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孫が遺産を相続できる「代襲相続」が認められるのはどんなケース?

2023.03.02

亡くなった方(=被相続人)の遺産は子どもが相続することが多いですが、被相続人よりも先に子どもが亡くなっているケースもあります。

このような場合には「代襲相続」により、被相続人の孫が遺産を相続できます。

今回は代襲相続に関する民法のルールを、例を挙げながらまとめました。

1. 代襲相続とは

「代襲相続」とは、相続権を失った人の代わりに、その人の子が相続人になることです。

代襲相続が認められているのは、将来の相続に関する代襲相続人の期待を保護するためと解されています。

たとえばAが亡くなり、Aには子Bがいて、さらにBの子である孫Cがいるとします。

Cの立場からは、Aが亡くなればBが遺産を相続し、Bが亡くなればその一部を自分も相続できると期待するのが合理的です。

しかし、AよりBが先に亡くなってしまう可能性もあります。この場合に、CがAの遺産を全く得られないとすれば、上記の期待を裏切ることになります。それを防ぐため、民法では代襲相続が認められています。

2. 代襲相続が発生する3つの場合

代襲相続が発生するのは、相続人が以下の3つのいずれかによって相続権を失った場合です。

(1)死亡

相続人が被相続人よりも先に亡くなった場合に、代襲相続が発生します。

なお、被相続人が死亡した後で相続人が亡くなった場合には、代襲相続は発生しません。この場合において遺産分割が未了であれば、相続権がさらに相続される「数次相続」が問題となります。

(2)相続欠格

相続の秩序を害するきわめて悪質な非行をした者は、法律上当然に相続権を失います。これを「相続欠格」といいます(民法891条)。

相続人が相続欠格によって相続権を失った場合には、代襲相続が発生します。

(3)相続廃除

相続欠格に当たらずとも、被相続人に対する虐待・重大な侮辱その他の著しい非行があった相続人は、被相続人の請求に基づき、家庭裁判所の審判によって相続権を失うことがあります。これを「相続廃除」といいます(民法892条)。

相続人が相続廃除によって相続権を失った場合には、代襲相続が発生します。

なお、相続放棄(民法939条)によって相続権を失った者については、代襲相続は発生しません。

3. 代襲相続人になれる人

被相続人の子について代襲相続が発生した場合、代襲相続人となるのはさらにその子(=被相続人の孫)です(民法887条2項)。

(例)被相続人Aが死亡する前に、Aの子であるBが亡くなっている。
→Bの子であるC(=Aの孫)が代襲相続人となる

被相続人のひ孫以降の直系卑属による「再代襲相続」も認められています(同条3項)。

(例)被相続人Aが死亡する前に、Aの子であるBと、Bの子であるCが亡くなっている。
→Cの子であるD(=Aのひ孫)が代襲相続人となる

また、被相続人の兄弟姉妹について代襲相続が発生した場合、さらにその子(=被相続人の甥・姪)が代襲相続人となります(民法889条2項)。

(例)被相続人Aには、子と直系尊属(父母など)がいずれもいない。Aが死亡する前に、Aの弟であるBが亡くなっている。
→Bの子であるC(=Aの甥or姪)が代襲相続人となる

ただし、甥・姪の子(=姪孫(てっそん))による再代襲相続は認められていません。

(例)被相続人Aには、子と直系尊属(父母など)がいずれもいない。Aが死亡する前に、Aの弟であるBと、Bの子であるCが亡くなっている。
→Cの子であるD(=Aの姪孫)は代襲相続人にならない

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
https://abeyura.com/
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