によって提唱されました。直訳すると『価値連鎖』となり、『企業の一連の事業プロセスは、価値のつながりによって成り立っている』とする考え方を意味します。

バリューチェーンを分析することにより、企業は『事業活動のどの部分が企業の付加価値に貢献しているか』『利益につながっているか』を客観的に把握可能です。

バリューチェーン分析は、企業が市場での優位性を生み出すための差別化戦略や、課題・強みを抽出するためのフレームワークとして活用されます。

サプライチェーンとの違いは?

サプライチェーンとは、物流業界・製造業界で使われることの多い用語です。直訳すると『供給連鎖』となり、製造工程における部品調達から販売・消費までの一連の流れを指します。

バリューチェーンが一連の事業活動で『どのような価値が生み出されているか』に注目するのに対し、サプライチェーンが注目するのはモノ・ヒト・コストといった『企業資産の流れ』です。

構成要素にはサプライヤー・供給先のほか、製造工程に関わる企業外の個人・組織も含まれます。連鎖の範囲が1企業内の事業活動に限定されない点は、バリューチェーンとの大きな違いといえるでしょう。

バリューチェーンの構成要素

考え事をするスーツの男性

(出典) photo-ac.com

バリューチェーンの提唱者であるマイケル・E・ポーター氏は、バリューチェーンのフレームワークは『主活動』『支援活動』によって構成されていると定義しています。それぞれについて、製造業を例に詳しく見ていきましょう。

主活動

主活動とは、『購買物流』『製造』『出荷物流』『販売・マーケティング』『サービス』の五つを指すのが一般的です。

製造業の購買物流は在庫管理・仕入、製造は仕入れた原材料を使って商品を製造する工程を指します。また出荷物流とは、製造した商品を販売店に納品する工程です。商品は販売・マーケティングのフェーズを経て、サービスとして一般消費者のもとに届けられます。

仕入から商品を消費者に届けるまでの一連の流れは、製造業を営む企業にとっては欠かせない基本的な活動です。すなわちバリューチェーンの主活動には、企業利益の創出に直接関係する、コアとなる事業活動が該当します。

支援活動

支援活動とは、『全般管理(インフラストラクチャー)』『人事・労務管理』『技術開発』『調達活動』です。

全般管理には企業法務・財務などが、人事・労務管理には社員採用や給与・勤怠管理などが含まれます。また技術開発には商品開発・市場調査、調達活動には提携できるサプライヤー探しなどが含まれるでしょう。

これらの活動は企業が円滑に活動していくために必要なものですが、企業利益の創出に直接つながるものではありません。コアとなる企業活動と区別して、支援活動に分類するのが一般的です。

バリューチェーン分析を行う目的

分析のイメージ

(出典) photo-ac.com

企業が自社のバリューチェーンを分析することは、企業活動の効率化や競合他社との差別化に有益といわれます。バリューチェーン分析の目的を見ていきましょう。

工程ごとのコストの把握

バリューチェーン分析の目的の一つは、企業活動全体にかかるコストを最適化することです。

各工程にかかるコストを可視化すれば、どの工程にどのくらいのコストがかかっているのかを把握できます。コスト同士を相対的に比較でき、コストの妥当性を測りやすくなるでしょう。

分析の結果、貢献度の低い工程に多額のコストがかかっているのであれば、削減を検討できます。一方、貢献度が高い工程にコストが回されていない場合は、コストを追加して最適化することできます。

自社や競合の強み・弱みの可視化

バリューチェーン分析には、自社の強み・弱みを明確化する目的もあります。

企業活動を細分化して一つ一つ検証していけば、どのような企業価値が、どの工程から生み出されているのかが分かります。付加価値を多く生み出している工程は、自社の強みとして打ち出していくことが可能です。

反対に、付加価値を生み出していない工程は、弱みであると判断できます。補強を行ったり、工程そのものを削除したりなどの選択肢が生まれるでしょう。

なお分析のフレームワークは、他社への適用も可能です。細かく他社分析を行えば、競合の強み・弱みを把握することも難しくはありません。

自社や他社の強み・弱みを明確化することは、差別化戦略を策定する上で有益です。他社にはない強みをアピールできれば、市場における優位性を確保しやすくなります。

バリューチェーン分析のやり方

データを見ながら話し合う

(出典) photo-ac.com

企業活動を細分化した後、工程ごとのコスト・付加価値を分析するのが、バリューチェーン分析の一般的な流れです。分析の流れを順番に見ていきましょう。

バリューチェーンの明確化

バリューチェーン分析では、主活動・支援活動の見極めが必要となります。主活動は企業利益に直接貢献するもの、支援活動は間接的に貢献するものです。まずは、企業活動として行われる一連の工程を、始めから終わりまでリストアップしてみましょう。

工程を全て洗い出したら、それぞれの性質を見極めて主活動・支援活動の分類を行います。このときやみくもに並べると、工程同士の相関関係を把握しにくくなるかもしれません。企業活動の流れに沿って、丁寧にリスト化していくのがおすすめです。

分析の精度が下がらないよう、工程の抜け漏れ・分類ミスにはくれぐれも注意しましょう。

各活動のコスト分析

分類した企業活動ごとに、どのようなコストがかかっているかを分析します。注意したいポイントは、集計するデータの時間軸をそろえることです。

集計期間が異なるコストを比較しても、正確な結果を導き出せません。1年・第一四半期など、事前に決めておきましょう。複数の部署が同じ活動を行っている場合は、複数部署のコストを合算しても構いません。

また、コストをチェックしていると、互いに影響し合うコストも見つかるはずです。どのコスト同士が密接に関係しているのかや、コストの増減が売上にどのくらい影響を与えるのかなども、適切に把握しておく必要があります。

各活動の強み・弱みを分析

各活動の詳細をチェックし、自社の強み・弱みと思われるものを書き出していきましょう。より精度の高い分析を行うコツは、さまざまな層・部署の関係者から、多くの意見を集めることです。

1人の視点で強み・弱みを考えると、分析が主観的になりすぎる恐れがあります。多様な視点から幅広い意見を集めることが、実情により近いバリューチェーン分析につながるはずです。

また、他社や過去の数値との比較を取り入れると、バリューチェーン分析の客観性が増します。比較対象があることによって、現在の自社の立ち位置・状況を把握しやすくなるためです。

強みといえる点・改善が必要な点をピックアップするとき、『○○は他社よりも優れている』『○○は過去よりも数字が下がっている』など、根拠を提示しやすくなるでしょう。

VRIO分析を行う

VRIO(ブリオ)分析とは、Value(経済価値)・Rareness(希少性)・Imitability(模倣可能性)・Organization(組織)の観点から、経営資源の優位性を評価するフレームワークです。

評価の際は、各項目を『経済価値があるか』『希少性があるか』『模倣されにくいか』『組織体制が整っているか』という視点からチェックし、それぞれにイエス・ノーを付けます。バリューチェーンのうちイエスが多い項目は自社の強み、ノーが多い項目は弱みであると判断できるでしょう。

市場で他社との競争優位性を確保するには、VRIO分析の4項目全てがイエスであることが望ましいとされます。イエスが多い部分はさらに強化し、ノーが付いた部分は改善を進めていくと、バリューチェーン全体を理想の状態に近づけやすくなるでしょう。

バリューチェーン分析を行う際の注意点

データを見ながらのミーティング

(出典) photo-ac.com

信頼性の高いバリューチェーン分析を行うには、広い視野・客観的な視点を持つことが重要です。分析を行う上で、注意したいポイントを紹介します。

分析だけを目的にしない

バリューチェーン分析を行う場合は、分析することが目的とならないよう注意しましょう。バリューチェーン分析では、企業活動の全てをリストアップして、どのような付加価値が生み出されているのかを調べる必要があります。

全体を俯瞰する必要があり、一つ一つの項目にこだわりすぎると、いつまでたっても分析が終わりません。分析に時間がかかりすぎると、情報の鮮度が落ちるリスクもあります。どれほど詳細な分析でも企業戦略に生かすのは難しく、バリューチェーン分析の意味がありません。

客観性・環境の変化を考慮

主観に偏ったバリューチェーン分析では、信頼性・正確性に不安が残ります。企業戦略に組み込むのであれば、多角的な視点から情報を集めなければなりません。

企業内のメンバーのみでバリューチェーン分析を行うのであれば、さまざまな部署・役職のメンバーを集めましょう。分析者を同じ属性でそろえると、分析結果が偏る可能性があるので注意が必要です。

客観性を担保したい場合は、他社のバリューチェーン分析も併せて行いましょう。自社と他社それぞれの強み・弱みを相対的に比較することで、分析の精度を上げやすくなります。

また社会情勢・時流の変化により、市場の価値観は簡単に一変します。市場の変化を察知したら、新しい視点・価値観でバリューチェーン分析を再構築することが必要です。

自社完結型の企業以外には不向き

事業活動の一部に他社が介在する企業は、バリューチェーン分析に不向きです。

そもそもバリューチェーンとは、事業活動を個ではなく『価値の連鎖』とする考え方です。途中の活動が抜けてしまうと、活動間の影響の仕方や関連性、価値の連鎖を測定できません。バリューチェーン分析を行っても、正確なデータは得られないでしょう。

バリューチェーン分析が向いているのは、製造業でいえば、原材料の調達からアフターサービスまでを一気通貫で行う企業です。これに該当しない企業は、別の分析方法を探すことをおすすめします。

バリューチェーンの事例もチェック

パソコンで調べる男性

(出典) photo-ac.com

成功している企業の多くは、自社のバリューチェーンを細かく分析・評価してアピールポイントとしています。バリューチェーンで、他社との優位性を確立している企業を見ていきましょう。

おいしいと安心を「味の素冷凍食品」

『おいしい安心品質』をモットーに掲げるのが、味の素冷凍食品です。公式HPでは消費者に向けて、自社がどのような取り組みを行っているのかが『開発』『生産』『販売』の3ステップで紹介されています。

例えば、開発工程では『品質管理を徹底していること』、生産工程では『工場マネジメントを適切に行っていること』、販売工程では『商品価値を伝えるために多くの担当が関わっていること』が紹介されています。

味の素冷凍食品のバリューチェーンは、全てが『おいしい安心品質』というモットーにつながっているのが特徴です。各段階での取り組みが、消費者に『おいしさ』『安心』『高品質』を強く印象付けているといえるでしょう。

参考:味の素冷凍食品株式会社

信頼に応える「東京ガス」

東京ガスの強みは、消費者の信頼に応える安全性です。公式HPでは、『ガスの輸入』『製造』『送り出し』『消費者への供給』までが、バリューチェーンとして紹介されています。

一連の企業活動を見れば、消費者は東京ガスがいかに安全に配慮して、ガスの製造・供給を行っているかが理解できるでしょう。

また東京ガスは、地震を計測するSIセンサー(地震計)を導入していることや、製造基地が阪神・淡路大震災や東日本大震災クラスの地震が起きても耐えられることを紹介しています。

地震を不安視する消費者が多いことを考えれば、地震対策を徹底している点は大きな強みといえるはずです。

参考:東京ガス

世界を目標に「伊藤園」

『世界のティーカンパニー』を目指す伊藤園は、お茶に関する総合力・技術力が強みです。経営戦略として、国内外の無糖茶市場の創造・拡大や、新たな茶文化の創造、茶産業の継続的な発展などを掲げています。

伊藤園のバリューチェーンは、『研究・企画・開発』『調達』『原料加工』『製造・物流』『営業・販売』までの五つです。製品開発のコンセプトを、自然・健康・安全・よいデザイン・おいしいとし、これらを実現するために各工程でさまざまな取り組みが行われています。

また伊藤園は、サステナビリティを重視した取り組みを重要視してる点も見逃せません。全世界共通の社会的課題への貢献は、国内外への大きなアピールとなるはずです。

参考:伊藤園

構成/編集部

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