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「行政デジタル改革共創会議」が示す自治体によるDX連携の可能性

2023.02.19PR

TOKYO2040 Side B 第21回『自治体同士のDX連携が行政の未来を作る』

※こちらの原稿は雑誌DIMEで連載中の小説「TOKYO 2040」と連動したコラムになります。是非合わせてご覧ください。

『行政デジタル改革共創会議』の試みが示すもの

 去る1月6日、7日に開催された『行政デジタル改革共創会議(通称:デッカイギ)in 横須賀』に運営当日のスタッフとしてお邪魔させていただいておりました。

行政デジタル改革共創会議

 サイトに記載されているプログラムをご覧いただければと思うのですが、行政、主に自治体DXについて、二日間に渡って魅力的なセッションが詰め込まれていました。二日目にはサプライズで河野デジタル大臣が登壇したほか、BoFやワークショップ等、オフラインならではのイベントとなりました。

2023年2月14日の河野デジタル大臣の動画でこの「デッカイギ」パーカーが着用されています。

 今回はキーワードである「共創」にスポットを当てて考えてみたいと思います。

自治体同士で連携してDXを進めるメリットは?

 自治体DXをどのように共創していくか。もちろん地域性の違いもありますし、予算の按分など事務的・法的な課題はあると思いますが、自治体DXを連携してシステムやノウハウに関して共同で取り組むことが可能なら次のようなメリットがあると考えられます。

■業務の効率化が図れる

 これはこのコラムでずっと書いてきていることではありますが、デジタル機器の導入やデジタル化が最終目標ではなく、デジタル化によって引き起こされる行動変容が重要です。1700以上ある自治体それぞれが別個のシステムを運用している状況が改善されるだけでも、相当に前進するように思います。

■情報共有の密度が上がる

 地方自治体同士での情報共有や齟齬の防止にも、デジタルであることそのものが活きます。文書主義というと柔軟性の無いイメージがありますが、フォーマットが整えられている行政文書というのは最もデジタル化に向いた文書と言い換えられます。刻一刻と変化する地域を捉えるのに、DXに躊躇している場合ではありません。

■長期的に費用の削減に効果がある

 デジタル化というと新たなシステムを導入する際の初期コストやメンテナンスコストに頭を悩ませるシーンが多いですが、自治体同士で連携して共同開発・共同運用できれば、スケールメリットが得られます。

■緊急時の対応力向上

 コロナ禍でも十分に我々は経験をしましたが、大規模災害は市区町村をまたがって発生しますから、住民の生命が関わる場面に連携がとりやすいというのは重要です。平時も含めてデータの利活用に関する基盤やルールが合意のもと整えられていれば、緊急時にも粛々と立案から実行そして軌道修正するサイクルを最大限に活かせるのではないでしょうか。

■スキルやUI/UXの向上

 自治体が共同してDXを進めた場合、システムや行政サービスを扱う職員の習熟・研修という観点でも有効です。

 さらに、職員向けだけでなく住民向けユーザーインターフェースもまだまだ改善の余地がありますが、これには多くの試行錯誤過程が必要です。デジタル化によって可視化され、自治体同士が連携することにより総合的に試行回数が多くなることで、操作上つまづく箇所がわかったり、手続きの最適化の糸口が掴めるものと思います。

連携ならではの懸念点

 懸念点としては、先程地域性と書きましたが、規模や地理によって差があるため、自治体それぞれの要求事項や利害を取りまとめるのに多くの調整が必要となり、時間がかかることが挙げられます。

 財政事情も大きく違いますし、そもそも従来のシステムがバラバラですので、新システムに統一しようとした場合、これまで扱ってきたデータとの互換性も求められることでしょう。予算とイコールになる話ではありますが、システムを共同で開発・運用する場合の責任の所在がどうなるのかも気になるところかと思います。

 ただ、こういったことは実際に「やるぞ!」と決めてから一つひとつ丹念に解決していくことであって、もっとも重要なのは、意識改革やそのきっかけとなる体験づくりです。

 そもそも行政の伝統的な枠組みにとらわれるあまり「DXとは業務プロセスごと変わっていくことなのだ」ということへの納得が生まれなければ、DXに対する理解不足や意欲不足のまま進めざるを得なくなりますし、ひいては人材不足という言い訳に至ってしまいます。DX人材というなにか特殊な能力を持つ人が元々いるわけではありません。

 変革することを恐れないこと、そのためにデジタルというツールを使いこなそうと思い立った瞬間、誰もがDX人材になっていけると思います。

 これから将来、確実に人口が減っていくことが明白になっています。人口が減ったところで行政の仕事の項目は減りませんが、職員の数は総人口に対して激減するわけです。その未来を思い描いた場合に果たして今のままでいいのか。今のうちから人でなくてもできる仕事をどんどんデジタル化していき、二度手間三度手間の業務プロセスを見直し、備えていかなければいずれパンクしてしまうということを想定しなければなりません。

『行政デジタル改革共創会議』は津々浦々からの参加者に、このままでは将来的に陥るであろう危機への警戒と、昔からの枠組みを再構築する勇気と、全国に志を同じくする「DX人材」が悩んだり考えたりしているという連帯感を、感じさせてくれたと思います。

 このイベントは今後も第2回、3回と続いていくとのことなので、ご興味ある方はぜひチェックしていただければと思います。

行政とWeb3の関係はどうなっていく?

 先日、総務省にて下記リンクのような公表がありました。

総務省「Web3時代に向けたメタバース等の利活用に関する研究会」中間とりまとめの公表(令和5年2月10日)

 このサイトに掲出されている「中間とりまとめ(説明資料)」をご覧いただくとわかるのですが、Web3に関してはP.20の「Web3との関係」に『当研究会の議論の冒頭で、Web3とメタバースの関係は直結するものではなく、関連する部分がありつつ、独立に発展しているものと理解すべきではないか、他方で、両者の関係は常に意識すべきではないかとの見解が示された』とあり、それ以降はNFTについて一部取り上げられてはいますが、Web3そのものに関する議論は出てきません。

 うまく「Web3時代」と表現したにとどめ、今一つ関連性の薄いWeb3とメタバースを切り離し、メタバースに全振りで議論を進めるというのは、国として行う研究としては妥当なのではないかと思います。

 行政というのは中央集権を前提としているものなので、非中央集権を旨とするWeb3とは相性が悪いと思うのですよね。反面、NPOのような商業主義ではない価値の軸を持ち、かつオープンに活動しなければならない組織には、DAOの仕組みが合っていると言えます。NPOに対するネットでの世論が気になる昨今ですが、DXを進めることで新たな活路が開ける可能性があります。

DIME本誌にて小説連載中!

 さて、DIME本誌で連載している小説『TOKYO2040』最新21話では、デジタルツインのメタバースで捜査を進める刑事が描かれています。さきほどの総務省「中間とりまとめ」にもデジタルツインについて触れられており、現在は近未来に繋がる通過点であることを感じさせられます。そして主人公葦原の活動が、行政の抱えるAIに筒抜けだったようで……。これからの波乱を感じさせる回になっておりますので、ぜひお読みください!

文/沢しおん
作家、IT関連企業役員。現在は自治体でDX戦略の顧問も務めている。2020年東京都知事選に無所属新人として一人で挑み、9位(20,738票)で落選。

このコラムの内容に関連して雑誌DIME誌面で新作小説を展開。20年後、DXが行き渡った首都圏を舞台に、それでもデジタルに振り切れない人々の思いと人生が交錯します。

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