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フランス車のように実用的でムダのない究極の軽自動車、スズキ「アルト」の買い得度

2023.02.19

■石川真禧照のK-CAR徹底解剖

「アルト」を最初に所有したのは初代が誕生した時だから、1979年だ。当時のKカーは2ドアクーペやスポーツモデルなど華やかなモデルが多かった。そのような時、スズキは、商用車をベースにした「アルト」を発売した。当時の車両本体価格は47万円だった。商用車ベースなので、リアシートは簡素だったが、小さな子供の家庭には十分だった。室内も素っ気なかったが、生活用の足車としてはこれも十分だった。

アルト「HYBRID X」試乗レポート

 それから約50年。2021年12月にデビューした9代目は、実用的なKカーとして登場した。スタイリングもシンプルだが、おしゃれな一面もあり、車両本体価格もベースグレードは94万円から、という設定だ。

 全車標準装備の安全機能も充実している。試乗したのは「HYBRID X」。車名でわかるように、エンジンのほかに、モーター機能付の発電機とリチウムイオン電池を搭載している。減速時のエネルギーを充電し、発進時や加速時にエンジンを助ける仕組みのマイルドハイブリッドだ。その作動は、警告灯やメーターもないので運転していても実感はない。

 エンジンは直列3気筒657ccの自然給気。ハイブリッド車は49ps、58Nm、ノーマル車は46ps、55Nm。モーターの力がプラスされている。変速は無段変速(CVT)。パドルシフトなどはなく、P-R-N-D-Lレンジ+シフトノブにSモードが備わっている。

 室内は先代にくらべてわずかだが広くなっている。それよりもガラス面積が大きくなったので、室内が明るい。ドアの開口部も大きくなったので、乗降性がよくなっている。運転席の着座位置は高め。座面横のレバーで高さは調節できる。多少、着座を高めにしても、頭上のスペースは十分に確保されている。ちなみに全高は1525mm(FF、4WD共通)。ウインドが大きいので、ナナメ右うしろの確認もリアドアウインドから確認できる。

 Dレンジで走り出してみる。スタートからの動きはスムーズで、力強さも感じる。これがマイルドハイブリッド車のモーターアシストによる軽さだ。ハンドルはやや重めの操舵力。きりこんだときもやや重めで、戻しがはやい。街中での動きは、運転席からの見通しがよいこともあり、軽快に走ることができる。燃費も24km/L~28km/Lと、カタログ値に近い数値が出せた。

 安全面での充実ぶりも凄い。スズキの予防安全技術、スズキセーフティサポートはデュアルカメラによるサポートが盛り沢山。オプションが少ないのは、ユーザーには親切だ。オプションでほしいのは、全方位モニター用カメラ。これはすれ違い支援や左右確認サポート機能などが付いている。もちろんペダル踏みまちがいによる急発進回避、後退時ブレーキサポート、後方誤発進抑制機能なども装着できる。

 街中での走行のあとは、高速道路だ。高速域でのハンドリングは、やや重めの操舵力だが、ピシッとした安定感にはやや欠けている。100km/h走行でもエンジン音の高まりは抑えられており、ノイジーさはない。いまひとつの安定感が欲しいところだ。ブレーキに関してはKカーのウイークポイント。今回の「アルト」もフロントはディスク、リアはドラム式のブレーキを装着していたが、街中でのブレーキングはやや重めのペダルで、初期の制動もやや甘めだった。踏力はもう少し軽く、初期制動もググッと効くほうが安心感がある。高速走行は、やや重め。踏力だが減速感も自然なフィーリングだった。ただし、燃費は、30km/L台を記録するほど、ロングドライブでの経済性は確保されている。

 Kカーに試乗する度に思うのは、リアシートの居住性に関してだ。今回の「アルト」もそうだが、とにかく広い。リッターカーよりもボディサイズは小さいのに、Kカーのリアシートは広い。「アルト」の場合、床面はフラットで広い。しかも、天井までの高さもあるので、身長180cmクラスでも狭くは感じない。

 さらに、リアシート用のドアは、ウインドが全開できる。これも最近のクルマでは珍しい。多くのクルマはウインドが全部、下がりきらないで残っている。なかには半開までしかできないクルマもあるほどだ。それらにくらべると「アルト」のリアドアウインドは良くできている。リアシートは、スライドなどはしないが、背もたれが一体で可倒できる。倒せばフラットな床面がフロントシートの後ろまで出現する。

 欲を言えば、背もたれは2分割で可倒すれば、便利さは増すはずだ。しかし、この価格でクルマを仕上げるというのは、こうしたパーツのコストの積み重ねの成果なのだから、ここは目をつぶっておきたい。このように「アルト」は、車両本体価格が安いというだけでなく、室内の使い勝手、クルマとしての取り回しの良さなど、ベーシックカーとしての実力は高い。この合理性とボディカラーなどのハイセンスに、ボクはフランス大衆車との共通性を感じた。

 車両本体価格はベースグレードのAはFF車で94万3800円から。そのひとつ上のLのFF車も99万8800円で、この2車が100万円を切っている。装備面ではAグレードは外観が簡素になるが、ヘッドアップディスプレイと標識確認機能が付かないのと、シートリフター、チルトハンドルが装備されていないぐらい。安全装備などは上級グレードと大差なかった。ハイブリッドはSが109万7800円から。最高価格はハイブリッドX・4WDの137万9400円だ。

■関連情報
https://www.suzuki.co.jp/car/alto/

文/石川真禧照(自動車生活探険家) 撮影/萩原文博

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